4/8 今週の見通し-1ドル=100円を目指すか-
2013/04/07
【全体】
先週木曜日の金融政策決定会合で、レジュームチェンジが示されました。主な内容は下記の通りです。
- 金融政策の操作目標を無担保コールレートからマネタリーベースへと変更
年間60兆円~70兆円のペースで増加させる
- 長期国債買い入れ拡大と年限の長期化
買い入れの平均残存期間を7年程度とし、年間50兆円ペースで増加させる
- ETE(上場投資信託)、J-REIT(不動産投資信託)をぞれぞれ年間1兆円、3000億円ペースで増加させる
- 2%の物価安定目標の達成時期を「2年程度」と強化
- 資産買入れ等基金の廃止、銀行券ルールの一時適用停止、市場参加者との対話の強化
この日銀のレジュームチェンジが海外勢の円売りに対する安心感を与えたとみられることで、週末は米国の雇用統計が市場予想より下振れし、NYダウが下落してもドル/円は97円台後半、クロス円も軒並み上昇しています。ISMや雇用統計など米国の経済指標がさえない中で、足元では円売りが一番方向性がはっきりしているように見えますので、当面この流れは続くものと思います。リスク要因としては4/10(水)に発表される中国の貿易収支が市場予想より下振れするようだと、けん引役とみられている米中のに対する懸念が浮上することになり、調整につながる可能性があります。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円は4/4の日銀金融政策決定会合を受けて、円売りの調整から円売りへと大きく流れが変わりました。チャートでも3/12につけた高値の96.702円を上抜け、4/5には97.829円まで上昇しています。それまで抵抗とみられていた一目均衡表(日足)の転換線と基準線を一気に上抜けして、MACDもゴールデンクロスしました。今週は8日朝に日本の国際収支の発表が予定されていて、経常収支は約4500億円の黒字予想(赤字から黒字への回復)、傍記収支も約6600億円の赤字(赤字額の減少)予想となっていますが、これらが円買いの材料につながる可能性はあまり高くないと思います。むしろ日銀の金融政策決定会合によるレジュームチェンジの熱が冷める週後半に発表される米国の新規失業保険申請件数や小売売上高が市場予想より悪化したときにドル売りにつながりやすくなると思います。サポートは一目均衡表(日足)の基準線の95.13円近辺とみられます。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロは4日のECB理事会で政策金利は据え置かれ、ドラギECB総裁の記者会見では「ユーロ圏の下半期の回復は、下振れリスクにさらされている」「ECBはデータを検証して、行動する準備ができている」と利下げの可能性もあることが示されたものの、ECB自体はしばらく経済の状況を見極めたいとしています。一方では、キプロスの救済が「ひな形ではない」と否定しています。週末もショイブレ独財務相が「キプロスは特別なケース」「預金について懸念する理由はない」と発言、スロベニアの救済の可能性があることから、ユーロへの懸念を払しょくしようとしていると思われます。足元では米国の経済指標が悪化していることでユーロヘは上昇圧力がかかると思いますが、将来の利下げの可能性もあるため、積極的にはユーロが買いにくい状況が続くものと思います。また、ドイツ3月の新車登録台数がイースター休暇の季節要因があるものの、前年比17.1%の落ち込みとなっていることも懸念材料です。そのため、ユーロ/ドルは一目均衡表(日足)の雲の上限となる1.31434ドルから転換線の1.32014ドル(基準線は1.31845ドル)が抵抗となりそうです。ユーロ/円は2/6の高値の127.699円がすでに射程に入っていることから、130円近辺が目安となりそうです。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは市場の予想通り、4日の英中銀金融政策委員会で政策金利、資産買入れプログラムを据え置きました。7月に就任するカーニー新英中銀(BOE)総裁の下で緩和を継続するとみられることから、中長期的にはポンドの下落と思いますが、足元では米国の経済指標が弱かったことで、ポンド/円では150.025円まで上昇し年初来高値を更新、ポンド/ドルでは1.53613ドルまで上昇、ポンド/ドルはチャート上では一目均衡表(日足)の雲の下限に到達しました。今週は9日(火)に鉱工業生産、製造業生産の発表が予定されていることから、これらが市場予想通り前月比でプライスとなった場合にはポンドが買われる可能性が高いと思っています。チャートからはポンド/円が2009/8月の163.06円と2011/9月の安値の116.840円を100%としたフィボナッチ76.4%戻しの152.226円近辺、ポンド/ドルは本年1/2の高値の1.63805ドルと3/12の安値の1.48296ドルを100%としたフィボナッチ38.2%戻しとなる1.54215ドルか50%戻しの1.56043ドル近辺と思います。