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テクニカル分析

株式を分析し、それに投資するかどうかの判断を下すための分析方法として、大きく分けて次の2種類が挙げられる。それは、ファンダメンタル分析とテクニカル分析だ。ファンダメンタル分析には、対象企業の特性の分析も含まれており、それによってその企業を評価することができる。テクニカル分析はこれとは全く違った見方をする。その企業やコモディティの「評価」は全く関係しないのだ。テクニシャン (又はチャーチストとも呼ばれる) は、相場における値動きのみに注目するのである。

分析にはかなり手の込んだ多くの方法が用いられるが、テクニカル分析は単純に、その株式がどの方向に、またはどんな傾向で今後続くかを判断するために、相場における需要と供給の関係のみを重視する。言い換えれば、テクニカル分析は、複雑に構成されているように見えるとこ実は、特定の市場を研究することでその市場の活動を理解しようとするという単純なものである。テクニカル分析の利点とその機能の限度を知ることで、トレードや投資を賢く行うための更なる能力とスキルを得ることが出来るだろう。

 

テクニカル分析とは?

テクニカル分析とは、過去の株価や出来高といった相場の動きで生じる統計値を分析することで、その株式を評価する分析方法である。テクニカル分析では株式そのものが本来持つ価値を測るのではなく、チャートや他のツールを用いて、今後の値動きを示唆するパターンを特定するのだ。

個人個人で多様な投資スタイルがあるのと同じように、その分多様なタイプのテクニカルトレーダーがいる。中にはチャートのパターンを重視するタイプであったり、経済指標とオシレーターを使用するタイプであったり、また多くの専門家はこれらの組み合わせを用いたりもしている。いずれにせよ、テクニカルアナリストは過去データや出来高のデータを専門に扱うという点でファンダメンタル要素を重要視しないことがわかる。ファンダメンタルアナリストとは違い、テクニカルアナリストは割安株であることを気にしない。彼らが唯一注目するのは、株価の過去の値動きと、そのデータに基づいて導き出される株価の未来の値動きである。 

テクニカル分析という一つの分析法は、以下の3つのことを前提においている。

  1. 値動きが全てを決める
  2. 株価はトレンドに沿って動く
  3. 株価変動の歴史は繰り返す傾向にある

 

1. 値動きが全てを決める

テクニカル分析では、どの期間における株価も、会社に影響した/影響する可能性のある事象 (ファンダメンタルズも含む) を全て反映していると考えられている。またテクニカル分析では、経済的要因、市場心理を含む企業のファンダメンタルズが全て株価に反映されていること前提としているため、各要因を分けて考慮する必要を省いている。テクニカル分析とは、市場の中の特定の株式の、需要と供給から生じる価格変動がすべてを決めると理論づけることが出来るのだ。

 

2. 株価はトレンドに沿って動く

テクニカル分析において、値動きはトレンドに連動すると言われている。トレンドが形成された後の値動きは、トレンドに逆らうというよりはそれに沿って動く傾向にある。テクニカル分析を用いた多くの戦略はこの理論に基づいている。

 

3. 株価変動の歴史は繰り返される傾向にある

テクニカル分析においてもう一つ重要なポイントは、歴史は繰り返される傾向にあるというもので、主に株価の変動のことを言う。反復性を持つ株価は市場心理に起因するもので、言い換えれば、株主たちは激しく変化する株価を売買する時に一貫した行動をとる傾向があるということだ。テクニカルアナリストたちは、チャートのパターンを読んで市場変動を分析し、トレンドを掴む。これらのチャートパターンは100年以上使用されているものだが、株価の変移が繰り返されるようにパターン化しているのを明示しているため、今でも実用的であると認められているのだ。

 

ファンダメンタル分析 VS テクニカル分析 

テクニカル分析とファンダメンタル分析は、金融市場の動きを学ぶための2大手法である。既に述べたとおり、テクニカルアナリストは株式の価格変動に注目し、そのデータを用いて今後の値動きを予測する。一方、ファンダメンタル・アナリストは経済的要因(ファンダメンタルズ)に注目する。では、この2つの分析方法がどのように違うのか、テクニカル分析との相違性と、この2種が株式の分析をするためにどのように合同して利用されるのかを見ていこう。

 

2種の相違点

チャート VS 財務諸表 (決算書)

テクニカルアナリストがチャートから株式の情報を得るのに対し、ファンダメンタルアナリストは財務諸表  (決算書) を用いる。

ファンダメンタルアナリストは、貸借対照表・キャッシュフロー報告書・収入報告書を見ることによって企業の価値を見極めている。財政面でいえば、ファンダメンタルアナリストはたいてい企業の根本的価値を評定する。この手法で投資した際の株価が、その企業の根本的価値よりも割安であれば良い投資を行ったということになるので、いくらか投資の意思決定がしやすい手法だ。 

一方テクニカルトレーダーは、企業のファンダメンタルズ(基礎的要因)は分析に利用するに値しないとしている。株価はその企業の価値の表れだからだ。テクニカルアナリストにとって、着目する株式に必要な情報は、全てチャートから読み取れるものなのである。

 

投資期間

ファンダメンタル分析はテクニカル分析に比べて相場の分析期間を長くとる。テクニカル分析は週、日、分単位でも行うことができるのに対し、ファンダメンタル分析はたいてい数年単位のデータを分析していく。 

この双方の分析期間の違いは、それぞれの投資方法の根本的な違いによるものである。企業価値が市場に表れるのには時間がかかるため、ファンダメンタルアナリストが企業の根本的価値を推定する時にその株価が「適正な」数値を出してからでないと、収益の度合いは把握できない。このタイプの投資方法はバリュー投資と呼ばれ、短期間で相場を見るべきではないとしている。株価は長期にわたってそれぞれ修正していく、としているのだ。この「長期」とは、場合によっては「数年間」という期間にまで渡るのだ。

更に、ファンダメンタル分析で得られる数値は決められた時期にのみ公開されるものである。決算報告書は四半期ごとに発表され、一株当たりの収益の変動は、価格と出来高の情報とは違って日常的に見ることはできない。そしてファンダメンタルズとは企業そのものの特徴であることを忘れてはならない。新規事業が一夜にして大幅な変化を遂げることはなく、新しい商品の開発や販売促進キャンペーン、サプライチェーン(生産から消費までのプロセス)といったものは時間を要する。したがって、ファンダメンタル分析に長期間を要するのは、必要とする株式の情報が、テクニカル分析で使用する価格と出来高のデータよりも遅れて現れるからである。

