6/16 今週の見通し-米FOMC、中国PMIで流れ変わるか-
2013/06/16
1か月前に発表された中国HSBC製造業PMIの下振れ、バーナンキ米FRB議長の議会証言と4/30-5/1に開催されたFOMC議事録の公表から日経225平均株価の下落と円高(円安の巻き戻し)が始まりました。今週は、18-19日に米FOMC、20日には中国HSBC製造業PMIの発表が予定されています。この2つのイベントでこれまでの下降トレンドの流れが変わるのか、それとも加速するのか大きな岐路となりそうです。前回議事録と議会証言の要点は以下の通り。
- 多くのメンバーがQE縮小には一段の改善が必要だと認識(議事録)
- 複数のメンバー経済成長が力強く、持続的であれば、早ければ6月にも債券購入を減少させる意欲を示した(議事録)
- 数人のメンバーはインフレが一段と低下すれば追加の緩和が正当化される可能性があるとの認識を示した(議事録)
- メンバー大半が今後のデータ次第で資産購入の拡大・縮小を調整する準備をすることが重要(議事録)
- 金融政策は現在の経済環境で著しい効果をもたらしている(議会証言)
- 金融政策の時期尚早な引き締めは、景気減速や回復の頓挫、インフレ率の一段の低下といった多大なリスクを招く恐れがある(議会証言)
- 状況改善の継続を確認し、持続可能と確信できれば、今後数回の会合で資産買い入れを縮小することは可能だ(質疑応答)
個人的には、FOMCでは発表された5月米の失業率が7.5%、非農業部門雇用者数が175,000人増加と緩やかな改善が示されているものの、目標に掲げている6.5%にはまだ遠く、消費者物価指数も前年比で1.1%と低く抑えられていることから、積極的にQE縮小を選択するとは思えず、かといって緩和の方向に向かうことも考えにくいことから、前回の内容からそれほど変化はないものと思います。FOMCが日本時間の20日(木)未明に行われることもあり、週前半はこれをにらんだ不安定な動きが継続するものと思います。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
日銀の金融政策決定会合への失望や週末に閣議決定された「骨太の方針」への具体的な内容の欠如などから、円を買い戻す動きが続いていますが、シカゴの通貨先物のポジション状況を見ると、1週で約4円ほど円高に動いたものの、投機筋の円売りポジションが思ったより減少していません。このため、投機筋の円ショートポジションの解消余地はまだ残っているといえます。また、市場が注目している米FOMCが18-19日に予定されているため、QE縮小に関して、市場の懸念が緩和されなければ、米株価の下落とともに円が買われる地合いが続くものと思われます。また、米FOMC後に中国のHSBC製造業PMI(購買担当者景気指数)が発表されることから、これが悪化もしくは50を回復できないようであれば、2/28の安値の90.88円近辺まで下落する可能性があり、戻ったとしても一目均衡表(日足)の雲の下限となる97.296円までは届かないものと思われます。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロはドラギECB総裁がECB理事会後の記者会見で追加緩和に消極的な姿勢を見せて以降、6/13には1.33892ドルまで一時上昇するなど、トレンドは上向きになっています。先週はギリシャが公共放送を終了と発表したことでデモが起こったものの、ほかに目立った材料がなかったこともあり、市場の反応は鈍かったといえそうです。今のところ、ドルと円が主導であり、ユーロは消極的に買われているように見えます。今週は18日の独ZEW(予想は38.1と小幅Up)、20日のドイツ製造業PMI速報(予想は49.9と小幅Up)、ユーロ圏製造業PMI速報(予想は86.6と小幅アップ)となっていて、いずれも景況感が改善していることが示されれば、米FOMCや中国PMIの結果にもよりますが、ユーロが上昇するものと思います。ただ、債務問題が水面下でくすぶっている上にドイツ憲法裁判所がOMT(新たな国債購入プログラム)の合憲性を判断するために公聴会を開いたことなどから懸念も残るため、ユーロ/ドルは2/13の高値の1.35197ドル近辺で上値が押さえられそうです。ユーロ/円は一目均衡表(日足)の雲のサポートで何とか止められていますが、これを下抜けしてしまうと、4/3の安値の119.103円と5/22の高値の133.792円を100%としたフィボナッチ76.4%押しの122.629円近辺まで下落する可能性あります。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは、先週発表された鉱工業生産が市場予想より悪かったものの、失業保険申請件数が改善を示していたこともあり上昇継続となりました。また、市場が不透明なことから、ユーロやポンドが選好されていたという要因もあったと思います。今週も英国では18日(火)の消費者物価指数(予想は前年比3.1%)、19日(水)の金融政策委員会議事要旨公表(予想は6対3で現状維持)、20日(木)の小売売上高指数(予想は+0.8%)と予想通りであればポンド高につながりやすいく、昨年11/15の安値の1.58230ドル近辺が目標となりそうです。ただ、来月からはカーニー新総裁が就任することから、先々は追加緩和への期待が出てくると思われ上値も押さえられそうです。