2/10 今週の見通し-円は週末のG20を前に調整入りか-
2013/02/10
【全体】 今週は本邦日銀の金融政策決定会合が予定されていることや14日には本邦を始め主要な国の10-12月期のGDP速報値の発表が予定されていること、週末15・16日にはモスクワでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催される予定となっていることで、経済指標以外での不特定要因で相場が動く可能性が高そうです。個人的には週末のG20では、円安問題は協議されないと思いますが、ユーロ圏(主にフランス)もユーロ高に懸念を示していることから、名指しこそされないものの、内容が日本の通貨安誘導を示していると看做された場合には、週後半からの円の買い戻しなどにつながる可能性が出てきます。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
チャートでは週中での迷いの後、後半には一目均衡表(日足)の転換線の92.193円まで一時下落しました。週足でも今週の値動きの状況によっては2/6の高値の94.058円が当面の天井となる可能性が出てきました。先週末の麻生副首相兼財務相の「為替がわれわれの意図せざるくらい円安に振れた」との発言自体は、現在の為替レベルに言及したものではありませんが、週末のG20財務相・中央銀行総裁会合を意識したとの見方もあり、本邦政府要人からの為替に関する発言も少しトーンが落ちてきたことから、しばらく円を売る材料には乏しくなるものと思います。また、13-14日に開催される日銀金融政策決定会合では、白川日銀総裁が任期満了前に辞意を表明したこともあり、積極的な金融緩和については次期総裁・副総裁での実施をとのメッセージが込められていると思っています。このため、今回の会合では現状維持となると思っていますので、このことからも円安には向かいにくいと思います。冒頭に書きました一目均衡表(日足)の転換線を下抜け調整入りした場合には基準線の90.40円から1/21の高値の90.242円近辺までの押しがあると思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
先週木曜日のドラギECB総裁のユーロ高牽制とみられる発言もあり、ユーロが調整に入っています。チャート上でもユーロ/ドルが一目均衡表(日足)の基準線まで、ユーロ/円は一目均衡表(日足)の転換線を下に抜け、MACDもデッドクロスしました。ユーロ圏では週末に7か年の予算が英、独、オランダなどの北部諸国の主張通りの削減で合意しましたが、欧州議会では、大幅な削減がなされる倍いには議会として否決する可能性が高まるとけん制しており、まだユーロ圏に懸念が残ることになります。また、予算の削減はユーロ圏の成長鈍化に繋がる可能性も高いことから、14日(木)に発表される10-12月期のユーロ圏GDPなどが市場予想より悪化していた場合にはユーロ売りが続くと思われます。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは注目されていたカーニー次期英中銀総裁が英議会の公聴会では、「弾力的なインフレターゲティングが、これまでのところ最も効果的な金融政策の枠組みだと考えている」とし、「別の枠組みを採用するハードルは非常に高い」、さらに「英国の金融政策の枠組みを変更するメリットについて、まだ判断を下していない」との発言で、市場が期待していた追加緩和への期待が後退したことやドラギECB総裁によるユーロ高懸念発言から、リスク回避通貨としてのポンドが買い戻される結果となりました。このため、ポンド/ドルは一目均衡表(週足)の雲を一時下抜けしたものの、雲がサポートとなった模様で、雲の中に戻っています。ポンド/円は高値を147.959円まで伸ばしています。英国では今週12日(火)に消費者物価指数、13日(水)には英中銀のインフレレポート、15日(金)には小売売上高の発表が予定されています。特にインフレレポートには注目で、公共料金の引き上げなどを受けて、インフレ率が2014年第3四半期前に2%を下回らないと予想していることから、今回の見通しでも維持された場合には、追加緩和に対する期待が後退するとみられることからポンドの上昇につながるものと思います。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは先週、政策金利を3%に据え置いたものの、声明では中国や欧米での回復に楽観を示す一方で揺り戻しに対しては警戒しています。インフレに対しては今後1-2年間目標と一致すると判断、これまでの緩和の完全な効果が表れるまでには更に時間がかかるとしています。為替については豪ドルが予想より高い水準にとどまっているとし、これが家計と企業の一部の信用需要を低下させていると判断しています。このため、必要があれば緩和余地があるとし、豪ドルの弱含みの要因となりしまた。週後半に発表された新規雇用者数の増加はパートタイマーの増加にとどまり、フルタイムは減少していたことで、主要な経済指標の発表がなくなる今週以降も豪ドルの上値が重くなることが予想されます。ただ、ユーロがドラギECB総裁によるユーロ高牽制発言により、下落していることから、ユーロ/豪ドルで再度豪ドルが買われるとみられることから、底堅く推移する可能性があります。チャートでも豪ドル/米ドルでは一目均衡表(週足)の雲の上限となる1.02522ドルがサポートとなっていることから、引き続き雲がサポート(下限は1.01210ドル)と思われ、戻りは基準線の1.03844ドル近辺か転換線の1.04256ドルにとどまるものと思います。豪ドル/円は今週の動きに注目で、2/5に97.427円が足元での高値とみられ、MACDもデッドクロスしていますが、一目均衡表(日足)では転換線のサポート圏内であり、週足ベースでみると今週陰線引けした場合には調整入りすると見られます。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
91.2 ~ 94.1 |
ユーロ/ドル |
1.318 ~ 1.353 |
ユーロ/円 |
120.7 ~ 125.4 |
ポンド/円 |
143.6 ~ 148.1 |
豪ドル/円 |
94.2 ~ 97.4 |
NZドル/円 |
75.8 ~ 79.3 |
南アランド/円 |
10.2 ~ 10.6 |
■注目イベント 2/11(月) 09:30 豪 12月 住宅ローン件数 2/12(火) 18:30 英国 1月 消費者物価指数(CPI) 2/13(水) 19:30 英国 英中銀インフレリポート 22:30 米国 1月 小売売上高 2/14(木) 08:50 日本 10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP)速報値 15:30 フランス 10-12月期 国内総生産(GDP)速報値 16:00 ドイツ 10-12月期 国内総生産(GDP)速報値 19:00 ユーロ圏 10-12月期 四半期域内総生産(GDP)速報値 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 2/15(金) 22:30 米国 2月 NY連銀製造業景気指数 23:55 米国 2月 ミシガン大学消費者信頼感速報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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