 

トレード VS 投資

テクニカル分析の分析期間がファンダメンタル分析に比べて本質的に短いだけではなく、大抵の場合それぞれが株を購入(または売却)する目的そのものが違う。通常、テクニカル分析はトレード (投機) に用いられ、ファンダメンタル分析は投資に用いられる。株式を購入する際、投資家はその出来高の上昇を見込んで投資するのに対し、トレーダーは買いの時よりも高く売れる株式に投資する。トレードと投資の区別はあまり明確ではないが、それぞれの手法の性質の違いは明らかである。

 

2つの手法は同時に利用できないのか

多くの場合、テクニカル分析とファンダメンタル分析は、投資における「水と油の関係」とみなされているが、市場参加者の多くはこの2つの手法を組み合わせることで大きな成功を収めている。例えば、ファンダメンタルアナリストは対象の株式を安値で購入するのに最適な時期を見出すために、テクニカル分析を利用する。この場合の多くは、その株式の売り状況が激しいときに起こる。その株式に良いタイミングでエントリーすることによって、投資で得られる収益を大きく伸ばすことが出来るのだ。 

また、テクニカルトレーダーの中には、テクニカル分析の強気なサインを見出すためにファンダメンタルズに注目する人もいるだろう。例えば、売りのシグナルがテクニカルパターンとテクニカル指標に表れたら、テクニカルトレーダーはカギとなるファンダメンタルズのデータを見ることで意思決定を確固たるものにするだろう。こうした場合の多くは、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の両方を持ち合わせることで、トレードにおけるベストな結果を出すことも出来るのだ。

それぞれの手法に忠実な専門家にとって、テクニカル分析とファンダメンタル分析の要素を組み合わせることは受け入れ難いことなのだが、双方の手法を最低限理解することで利益を得られることは確かである。

 

トレンド

トレンドは、テクニカル分析で最も重要なコンセプトの1つである。金融用語のいうトレンドとは、一般的に「株価や相場が示す方向性」とも定義づけられる。下のチャートを参照してみよう。

上の表の示すトレンドは分かりやすいだろう。しかし、いつも単純とは限らない。

上のチャートを見てみると、チャートがかなり上下しているのがわかる。しかし、この株式がどこに方向性を示しているのかは明確に見えない。

 

更に形式化された定義

残念ながら、トレンドはいつも簡単に表れるとは限らない。つまり、チャートが見せるトレンドの方向性はかなり不明確なのである。どのチャートも、株価の推移が高低さを表す以外どの方向にも一方的に動くことはない。テクニカル分析において、この上下する株価の推移がトレンドを構成するのだ。例えば、トレンドの上昇とは高値と安値も上昇しているものであり、トレンドの下降とは高値と安値も下降しているものと分類されている。 

Figure3は上昇トレンドの例である。チャート内の②は一番初めの高値で、この地点をピークに株価が下がる。③は高値から最も下落した位置を占める安値である。この状況で維持するか、あるいは上方に向かうためには、一連の安値がその前の安値よりも下がらないか、そこから逆転しない必要がある。

 

トレンドのタイプ

トレンドには3つのタイプがある。 

  • 上昇トレンド
  • 下降トレンド
  • 横ばい/保合いトレンド

文字通り、一連の株価変動で山の部分と谷の部分が全体的に上昇していたら、それは上昇トレンドといえる。もし、それが下降していたら、下降トレンドといえる。ほとんど変化がなければ、それは横ばい、あるいは保合いトレンドといえる。更に掘り下げるのならば、保合いトレンドはその株式が持つ実際のトレンドを示しているのではなく、どちらの方向にも明確に示すことは現状出来ないということなのだ。いずれにせよ、相場は以下の3通りの方向性を示す。上昇か、下降か、どちらでもないか、である。

 

トレンドの期間

トレンドにおける3種類の方向性に加え、トレンドはさらに3種類に分類される。それぞれの方向性に限らず、それは長期トレンド・中期トレンド・短期トレンドに分けられる。株式市場において、長期トレンドというものは1年以上続いているものである。中期トレンドは1~3か月間、短期トレンドは1か月以下を見込んだものである。長期トレンドは中期トレンドがいくつか組み合わさったもので、この中期トレンドは長期トレンドと反対を示すことが多い。長期の上昇トレンド時に値動きが下方に調整されつつも上昇傾向を保っている場合、この調整局面は中期トレンドだと考えられる。短期トレンドは主要トレンドと中期トレンド両方の組み合わせである。Figure4を参照にして、これら3種類のトレンドの期間を見てみよう。

トレンドを分析する際、チャートがトレンドをしっかり反映するよう設定されていることが重要となる。長期トレンドを見極めるためには、5年間の週足または日足チャートを用いることが多い。日足チャートは、中期トレンドにも短期トレンドにも用いられる。そして、トレンドの時期を長く見るほど、その情報は重要になってくることも鉄則だ。例えば、1ヶ月間のトレンドは5年間のトレンドほどの情報量は持っていないということだ。(詳細―短・中・長期トレンド)

 

トレンドライン

トレンドラインは、相場や株のトレンドを表す線状グラフで、チャート中に組み込んで分析する単純な手法である。トレンドラインは、チャートが示すトレンドに沿ってただ直線を引いたものだ。トレンドラインは、その株式のトレンドをはっきりと表すだけでなく、トレンドが反転するかも識別することもできる。 

上向きのトレンドラインは、上昇トレンドの下部に描かれる。このトレンドラインは、下方へ移動する株価を下からサポート(支持)する形を取る。株価がこのサポートをどのように抜けるかが注目されるのだ。このようなトレンドラインは、株価がどのタイミングから再び上昇トレンドに向かうのかを予測するために用いられる。同じように、下降するトレンドラインは下降トレンドを示す一連の株価の上部に描かれる。このトレンドラインは、株価が安値から高値へ動くたび、そのラインを越えないよう抵抗するレジスタンスとして表される。

 

チャネル

チャネルまたはチャネルラインとは、サポート(支持線)とレジスタンス(抵抗線)のそれぞれ際立った箇所における2つのトレンドラインに並行して引かれる。上昇トレンドラインは上昇チャネル、下降トレンドラインは下降チャネルに連結する。チャネルラインの方向性は上・下・横ばいとあるが、いずれも解釈は同じである。トレーダーは株価がどちらかのチャネルラインを抜ける時、つまりそこから大きな転換が生まれる時を見込んで、チャネルラインの間で取引のチャンスをうかがう。チャネルラインはその株式のトレンドを明確に示しているので、重要視するサポートとレジスタンスを表すために用いられる。