ポンド/円は下向きバイアスがかかっていて、一目均衡表(日足)の雲の下に抜け出る可能性が高いことから、3/15高値の145.864円近辺が視野に入ります。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは、11日のNAB企業景況感が改善傾向を示していたことや14日の新規雇用者数が市場予想を上回ったこと、豪ドル/米ドルがテクニカル分析上で節目とみられる0.93ドルが死守されたことで反発に繋がったようです。今週は火曜日に公表される豪準備銀行(RBA)議事録でRBAが高いと再表現がされることから、下値を探る展開が予想されますが、20日には中国PMIの発表が予定されていることから、内容が良ければ週足のストキャスティクススローがゴールデンクロスしていることもあり、6/3高値の0.97898ドルを上抜けする可能性があります(逆に悪ければ、2010年8月高値の0.9220ドル近辺が視野に入ります)。豪ドル/円は円買いの圧力が強いことから、昨年3月高値の88.628円のサポートが切れると、昨年5月安値の74.448円と本年4/11高値の105.420円を100%としたフィボナッチ61.8%押しとなる86.251円近辺が次のサポートとなります。NZドルは20日1-3月期GDPが発表されることもありますが、やはり中国PMIの次第で豪ドルと同じような展開となることが予想されます。
■今週の予想レンジ
| Ccy | Low(下) ～ High(上) |
| ドル/円 |
91.31 ～ 95.36 |
| ユーロ/ドル |
1.3284 ～ 1.3533 |
| ユーロ/円 |
122.91 ～ 127.31 |
| ポンド/円 |
144.66 ～ 149.64 |
| 豪ドル/円 |
87.12 ～ 91.34 |
| NZドル/円 |
73.44 ～ 76.97 |
| 南アランド/円 |
9.04 ～ 9.6 |
■注目イベント
6/17(月)
 08:01 英国 6月 ﾗｲﾄﾑｰﾌﾞ住宅価格
08:50 日本 4月 第三次産業活動指数
18:00 ﾕｰﾛ圏 4月 貿易収支
21:30 ｶﾅﾀﾞ 4月 対ｶﾅﾀﾞ証券投資額
21:30 ｶﾅﾀﾞ 1-3月期 四半期労働生産性指数
 21:30 米国 6月 NY連銀製造業景気指数
23:00 米国 6月 NAHB住宅市場指数
6/18(火)
10:30 豪 豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨公表
13:30 日本 4月 鉱工業生産確報値
17:30 英国 5月 卸売物価指数(食品､ｴﾈﾙｷﾞｰ除く)
17:30 英国 5月 消費者物価指数(CPI)
17:30 英国 5月 小売物価指数(RPI)
18:00 ﾕｰﾛ圏 6月 ZEW景況感調査
18:00 ﾄﾞｲﾂ 6月 ZEW景況感調査(期待指数)
21:30 米国 5月 消費者物価指数(CPI)
21:30 米国 5月 住宅着工件数
21:30 米国 5月 建設許可件数
6/19(水)
07:45 NZ 1-3月期 四半期経常収支
08:50 日本 5月 貿易統計(通関ﾍﾞｰｽ)
17:00 南ｱ 5月 消費者物価指数(CPI)
17:00 南ｱ 1-3月期 四半期経常収支
17:30 英国 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
18:00 ﾕｰﾛ圏 4月 建設支出
21:30 ｶﾅﾀﾞ 4月 卸売売上高
03:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
6/20(木)
07:45 NZ 1-3月期 四半期国内総生産(GDP)
10:45 中国 6月 HSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
14:00 日本 4月 景気一致指数(CI)改定値
14:00 日本 4月 景気先行指数(CI)改定値
15:00 ｽｲｽ 5月 貿易収支
15:00 ﾄﾞｲﾂ 5月 生産者物価指数(PPI)
16:30 ｽｲｽ ｽｲｽ国立銀行3ｶ月物銀行間取引金利誘導目標
16:30 ﾄﾞｲﾂ 6月 製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
16:30 ﾄﾞｲﾂ 6月 ｻｰﾋﾞｽ部門購買担当者景気指数(PMI)速報値
17:00 ﾕｰﾛ圏 6月 製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
17:00 ﾕｰﾛ圏 6月 ｻｰﾋﾞｽ部門購買担当者景気指数(PMI)速報値
17:30 英国 5月 小売売上高指数
21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数
23:00 ﾕｰﾛ圏 6月 消費者信頼感(速報値)
23:00 米国 6月 ﾌｨﾗﾃﾞﾙﾌｨｱ連銀製造業景気指数
23:00 米国 5月 中古住宅販売件数
23:00 米国 5月 景気先行指標総合指数
6/21(金)
17:00 ﾕｰﾛ圏 4月 経常収支
21:30 ｶﾅﾀﾞ 5月 消費者物価指数(CPI)
21:30 ｶﾅﾀﾞ 4月 小売売上高
経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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