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは2日の豪金融政策で現状維持が決定されました。市場の予想通りであり、声明もほとんど変更がなく、利下げの余地があることは残しましたが、低金利の政策より効果が出ているとしていることで当面は利下げを行う可能性がないことが示されました。ただ、週後半は豪ドルは唯一ドルに対して下落しています。豪では3月の失業率、新規雇用者数が11日(木)に発表されることで、先月が市場予想の9,000人増加に対して71,500人と大幅な増加となっていることで、反動からの減少の可能性もあります。また、中国の貿易収支の発表も予定されていることから、貿易収支の悪化は豪ドルの下落要因となると思います。チャートでは対ドルが一目均衡表(日足)の雲の上限まで下落、3/26の高値の1.04952ドルと4/3の高値の1.04955ドルでダブル天井を形成したとみられ、MACDもデッドクロスしていることから、基準線となる1.03045ドル近辺まで下落する可能性があります。豪ドル/円は2008/8月以来となる100円を上抜け、年初来高値を更新しました。一目均衡表のV計算値で計算した102.808円(H88.628-L74.448)が目標となると思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
95.1 ~ 99.8 |
ユーロ/ドル |
1.274 ~ 1.318 |
ユーロ/円 |
122.8 ~ 129.4 |
ポンド/円 |
146.6 ~ 152.3 |
豪ドル/円 |
98.8 ~ 103.3 |
NZドル/円 |
80.1 ~ 84.2 |
南アランド/円 |
10.3 ~ 11.1 |
■注目イベント 4/8(月) 08:50 日本 2月 国際収支経常収支 08:50 日本 2月 国際収支貿易収支 14:00 日本 3月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 16:15 スイス 10-12月期 四半期鉱工業生産 19:00 ドイツ 2月 鉱工業生産 4/9(火) 08:01 英国 3月 英小売連合(BRC)小売売上高調査 08:01 英国 3月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 08:50 日本 日銀金融政策決定会合議事要旨 10:30 豪 3月 NAB企業景況感指数 10:30 中国 3月 消費者物価指数(CPI) 10:30 中国 3月 生産者物価指数(PPI) 14:45 スイス 3月 失業率 15:00 ドイツ 2月 貿易収支 15:00 ドイツ 2月 経常収支 16:15 スイス 3月 消費者物価指数(CPI) 16:15 スイス 2月 実質小売売上高 17:30 英国 2月 鉱工業生産指数 17:30 英国 2月 製造業生産指数 17:30 英国 2月 貿易収支 19:00 南ア 1-3月期 四半期 南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数 21:15 カナダ 3月 住宅着工件数 21:30 カナダ 2月 住宅建設許可件数 23:00 米国 2月 卸売在庫 4/10(水) 00:00 中国 3月 貿易収支(米ドル) 15:45 フランス 2月 鉱工業生産指数 03:00 米国 3月 月次財政収支 03:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 4/11(木) 08:50 日本 3月 マネーストックM2 08:50 日本 3月 国内企業物価指数 08:50 日本 2月 機械受注 10:30 豪 3月 新規雇用者数 10:30 豪 3月 失業率 15:00 ドイツ 3月 消費者物価指数(CPI)改定値 15:45 フランス 3月 消費者物価指数(CPI) 17:00 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)月報 21:30 米国 3月 輸入物価指数 21:30 米国 3月 輸出物価指数 21:30 カナダ 2月 新築住宅価格指数 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 4/12(金) 08:50 日本 2月 第三次産業活動指数 15:45 フランス 2月 経常収支 18:00 ユーロ圏 2月 鉱工業生産 21:30 米国 3月 小売売上高 21:30 米国 3月 卸売物価指数(PPI) 22:55 米国 4月 ミシガン大学消費者態度指数速報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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