Figure6はチャートの下降チャンネルを表している。上昇トレンドラインは高値に沿うように位置し、下降トレンドラインは安値に沿うように位置している。株価はトレンドラインとチャネルラインにぶつかるようにジグザグ動き、何か月間かの振れ幅は残される。株価がサポートラインより下がらないかレジスタンスラインを超えない限り、下降トレンドの値幅を上下し続けると考えられる。

 

トレンドの重要性

トレンドを理解し、掴むことはトレードで勝率を上げるのに重要なことである。テクニカル分析において重要だと言われることが2つある。1つは「トレンドと友達なる」、そしてもう1つは「トレンドに反抗するな」であり、この二つはテクニカルトレーダーにとってトレンドの分析がいかに重要であるかを表す言葉である。

 

サポートとレジスタンス

さて、トレンドについて理解したところで、もう1つの主要なコンセプトとしてサポート (支持線) とレジスタンス (抵抗線) が挙げられる。これからテクニカル分析における断続的な強気・弱気の市場戦や、買い手(需要)と売り手(供給)間のもみ合いについて述べよう。

サポートは株価が同じレベルまで下落したポイント(青矢印)、レジスタンスは同じレベルまで株価が上昇したポイントである(赤矢印)。こちらも併せて参照。

 

なぜこのような現象が起こるのか?

サポートとレジスタンスは、市場心理と需要・供給の関係を理解するのに重要な要素である。サポートとレジスタンスが示す度合いは、トレーダーの購買意欲(サポートにおいて)または販売意欲(レジスタンスにおいて)の度合いのことを言う。これらのトレンドラインが切り替わる時、つまり需要と供給の関係や株価変動が切り替わるだろうという心理状態を背景に、サポートとレジスタンスのレベルが新しく出来上がるのである。

 

概数と、サポート・レジスタンス

サポートとレジスタンスにおいて、有価証券の数が多量の場合表すのによく用いられる数字の1つとして、概数がある。概数とは、例えば10、20、35、50、100、1000といった数字で、サポートとレジスタンスにおいて重要な役割を果たす。トレーダーの多くが株の売買を意思決定する際の主なターニングポイントとしての数値を示すからだ。

買い手は、500円(よく使われる概数)まで株価が下落すると多量の株を購入し、これにより株価はこのレベルよりも下落することが難しくなる。逆に、売り手は株価が概数の最高値まで上がった時に株を売りはじめ、これ以上上昇できないようにすることもあるのだ。これら2つのポイントは株の売買意欲が加熱する時で、サポートとレジスタンスが重要な位置づけとなる。そしてほとんどの場合、主要な心理戦の場となるのだ。

 

機能の逆転

サポートとレジスタンスを一度突破すると、それぞれのラインは役割が逆転する。例えば株価がサポートを下抜けすると、サポートはレジスタンスへと切り替わり、株価がレジスタンスを上抜けすると、それはたいていの場合サポートとなる。株価が一方のラインを越えることでそれぞれの役割が変わり、需要と供給は切り替わったと考えられる。この逆転劇が実際に起こるためには、株価がサポートあるいはレジスタンスを大きく越えることが重要である。

例えばFigure2を見てみると、点線はチャート前半で最も高値であった2点(①と②)がこの線を越えるのを防ぐレジスタンスラインとなっている。しかし、このレジスタンスラインがブレイクされたとき、この点線はサポートライン(③と④において)へと変わり、株価を下で支え、それよりも下降しないようにするのである。

テクニカル分析を始めるトレーダーの多くが、たとえ一部の超有名企業においてでも、上記のような概念に真実味があるのか疑問を持ち、またこの現象が頻繁には起こらないことを知る。例えば、Figure3の2003~2006年のウォルマート・ストア者(WMT)のチャートを見てみよう。51ドル基準のサポートラインが大きく反転してレジスタンスラインに切り替わっているのがわかるだろう。

ほとんどの株価チャートには、サポート(支持)レベルとレジスタンス(抵抗)レベルが存在し、株価はこのレンジの中で跳ね返るように上下する。この現象は、株価が連続的にピーク(山)とトラフ(谷)を描くような横ばい状態の時によく見られ、レジスタンスとサポートがいつ、どう切り替わるかの引っ張り合いが続く。

 

サポートとレジスタンスの重要性

トレードの意思決定にもなるトレンドの切り替わりを知ることができるため、サポートとレジスタンスの分析は非常に重要である。例として、レジスタンスラインが今にも突破されそうな際どい状態が続いていたとしよう。これを見たトレーダーは、株価がレジスタンスラインを超えることはないと見込んで、ライン上に到達した時点で株式を売ろうと考えるだろう。

サポートレベルとレジスタンスレベルは、どちらもトレンドの動向を調べ、またそれを示し、テクニカル分析を利用する人は必ず観察しなくてはならないものである。この2つのライン内で株価が保たれていればいるほど、トレンドはそのまま続くと予想される。しかし、2つのラインの関係性に注目をおくのは大切であるが、もしサポートレベルまたはレジスタンスレベルを突破したとしても、それが必ずしも反転になるとは限らないのだ。それは、株価の騰貴(上昇)がチャネルラインで予想されていたよりも早く起こった、ということである。

このサポートとレジスタンスのポイントに注目することで、株をどのように売買するかも変わってくる。トレーダーは主要な突破ポイント (整数値など) での取引は避けたほうが良いだろう。なぜならサポートとレジスタンスが反転するポイントは通常、変動が激しくライン上で必ず反転するとは限らないからだ。もしサポートレベルあるいはレジスタンスレベル付近で売買を決心できたのなら、以下のルールに従うことが無難であろう。「サポートレベルまたはレジスタンスレベル上で直接エントリーしないこと」である。ほとんどの場合、株価は実際のところ整数値になることはなく、その数値に行くか行かないかの際どい状態になるからだ。もし株価がサポートラインに限りなく近づくと強く感じているのなら、サポートレベル上で決済はしてはならない。そのレベルから少しだけ上の数値のところで決済を行おう。もしくは、ストップ注文や空売りをする際には、サポートレベルよりも下の数値を定めるのが望ましい。

 

出来高

この時点で、“株価”についてのみ述べてきた。テクニカル分析において価格というものが主要な項目であるのに加え、出来高も非常に重要な項目である。

 

出来高とは何か?

