1/27 今週の見通し-市場の楽観的な心理から円売りが続きそう-
2013/01/27
【全体】
日本の日銀の金融政策決定会合後に一時円安の調整となりましたが、週後半には再び円売りとなったことで、主要通貨での円売りの流れは変更がなさそうです。今週は米国のFOMCがあり、経済見通しに変更があるかが注目されています。欧州も債務危機の懸念が後退していることや中国の景気が底入れしたとみられていることなどから、市場の心理は楽観的となっていることも円を売りやすくしているようです。また、米国の新規失業保険申請件数が40万件を下回って長期間の推移となっているため、週末に発表される米雇用統計もも期待がもたれます。リスクらしいリスク要因も見えてこないものの、本邦政府の円安誘導とみられる政策に対しての不快感が欧米やアジアなどでみられることから、海外の要人の発言や本邦要人からの発言により、多少の調整の可能性は残ると思います。
【ドル/円】 ![USDJPY FXChart|USDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=012713jpy)
(c)UH standard chart
先週は日銀の金融政策決定会合で物価目標2%などが決定され、ほぼ市場予想通りとなったことで、いったんの円安調整となりましたが、週末にかけてはメルケル独首相などの円安に対する懸念発言などを材料視せず、再び円が売られて1ドル=91円を一時上抜けました。海外から円安誘導との批判(代表的なのは24日のダボス会議でのメルケル独首相の発言、キング英中銀総裁の発言)が出ているものの、シカゴの通貨先物では非商業(投機)の円売りのポジション残は増える傾向にはないことから、円売り圧力が解消される気配は見えてきません。チャート上では1/21の高値の90.242円を上に抜けていることやMACDはシグナルを下回って推移しているものの、ゴールデンクロスをしそうな勢いにあることから、2010/6/4の高値の92.880円をまずは試しに行く可能性が高いと思います。今週は30日(水)に米FOMC(発表は31日4:15)が予定されていて、足元の経済指標と雇用については徐々に改善していることから、昨年12月のFOMCでも「2013年末よりもかなり前に購入ペースを減速するか、購入をやめるべき」とのメンバーが複数いたことで、量的緩和策の早期終了を唱えるメンバーが増えた場合にはドル買いにつながるものと思われます。また、同日30日の米10-12月期のGDP速報値、2/1(金)には米国の雇用統計も予定されているため、雇用の改善が見られればドル/円は92円台へ上昇してもおかしくないと思います。
【ユーロ】 ![EURJPY FXChart|EURJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=012713eur)
(c)UH standard chart
ユーロは流動性供給オペ(LTRO)の繰り上げ返済額が市場予想を約500億ユーロも上回った(840億ユーロの予想に対して1372億ユーロ)となったことから、ユーロ圏の債務危機に対する懸念が後退しユーロが買われ、対ドルでは1/14の高値の1.34037ドルを超え、1.34788ドルまで上昇しました。対円も昨年11月中旬から上昇している高値を122.766円まで伸ばしました。チャートではユーロ/円で2011/4/11の高値の123.310円はすでに射程に入っているとみられます。ユーロ/ドルは昨年2月のレベルの1.3470ドル近辺まで上昇していることで、心理的な目標の1.40ドルを足元では目指すものと思います。ただ、ダボス会議でモスコヴィシ仏財務相は「ユーロの水準は高い、いくつかの問題を引き起こす」と発言していることなど、今後もユーロ圏要人からのユーロ高けん制発言が出る可能性があるため、対ドルでのユーロの一本調子の上昇は厳しいものと思います。対円は円売り継続となる可能性が高いとみています。
【ポンド】 ![GBPJPY FXChart|GBPJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=012713gbp)
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ポンドはキャメロン英首相が1/23にEU離脱を問う国民投票を実施すると表明、前提条件としては2015年までの総選挙で英保守党が勝利し、政権を維持した場合としています。現時点での世論調査は約40%がEU離脱を望んでいるとの結果が出ているものもあることで、今すぐではありませんが長期的なリスクが残る状態です。英国は先週週末に発表された10-12月期のGDPは前期比で-0.3%、前年比で0.0%と、いずれも市場予想から悪化していて、景気の悪化が鮮明になってきています。加えて、LTROの早期返済などユーロ圏の懸念が後退していることで比較的安全通貨とみられていた英国からの資金流出が続くとみられることで、対ドル、対ユーロでのポンド売りが続くものと思います。注目は1日の製造業PMIとなります。チャートでもポンド/ドルは昨年11/15の安値の1.58230ドルをした抜けしています。スローストキャスティクスではゴールデンクロスしているものの、戻りは一目均衡表(日足)の転換線の1.59216ドル近辺にとどまるのではないかと思います。ポンド/円は一目均衡表(日足)の基準線でサポートされたことやスローストキャスティクスがゴールデンクロスしていることで、1/14の高値の144.794円を試しに行くものと思います。
