2/24 今週の見通し-日銀総裁人事本格化で円売り進むか-
2013/02/24
【全体】 週末に開催されたオバマ米大統領と安倍首相の首脳会談後の会見で、オバマ米大統領は為替に関してはノーコメント、安倍首相は「オバマ大統領が日本の景気対策について理解を示した」と発言しています。土曜日の朝日新聞は次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁を軸に調整される見通しと発表しています。黒田氏は金融緩和にも積極的とみられるため、月曜日の朝のシドニー・ウエリントン市場での反応にまずは注目と思いますが副総裁人事によっては円売りも押さえられる可能性があります。一方、欧州では本日からイタリアの総選挙の投票が始まります。約3割が行動を決めていないことから、結果いかんによってはユーロの波乱要因となることから注意が必要となります。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
今週は日銀の正副総裁人事が本格化すると思います。週末の朝日新聞では黒田東彦氏を軸と報じられています。また、24日の産経新聞電子版では「日銀総裁人事 黒田元財務官に打診」と報じられています。みんなの党が元官僚出身に難色を示しているものの、民主党が人事案に合意すれば黒田総裁が誕生することで、明日早朝のシドニー・ウエリントン市場で円売りが進むかが注目されます。ただ、副総裁人事も残っていることで、総裁人事だけでの円売りにも限りがあると思われます。一方、月末月初で経済指標の発表も多くなっています。特に注目されるのは1日の米国のISM製造業景気指数になりますが、28日には米国の10-12月期GDP改定値の発表もありますし、日本の消費者物価指数の発表も1日には予定されています。チャートでは週足のロウソク足の形がコマとなっていますので、今週下落すると当面の天井が2/11の高値の94.451円となると思います。日足では一目均衡表(日足)の転換線がサポートとみられますので、今週はこれが維持できるかどうかだと思います。調整入りなら1/21の高値の91.249円近辺までの下落、上昇継続なら前出の94.451円を上抜け95.50円近辺まで上昇すると思います
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロは週末に発表された独IFO[景気走行指数がよかったものの、欧州委員会が成長見通しを下方修正したことなどで1.3150ドル近辺まで下落しました。本日からイタリアの総選挙の投票が始まりますが、中道左派の民主党ベルサニ党首を中道右派のベルルスコーニ氏が猛追していることや新興の「五つ星運動」も勢力を伸ばしていることで、結果は予断が許されない状況となっています。ただ、下院については第一党が55%を獲得できることから、中道左派が獲得するものと思いますが、上院で中道左派が過半数を獲得できない場合には、安定政権の樹立がむつかしくなり、欧州の金融不安が再燃する可能性もあります。大勢は日本時間25日午後11時に締め切られ、即日開票となるため、26日午前中には判明するものと思います。また、ユーロ圏は1日に失業率の発表が予定されているため、悪化が示されるようであれば、ユーロの弱含みにつながる可能性があります。チャート上でもユーロ/ドルの週足ではサポートとみられる一目均衡表(週足)の雲の上限に迫ってきています。すでに遅行線は雲の下に抜け出たことで、このサポートが切れると1.25ドル近辺まで下落するかのせいもあります。ユーロ/円でも調整局面入りしている可能性が高く、日足こそ一目均衡表(日足)の基準線に支えられているものの、このサポートが切れてしまうと1/17高値の120.592円、雲の上限の117円近辺までの下落の可能性もあります。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは週末にムーディーズが格付けを「AAA」から「AA1」に一段階引き下げたことで、トリプルAからは転落したため、NYクローズも売りで終わっています。こちらも週明けのシドニー・ウエリントン市場でのポンド売りが続くかどうかに注目となります。ただ、今回格下げが行われたものの、見通しは「安定的」となっているため、足元の悪材料が出尽くしたと捉えられれば反発する可能性もあります。その一方で、次の金融政策委員会で資産購入プログラムの増額が決まる可能性があることや7月に新たに就任するカーニー新総裁が金融緩和に積極的であるとの見方もあるため、戻りがあったとしてもポンド売り基調には変化がないものと思っています。特にポンド/ドルのチャートでは、2012/1月の安値の1.52230ドルをした抜けていることから、2010/3月の安値の1.47820ドル近辺まで下落する可能性があります。対円でも週足では一目均衡表(週足)の転換線をわずかながら死ぬ消しているため、2011/4月の高値の140.010円がサポートとならなかった時には2012/3月の高値の133.463円近辺まで下落する可能性が出てきます。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは週末にスティーブンス豪準備銀行(RBA)総裁が、「豪ドルはやや過大評価されているが大幅にではない」「現在の豪ドル水準は介入を正当化しない」としたものの「緩和の可能性がより高いというのが妥当」と追加緩和の可能性を示しました。今週は主要な経済指標の発表は予定されていませんので、イタリアの選挙結果などをにらみながらの展開となると思われますが、欧州での懸念が後退すれば、通貨高への懸念を表明しているNZや豪(少しトーンは弱いが)から、欧州へ資金が戻る可能性もあるため、豪ドルの上値も限られてきそうです。チャートでは豪ドル/米ドルの週足でサポートとみられる一目均衡表(週足)の雲の上限を試す動きとなっていることで、ここを下抜けてしまうとパリティ(1豪ドル=1米ドル)近辺まで下落するかもしれません。対円では週足のロウソク足が十字線の形で迷いとなっていますが、高値圏で出ていることで反落の注意が必要だと思います。引き続き転換線までの距離があるので、転換線の位置する92.540円近辺のレベルまでは下落してくるかもしれません。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
92.3 ~ 94.8 |
ユーロ/ドル |
1.295 ~ 1.335 |
ユーロ/円 |
120.7 ~ 124.9 |
ポンド/円 |
139.8 ~ 144.4 |
豪ドル/円 |
95.1 ~ 97.4 |
NZドル/円 |
76.8 ~ 79.6 |
南アランド/円 |
10.3 ~ 10.8 |
■注目イベント 2/25(月) 10:45 中国 2月 HSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値 2/26(火) 00:00 米国 1月 新築住宅販売件数 00:00 米国 2月 リッチモンド連銀製造業指数 2/27(水) 18:30 英国 10-12月期 四半期国内総生産(GDP)改定値 22:30 米国 1月 耐久財受注 2/28(木) 17:55 ドイツ 2月 失業者数 17:55 ドイツ 2月 失業率 22:30 米国 10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP)改定値 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 3/1(金) 08:30 日本 1月 全国消費者物価指数(CPI) 16:00 ドイツ 1月 小売売上高指数 18:30 英国 2月 製造業購買担当者景気指数(PMI) 19:00 ユーロ圏 1月 失業率 22:30 米国 1月 個人消費支出(PCE) 23:55 米国 2月 ミシガン大学消費者態度指数確報値 00:00 米国 2月 ISM製造業景況指数 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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