 出来高とは単純に、主に1日または任意の時期に取引が成立した株式数のことである。出来高が高いほど、株の取引が活発であることを示している。出来高の動向(上か下か)を判断するには、チャーチストたちはチャートの下の部分にある出来高の棒グラフに注目する。棒グラフは、その時期ごとに取引された株式の数、そして株価と同様にトレンドの方向を示す。

 

なぜ出来高が重要なのか

出来高はトレンドとチャートのパターンを確認するのにとても有力な情報なため、テクニカル分析においてとても重要視されている。同じような値動きであっても、出来高の多い時の値動きは強気とみなされ、少ない時の値動きは弱気とみなされる。そのため、価格変動の大きいチャートを見ているのであれば、それが出来高と反映されているかどうかも考慮に入れるのが良いだろう。

例えば、しばらく下降トレンドが続いた後で株価が5%跳ね上がったとしよう。これは反転のサインなのだろうか?ここで出来高が登場する。もしその出来高が、一日の平均出来高よりも高ければ、それは現実的に反転のサインだと言えるだろう。一方で、出来高が平均よりも下回っていたら、そこにトレンドが反転したこと確信できる要素はないと見ていいだろう。

出来高はトレンドと同じように動いているのが必須だ。株価が上昇トレンドにおいて上がっている時、出来高も増加しているべきなのだ(その逆も同様)。もし、直前の出来高と価格変動との関係性が悪化するようなことがあったら、それはたいていの場合トレンドが弱まっている兆候である。例えば、株価が上昇トレンドにあるのにその日の出来高が低値を示していたら、それはトレンドが勢いをなくし終焉を迎えることを意味するのだ。

出来高が株価と異なる動向を示したら、それは2つの異なる指標が否定し合うという相違関係を意味する。最も単純な例は、明確な上昇トレンドにおいて出来高が減少している状態、であろう。

 

出来高とチャートパターン

出来高のもう一つの利用用途はチャートパターンの確認である。パターンとは、ヘッドとショルダー、トライアングル、フラッグ、そして出来高を通して調べられる価格のパターンなどのことである。(後者の手法についてはまた後ほど述べる。)チャートパターンの多くは、チャーチストに有力で強い重要な情報を与えている。基本的に、チャートパターンが重要なサインを見せているのに出来高がそれに相応していないとしたら、そのチャートが見せるシグナルの質は低いものと言えるのだ。 

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出来高は株価よりも優先視される

テクニカル分析では、出来高よりも株価が重視される。出来高は、この先起こり得るトレンドの反転を予測するために分析家やチャーチストに大きく注目されているのだ。もし出来高が上昇トレンドにおいて減少している時は、それは上昇する傾向が終わることを意味している。

 テクニカル分析において重要な分析要素をいくつか見てきたところで、こんどはチャートに行ってみよう。チャートは、トレードの機会と価格変動を見極める情報を提供してくれる。

 

チャートの設定

チャートを見る際に、意識しておくべき要素がいくつかある。チャートから情報を読み取るのに大きく影響を与えるからである。

 

表示期間

チャートの下部には、そのチャートが表示されている期間(時間)が記されており、それは年単位から秒単位までと幅広い。最もよく使用される表示期間は日中(ざらば)、日足、週足、月足、四半期足、そして年足がある。表示期間を狭くするほど、チャートの詳細を見ることができる。それぞれのデータポイントでは、表示されている期間の始値・高値・安値・終値などを表し、チャートの使い方によって表示される株価の情報が違ってくる。

日中チャートは一日間の相場の価格変動を描く。この時、表示期間を最短の分足にしたり、相場が開いている時間内(日中)にしたりすることが出来る。

日足チャートでは一日分の値動きの情報が一つのデータポイントにまとめられている。先にも述べたが、一日の値動きを、チャート上の各ポイントで単純にその時の終値を示すこともできるし、始値・高値・安値・終値を含ませることもできる。これらのデータポイントの期間は、週足、月足、そして年足へと伸ばすことができ、短期・中期トレンドどちらの株価の値動きもモニタリングすることが出来る。

週足、月足、四半期足、そして年足のチャートは、長期トレンドにおける株価の値動きを分析する際に用いられる。それぞれのチャートにある株価のポイントは、任意の期間にどのように値が動いたかをまとめられた状態で見られる。週足チャートで言えば、それぞれの株価のポイントは、一週間の間に動いた株価の動向を表す。例えば、5年間分の週足チャートで、それが一週間ごとの終値を表示しているものだとしたら、表示されている各々の数値は一週間の終値、つまりその週の取引最終値を表している。これは一般的には金曜日のことである。

 

チャートのタイプ

チャートには主に4種のタイプがあり、それらはトレーダーや投資家たちが必要としている情報やスキルによって用いられるものが異なる。

チャートの種類

  • ラインチャート
  • バーチャート
  • ローソク足チャート
  • ポイント・アンド・フィギュアチャート

以下で述べる内容は、S&P500に焦点を当てたものである。そこで、チャートを作成するにあたってのデータの利用方法は同じであるということと、チャートにどのように数値が当てはめられ表示されているのかはそれぞれ違う、ということを意識してもらいたい。
併せて参照:http://jp.advfn.com/fx/help/technical-analysis/chart-type

 

ローソク足

ローソク足チャートはバーチャートと中身は同じであるが、表示方法が異なる。バーチャートと同様に、ローソク足チャートは細長い垂直の棒で描かれ、その時点でのトレードの値幅を示している。この2種の違いは、始値と終値を示すこの垂直線の太さである。またバーチャートのように、ローソク足チャートはトレードされた間に何が起こったのかを、必ず色で分けて表す。しかしローソク足の色分けで生じる主な問題点は、サイトによって使用される色とその意味が違うことである。ゆえに、閲覧するチャートのローソク足がどのような構成要素を持っているのかを理解してから使用する必要がある。ローソク足の色には、その日の値上がりと値下がりとで2種類の色を使用する。もしその株の終値が始値より上がっていたら、そのローソク足はたいてい白色か無色で表わされる。もし始値よりも下落して取引が終了したら、そのローソク足はたいてい、赤色か黒色で塗りつぶされる。もしその日の終値が前日の終値よりも上昇していて、しかし同日の始値よりも下がっていたなら、そのローソク足は黒色か、値上がりの色を塗りつぶした形で表される。
さらに詳しいローソク足の解説はこちら

 