【豪ドル】 ![AUDJPY FXChart|AUDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=012713)
(c)UH standard chart
豪ドルは先週発表された豪の10-12月消費者物価指数が市場予想より低下し、前年でも2.2%となっていたことで、準備銀行がターゲットとしている2~3%の下限に近いづいています。このため、2月もしくは3月の金融政策で利下げの可能性があることが対ドルでの豪ドルを重くしています。チャートでは一目均衡表(日足)の雲の中に入ってきていることから、雲の下限となる1.03920ドルか昨年12/26の安値の1.03430ドルを目指す可能性があります。対円では一目均衡表(日足)の転換線に支えられ、1/18の高値の95.016円を上抜けています。また、スローストキャスティクスがゴールデンクロスしていることも、上昇が継続している可能性が高そうです。注目は2/1(金)の中国の製造業PMIとなり、景況感がよくなっているようであれば、豪ドルへの期待も高まることから、96円近辺までの上昇がみられるかもしれません。NZドルは1/31(木)に予定されているNZ準備銀行による金融政策は変更がないと思われ、NZドルの底固さにつながると思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
88.4 ~ 92.5 |
ユーロ/ドル |
1.317 ~ 1.348 |
ユーロ/円 |
117 ~ 121.8 |
ポンド/円 |
140.3 ~ 145.9 |
豪ドル/円 |
91.3 ~ 95.5 |
NZドル/円 |
74.1 ~ 76.3 |
南アランド/円 |
10 ~ 10.5 |
■注目イベント 1/21(月) 09:01 英国 1月 ライトムーブ住宅価格 09:30 豪 10-12月期 四半期卸売物価指数(PPI) 16:00 ドイツ 12月 生産者物価指数(PPI) 17:15 スイス 7-9月期 四半期鉱工業生産 22:30 カナダ 11月 卸売売上高 1/22(火) 未定 日本 日銀金融政策決定会合 13:30 日本 11月 全産業活動指数 14:00 日本 11月 景気先行指数(CI)改定値 14:00 日本 11月 景気一致指数(CI)改定値 19:00 ユーロ圏 1月 ZEW景況感調査 19:00 ドイツ 1月 ZEW景況感調査(期待指数) 22:30 カナダ 11月 小売売上高 00:00 米国 12月 中古住宅販売件数 00:00 米国 1月 リッチモンド連銀製造業指数 1/23(水) 09:30 豪 10-12月期 四半期消費者物価(CPI) 14:00 日本 金融経済月報(基本的見解) 16:45 フランス 1月 企業景況感指数 17:00 南ア 12月 消費者物価指数(CPI) 18:30 英国 中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨 18:30 英国 12月 失業率 18:30 英国 12月 失業保険申請件数 23:00 米国 11月 住宅価格指数 00:00 カナダ 中銀(BOC)政策金利 00:00 ユーロ圏 1月 消費者信頼感(速報値) 1/24(木) 08:50 日本 12月 貿易統計(通関ベース) 10:45 中国 1月 HSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値 18:00 ユーロ圏 11月 経常収支 18:00 ユーロ圏 1月 製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値 18:00 ユーロ圏 1月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値 未定 南ア 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 米国 12月 景気先行指標総合指数 1/25(金) 08:30 日本 12月 全国消費者物価指数(CPI) 08:30 日本 1月 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) 18:00 ドイツ 1月 IFO企業景況感指数 18:30 英国 10-12月期 四半期国内総生産(GDP)速報値 22:30 カナダ 12月 消費者物価指数(CPI) 00:00 米国 12月 新築住宅販売件数 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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