ラインチャ-ト 

4種のチャートの中でもっとも基本的なものはラインチャートである。なぜなら、このチャートは任意の期間の終値のみを表しているからである。チャートの線はその期間の終値をつなげて描かれる。トレードにおける、高値・安値・始値などの値幅は描かれないのだ。しかし、株価のデータにおいて、その日の終値は同日の高値や安値に比べて重要な情報として見られているため、ラインチャートでは終値だけを示すだけで十分と考えられているのである。

 

バーチャート

バーチャートは、ラインチャートに重要なカギとなるいくつかのデータを加えて構成される。バーチャートは垂直線で描かれ、その線がその時点での株価の情報を表す。この垂直線は取引された時の終値に加えて高値と安値も示す。終値と始値は、この垂直線に対して水平な線で描かれる。バーチャートにおける始値は、垂直線の左側に横線で短く描かれる。また、終値は垂直線の右側に同じような短い線で描かれる。一般的に、左側の横線(始値)が右側の横線(終値)よりも低い位置にあるときの垂直線は黒色で描かれ、株価が上がったことを示す。赤色で示された垂直線は、その時点での株価が下がり損失であった、ということを表す。この時は垂直線の右側の横線(終値)が左側の横線(始値)よりも低いところに位置する。

 

ポイント・アンド・フィギュアチャート

ポイント・アンド・フィギュアチャート広く一般的に知られたチャート手法ではない。しかし、テクニカル分析が初めて使用されるようになった頃からの長い歴史がある。このチャートは時間軸や出来高は表さず、株価の変動そのものを描く。このチャートでは、トレーダーが敏感に見がちなややこしい株の値動きや小さな値動きを無視するものだ。この種のチャートは、時間軸や細かな値動きを重視する一般的な分析と異なり、簡素化して大局的に見られるものとなっている。 

まずポイント・アンド・フィギュアチャートを見てみると、×と○の記号が描かれているのが見えるだろう。×はトレンドの上昇を表し、○はトレンドの下降を表す。さらに下の部分に数字と英文字があるが、これはチャートの変動がどの月のものなのかを表している。記号 (○×) の数で変動の大きさを表し、記号の数はその時の株価に合わせて調節される。株価が高くなれば、高い数値のところに記号が描かれる 。株価が20ドルから100ドルを表すほとんどのチャートにおいて、記号一つは1ドルまたは1ポイントとして割り当てられている。このチャートのもう一つの要点は、反転の際の表示基準である。通常、反転するのは3ポイント以上の変化があった時だが、使用者によって任意の反転値を設定できる。反転させる基準は、新しいトレンドに切り替わるのに株価トレンドがどれだけ高値あるいは安値から動くのか、あるいは、記号が×から○に(またはその逆)なるのにどれだけ株価が動く必要があるのか、にかかってくる。トレンドが変わったとき、変化が起こったことを示すために○×記号は右側に1つ移動して新たに描かれる。

 

結論

チャートは、テクニカル分析において最も基礎的な見方の1つである。閲覧しているチャートが何を見せていてどのような情報を提供しているのか、しっかり理解していることが重要である。さて、チャートがどのように構成されているのかを学んだところで、次はまた違ったタイプのチャートパターンを見ていこう。

 

 

チャートパターン

チャートパターンは、トレードのシグナルや今後の株価の動きを明確に見せる構成になっている。チャーチストはトレンドの近況とトレンドの反転、株の売り・買いの引き金となるシグナルを見極めるためにこれらのパターンを利用する。

 ADVFNのチャートマッチャ―はこちらから

 チャートパターンは、株価変動の歴史は繰り返されるという考えを基に作られる。これは、ある程度のパターンはチャート内で何度も見受けられるからであり、そのパターンは、株価が変動するだろうというシグナルとしてほぼ正確に表されるからである。特定の株価の動向に準じたチャートパターンの過去の歴史を基に、トレードの機会を伺うのだ。

テクニカル分析におけるチャートパターンには反転または保ち合いという二種類のパターンがある。反転パターンのシグナルは、直前のパターンが終了しトレンドが転換することを示す。逆に保ち合いパターンは、直前のパターンが終了した後も引き続きトレンドが続くこと表す。これらのパターンは、どのチャートのどの期間においても見ることが出来る。以下は、よく見られるチャートパターンの例である。

併せて参照:http://jp.advfn.com/fx/help/technical-analysis/reversal-pattern 

 

ヘッド&ショルダー(反転パターン) 

これはテクニカル分析においてとてもよく知られ、信頼されているチャートパターンである。ヘッド&ショルダーは、株価が直前のトレンドと逆方向に動く可能性を示唆するチャートパターンである。Figure1を見てみると、チャートパターンには二種類のヘッド&ショルダーが存在する。ヘッド&ショルダーが上側(左図)にある時、そのチャートパターンは株価が上向きに動いている時で、そして上昇トレンドが終了する可能性を示唆している。パターンが下側(右図)にある時は、あまりよく知られてはいないが、下降トレンドが反転する可能性を示唆している。

ADVFNのチャートマッチャーでヘッド&ショルダーのチャートパターンを見るにはこちらから

 

MトップとWボトム(反転パターン) 

このチャートパターン(別名ダブル・トップとダブル・ボトム)は、最も信頼され一般的に使用されているもののひとつである。これらのパターンは持続したトレンドの後に形成され、トレンドがこの後に反転する可能性を示唆するシグナルとして使われる。このチャートパターンは株価がサポートレベル、あるいはレジスタンスレベルをブレイクするかしないかの際どい位置まで2度攻めこむことで形成される。このパターンは、中期及び長期トレンドにおいてよく利用される。

ADVFNのチャートマッチャーで個人のWトップのチャートパターンを見るにはこちらから

 

カップ&ハンドル(保ち合いパターン)

カップ&ハンドルは強気の保ち合いパターンである。上昇トレンドを保ち続け、パターンが出来上がってから更に上向きに伸びる。

ADVFNのチャートマッチャ―で自分のカップ&ハンドルチャートを作るにはこちらから  

上の図を見ると、上昇トレンドから始まり株価のパターンがカップ (器) のような形になっているのが分かる。ハンドル (持ち手) の部分は、一般的にカップが形成されてから株価が下降、あるいは横ばいに動くことで形成される。株価が一度ハンドル部分のレジスタンスラインを越えると、上昇トレンドは続いていくと考えられる。このタイプのパターンは形成される期間が数か月から1年以上と、幅が広くとられている。

 

トリプル・トップとトリプル・ボトム(反転パターン)

トリプル・トップとトリプル・ボトムは、テクニカル分析における反転パターンのひとつだ。先の2種類のパターン(ヘッド&ショルダー、ダブル・トップとダブル・ボトム)ほど知られてはいないが、同様に利用できる。このトリプル・トップとトリプル・ボトムのチャートパターンは、株価がサポートレベルとレジスタンスレベルの間をそれぞれブレイクすることなく3度行ったり来たりすることで形成される。そしてこれは、直前のトレンドの反転を意味する。

ADVFNのチャートマッチャ―で自分のトリプル・トップ、ボトムチャートを作るにはこちらから

この形のチャートは、他のチャートパターンと同じような形を形成することから、少々ややこしい。株価がサポートとレジスタンスを2度ずつ行き来するとダブル・トップとダブル・ボトムに見えることから、その時にトレンドが反転すると思い込んで早めにエントリーしてしまうこともあるのだ。

 

ラウンド・ボトム(反転パターン)

ラウンド・ボトム(またはソーサーボトム)は、長期に渡って下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる反転パターンである。このパターンはたいていの場合、数か月から数年間でも続くと言われている。

 ADVFNのチャートマッチャ―で自分のラウンド・ボトムチャートを作るにはこちらから

ラウンド・ボトムチャートの底のカーブを帯びた部分は、ハンドルを取り除いたカップ&ハンドルのパターンに見える。通常、長期にわたってパターンが形成される上、カップ&ハンドル型のハンドル部分のようにエントリーのタイミングが図りにくいことから、トレードにおいては判断が難しいケースである。

 

ギャップ (窓)

株価チャートで言うギャップとは、トレードとトレードの間に出来る隙間のことである。日本では窓と呼ばれる。これは、連続するトレード間における株価に大きな差があることに起因する。例えば、とある日の値幅が700円から750円で、その次の日の始値が780円だとしたら、チャート上ではこの2つの取引日の数値に大きな「ギャップ」ができる。株価変動でギャップが表れるのは、バーチャートとローソク足チャートで、ポイント・アンド・フィギュアやラインチャートには表れない。ギャップは一般的に、利益が予想以上に出た企業など、その株式に何か重大な事が起こった時に表れる。

ギャップには、ブレイクアウェイ、ランナウェイ、イグゾーションの3種類がある。ブレイクアウェイ・ギャップはトレンドが始まる時にでき、ランナウェイ・ギャップはトレンドの半ば、そしてイグゾーション・ギャップはトレンドの終わりごろに表れる。

 

移動平均

チャートパターンは様々な類の株価変動を見せる。そこで、この移動平均という単純な分析手法を使ってチャートを分析する。移動平均は株価の平均値をプロットしていくことで、株価の変動を平滑に表す。チャート上で、日々の激しい株価変動を取り除いた移動平均線を見ることで、本当のトレンドの傾向と今後の値動きの可能性を探りやすくなる。

 

移動平均の種類

移動平均は、様々な異なる計算方式で算出され、それにより異なるタイプの移動平均が存在する。しかし、それぞれの移動平均に対する解釈は共通である。算出方法は、トレーダーがどの株価データに比重を置くかで異なる。割り出す日数分のデータを均等に扱うか、最近のデータに最も比重を置くかである。移動平均で最も一般的なものは、単純移動平均・線形加重移動平均・指数平滑移動平均である。

 

単純移動平均(SMA)

 これは最も一般的な算出法である。データで使用する過去の終値を足し合わせ、その終値の数で割り出したものだ。例えば10日分の移動平均では、過去の10日分の終値を足したものを10で割る。下のFigure1を見てみると、使用する時間数(計算式だと分母にあたる数)を増やすことで、変動する株価にあまり影響されない結果が出ているのが分かる。計算する時に時間数(分母)を増やすことで、長期トレンドの傾向や反転の可能性を判断するのに役立つ。


よく言われるのは、しかし株価データ上の各データポイントが全て均等に計算されることから、単純移動平均の算出法の問題点を指摘する人もいる。これは直近の株価は過去のものに比べより重要であり、直近のデータにこそ比重を置くべきであると考えられているからである。このような平均値の算出方法であると有用性が限られてしまうため、移動平均の新たな算出法が生み出されている。 

 

線形加重移動平均

この移動平均は、前に述べた3種類の中では最も一般的ではない。算出に使うデータの平等的扱いを指摘するのに適したものである。線形加重移動平均は、任意の期間の終値にそれぞれのデータの位置(例えば、当日値をnとした時、1日前の終値をn-1、2日前だとn-2と位置付ける)を掛け合わせ、それを使用した終値分の数(日数)で割る。例えば、5日線形加重移動平均を出すとき、今日の終値に5を掛け、昨日の終値を4で掛け、同じように1日目まで計算する。もとめられたそれぞれの数を足し合わせ、それを使用した日数(この場合は5)で割る。このようにして算出するものである。

 

指数平滑移動平均

 この移動平均は直近の株価に最も比重を置くため、平準化係数を用い、線形加重平均に比べてさらに効果的であるといわれている。指数平滑移動平均の算出方法は、今では殆どが機械で自動的に計算されてしまうため理解する必要はあまりない。とはいえ、指数平滑移動平均は単純移動平均に比べて直近の株価にかなり影響されることを忘れてはならない。テクニカル・トレーダーが移動平均においてこの手法に重点を置いているのはそのためである。下のFigure2を見ると、15日指数平滑移動平均線(EMA)が15日単純移動平均線よりも速く反応しているのが分かる。さほどの差はないように見えるが、これは反転するタイミングを見る時には重要な差となりうるのである。

  

移動平均の主な利用法

移動平均は、サポート・レジスタンスレベルと同じく現在のトレンドやトレンドの反転を見極めるために利用される。

移動平均の動向によって、その株式が上昇トレンドに動いているのか下降トレンドに動いているのかを瞬時に判断することが出来る。下のFigure3では、上昇する移動平均より上の位置で株価が推移している様子が上昇トレンドであることを表している。反対に、下降する移動平均とその下部で株価も下降している様子は、下降トレンドのシグナルでもある。

トレンドの勢い(モメンタム)を判断するもう一つの方法として、2種の移動平均の動向を見ることが挙げられる。短期移動平均が長期移動平均よりも上に位置していたら、トレンドは上昇している、といった見方だ。また反対に、長期移動平均が短期移動平均よりも上に位置していたら、それは下降トレンドのシグナル、ということになる。 

移動平均のトレンドの反転は、次の2つの形で現れる。1つは、株価が移動平均を上抜けした時、もう1つは、移動平均が他方の移動平均(2種の移動平均を取り入れたチャートにおいて)をクロスした時である。前者の一般的なシグナルは、ある時点での株価がトレンドを表す重要な移動平均線をクロスした時である。例えば、上昇トレンドにあった株価が50日移動平均線を下抜けすると(Figure4参照)、それは上昇トレンドが反転する可能性を示唆している。

もう1つの反転トレンドのシグナルは、一方の移動平均線がもう一方をクロスした時である。例えばFigure5のように、15日移動平均線が50日移動平均線を上抜けすると、それは株価が上昇するという強気のサインを表している。

移動平均を15日と35日などの短期の日数で算出する時、これは短期トレンドの反転を分析することができる。また、2種の長期移動平均のクロスオーバー(例えば50日と200日)だと、長期トレンドの反転を分析することができる。 

もう一つ、移動平均の主な用途としてサポートレベルとレジスタンスレベルを特定することができる。下降する株価が下げ止まり、そして移動平均の支持線にぶつかったところで反転することは珍しいことではない。チャート上で株価が主要な移動平均線を超えるのは、トレンドが反転するシグナルである。例えば、株価が200日移動平均線を下抜けすると、それは上昇トレンドが反転するシグナルであるといえる。

株式のトレンドを分析するのに移動平均は持って来いである。移動平均が作り出す支持線と抵抗線は単純でとても使いやすい。移動平均を求めるのに最もよく使われる期間は、200日・100日・50日・20日・10日である。200日移動平均は1年間のトレード期間を測るのに適していると言われ、100日平均は半年間、50日平均は四半期間、20日平均は1ヶ月間、そして10日平均は2週間といった具合だ。

また、移動平均は日々の株価変動の細かい雑多な動きを取り除いて平滑化するので、トレンドの動向が更に見やすくなる。ここまでチャートと移動平均における株価の動きについて見てきた。次のセクションでは、株価の動きとパターンを確認するためのテクニックを見ていこう。

 

インディケーターとオシレーター

インディケーターとは、マネーフローやトレンド、ボラティリティ(価格変動率)、モメンタム(勢い)といったものを測る株価や出来高を基にして算出される経済指標の1つである。これは実際の株価の動向を測り、株式を分析するのに必要な更なる情報を取り入れるために利用される。インディケーター(指標)の用途は主に以下の2通りに分けられる。1つは株価の動向とチャートパターンの質を見極めるため、もう1つは売りと買いのシグナルとして使用するためである。

そしてインディケーターは2つのタイプに分けられる。先行と遅行だ。先行指標は株価に先行して動き、その株式の値動きを予想する。一方で遅行指標は、株価の後についてくるため、その株式の値動きを確認するためのものとなる。先行指標は、取引の値幅(その日の安値と高値の幅)が横ばい、あるいは変化がみられない時に使用され、遅行指標は明確な上昇・下降トレンドの際に利用される。

さらに、インディケーターには2つの構成要素がある。有界範囲内(特定の数値で範囲を決め、それをもとに比較させる)で示されるものか、そうでないものか、である。有界範囲内で数値化されるものはオシレーターと呼ばれる。これはインディケーター(指標)の中で最も一般的なものである。オシレーター指数には範囲というものがある。例えば0から100を範囲とした時に、証券が「買われすぎ」(100に近くなる)なのか「売られすぎ」(0に近くなる)なのかといった見方が出来る。有界範囲を見せないインディケーター(指標)は、その証券の売買が強気なのか弱気なのかのみを見せるが、その見せ方は様々である。

テクニカル分析においてインディケーター(指標)は、交差(クロスオーバー)と乖離(ダイバージェンス)という形で買いと売りのシグナルを表す。クロスオーバーは最も人気なシグナルで、株価が移動平均と交差するか、2つの異なる移動平均線が交差するといったものがある。もう一つのシグナルはダイバージェンスで、これは株価トレンドとインディケーター(指標)が全く別の方向に動くことをいう。この時、株価トレンドの動向が弱まっていることを示しているのだ。

テクニカル分析においてインディケーター(指標)は、アナリストにとても有用的な追加情報をもたらしてくれる。これらのインディケーター(指標)は、その有価証券のトレンドを分析するため必要な情報、例えばモメンタム(勢い)、トレンド、ボラティリティ、その他さまざまな情報を導き出す手助けとなる。売りと買いのシグナルを特定するために、トレーダーには1種類のインディケーター(指標)しか用いない人もいるが、それよりも株価変動とチャートパターン、そして他のインディケーター(指標)を用いるのが最適であると言えよう。

 

累積 / 分布ライン(ADライン)

 累積 / 分布ラインは、有価証券のマネーフローを測る出来高指標としてよく利用される。このインディケーター(指標)は、その株式の買い値と売り値の比率と、株価チャートにおけるその時点での変動幅と出来高との比率を比較する。

計算式は以下の通りである:

AD=((終値-安値)-(高値-終値))/ (高値-安値) *その時点での日本円

                                               出来高

これは、その株価チャートの時間軸内において、有界範囲のない(数値で範囲を定めない)指標の1つで、その時点ごとに上の計算式でもとめられた数値が流れるように表せられる。トレーダーはこの指標を見て、その時点での株式の買い値の合計と売り値の合計を比較し、注目するその株式を分析する。もし、その株式のADラインが上昇傾向にあったら、それは売りよりも買いの方が強い(多い)ことを表す。

 

平均方向性指数

平均方向性指数(ADX)は、直近のトレンドの強さを測るトレンド指標である。この指標は直近のトレンドの方向を見極める目的で使われることはあまりないが、トレンドの背景にあるモメンタム(勢い)を確認することが出来る。

ADXは、2方向の株価の値動きを使って算出される。プラス方向性指数(+DI)とマイナス方向性指数(-DI)である。ADXは、このようにトレンドの方向性ではなくトレンドの強さを表すのだ。+DIは上昇トレンドの強さを表し、-DIは下降トレンドの強さを表す。この2つはADXラインと合わせてチャートにプロット(描画)される。0から100の指数において、この方向性指数(DI値)が20以下を示したら、それはトレンドが弱気であることを表し、40以上を示していたら逆にトレンドが強気であることを表すのである。

詳しくは、ADVFNヘルプページADX(トレンドの強さ)/DMI(方向性指数)を参照

 

アルーン

アルーン指標は、1995年に開発された新しいテクニカル分析指標である。(トゥーシャー・シャンデが開発。「アルーン」は、サンスクリット語で「夜明けの光」意味する。)アルーンは、その株式が上昇トレンドか下降トレンドにあるのかを見極め、そしてそのトレンドの規模を測るトレンド指標である。さらにこの指標は、新しいトレンドの到来を予測するためにも用いられる。

アルーン指標は「アルーン・アップ」(下図の青線)と「アルーン・ダウン」(下図の赤点線)の2つのラインで形成される。アルーン・アップ線は、最後に高値を記録した時からの期間(日数)の合計を計る。アルーン・ダウン線は、最後に安値を記録した時からの期間(日数)の合計を計る。計算に用いられる時間(日)数は、アナリストの任意に定めた期間による。

 

アルーン・オシレーター

アルーンを発展させたものがアルーン・オシレーターである。これは、単純にアルーン・アップとアルーン・ダウンの差をチャート上にプロット(描画)したものだ。そしてこの線は、-100から100の範囲内で描かれる。このオシレーターで0を示すセンターライン(中線)は、トレンドを見極めるための主要線である。これがセンターラインから高い数値を示すほど、その株式の上昇トレンドが強いことを表す。逆にセンターラインより低くなっていけば、下降トレンドが強くなっていくのである。反転トレンドのシグナルは、このオシレーターがセンターラインを交差したときだ。例えば、オシレーターが正の域から負の域に落ちたとき、下降トレンドになったことが確認できる。また、反転トレンドはオシレーターが乖離した時にも確かめることが出来る。それは、オシレーターと株価の方向がそれぞれ逆に向いた時で、反転トレンドが到来することを示すのである。

アルーン線とアルーン・オシレーターはとても単純な仕組みだが、トレンドを確認するための強力な情報源となる。アルーンはどのテクニカル・トレーダーにとっても最強の武器となる指標のひとつなのだ

 

移動平均収束手法 (MACD)

移動平均収束拡散指標(MACD)は、テクニカル分析で最もよく知られた指標のひとつである。これは2つの指数平滑移動平均から算出されたもので、その株式のモメンタム(勢い)を計る指標として利用される。MACDは単純に、センターラインを軸に対極的に描画された指数平滑移動平均の差で表されたものである。センターラインにMACDがある時、それは2つの指数平滑移動平均の値が等しいことを示す。このMACDとセンターラインに加え、MACD自体の指数移動平均もチャート上にプロット(描画)される。このモメンタム指標は、短期モメンタムと長期モメンタムを比較して、その株式の直近のモメンタム(勢い)の動向を計るために利用される。 

計算式:
MACD = 短期EMA - 長期EMA (または動きの遅い指数平滑移動平均) 

MACDが正の域にある時、それは短期移動平均線が長期移動平均線の上を動いている状態の時で、モメンタムが上昇していることを示す。逆でも同じことで、MACDが負の域にある時、短期移動平均線が長期移動平均線を下回っている状態を示し、モメンタムが下降しているという意味になる。指数平滑移動平均の最もよく使われる期間数は26日と12日である。シグナルラインは通常、MACDの9日指数平滑移動平均の値から作成される。数種類の期間数〈値〉を使うことで、ユーザーの意向がその株式の動向に適合しやすくなるのだ。特に変動の大きい株式には短期の指数平滑平均移動が使われるのに対し、変動の少ない株式は長期の指数平滑平均移動が使われるものである。

チャートによく表れるMACD指標には別の見方がある。MACDヒストグラムだ。このヒストグラムはセンターラインを原点にバー(棒)で表される。主に9日指数平均移動のMACDと、シグナルとの差がこのバーで示される。バーの絶対値が高いほど、そのバーが示す方向に含まれるモメンタム(勢い)があることを意味する。

下のFigure2を見ると、最もよく見られる買いシグナルのひとつとして、MACDがシグナルラインを上に向かって交差するものがある(青の点線)。逆に買いシグナルはMACDが下に向かって交差する時によく表れる。

 

相対力指数(RSI) 

相対力指数(RSI)も、テクニカル分析で利用される指標として有名である。RSIは株式の「買われすぎ」と「売られすぎ」の状態を示してくれる。この指標は0と100の間でプロット(描画)される。RSIが70以上示している時は「買われすぎ」を示し、30以下を示している場合は「売られすぎ」を示す。この指標によって、その株価が不合理に強制調節させられたのか、そして反転がやってくるのかどうかを認識しやすくなる。 

RSIには通常14日の取引期間を基に計算されるが、ユーザーの必要性に応じて期間日数は変えられる。もし定められた期間日数が数日間であれば、RSIは変動が大きくなり、短期トレードを行う際に利用されるだろう。

 

オン・バランス・ボリューム(OBV)

オン・バランス・ボリューム(OBV)は、出来高の動きに反映されるテクニカル指標である。また、出来高を計る指標としては最も計算が簡単で理解しやすいものである。

OBVは、任意のトレード期間における出来高を差し引きしたもので、株価の上下によって出来高を差し引きして計算する。出来高が上がったときは加算され、出来高が下がったときは減算される。このようにして任意の期間における初日からの出来高を差し引いた合計がOBVである。

実際、OBVの大きさを見るよりもOBVの傾向に焦点を合わせて見る方が重要である。この指標は、出来高と株価の動向を比較することによって、通常の出来高に更に詳細を加えるものである。

 

ストキャスティック・オシレーター

テクニカル分析においてモメンタムを計る指標として最も信用されているのがストキャスティック・オシレーターである。この指標が上昇傾向にある時、その株式は高値付近で取引が終了し、上昇モメンタムであることを表す。下降傾向の時は、その株式は安値付近で取引が終了し、下降モメンタムであることを表す。

ストキャスティック・オシレーターは0から100の間にプロット(描画)され、80以上を示すと「買われすぎ」、20以下だと「売られすぎ」を表す。ストキャスティック・オシレーターは2つのラインで成り立っている。1つは%K。これよって、オシレーターが示すモメンタム(勢い)そのものを計れる重要な指標である。もう1つは%Dで、これは%Kの移動平均を表している。%Dラインは、それが%Kラインに比べて友好的なシグナルを見せることから最も重要なラインだと言われている。ストキャスティック・オシレーターは通常、過去14日間の取引期間を計算に用いるが、ユーザーの必要性に応じた数に変えることができる。 

 

テクニカル分析一覧 

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また、下記に記載されるテクニカル分析はすべてADVFNのチャートで使用することができます。

 

テクニカル分析で使用できる変数の一覧についてはこちらをご覧ください。

 

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