2/17 今週の見通し-G20終了、円売り再開か?-
2013/02/17
【全体】
15-16日にモスクワ(ロシア)で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の声明については財務省ホームページに仮訳が公開されていますので20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2013年2月15-16日 於:ロシア・モスクワ)を参照してください。 声明の内容は草案とほぼ内容が同じで、為替については、世界的な不均衡の持続的な削減を達成するために協力し、国内貯蓄に影響を与え生産性を改善する構造改革を追求するという、我々のコミットメントを再確認する。我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避け、そしてこの観点から、共に成長できるよう互いにより緊密に協働する、という我々のコミットメントを再確認する。我々は、資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避する。我々は、競争力のために為替レートを目的とはせず、あらゆる形態の保護主義に対抗し、我々の開かれた市場を維持する(声明から抜粋)。日本の名指しが避けれられたことで、円の急激な買戻しの可能性は後退したと思いますが、これまでのようなペースでの円安が進む可能性は低くなったものと思います。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
麻生副首相兼財務相は、「日本の金融・財政政策など安倍政権が進める一連の経済政策には一定の理解が得られた」と発言、白川日銀総裁も「従来も今後も同様に、あくまで日銀の金融政策は、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するという、G7声明にうたわれた国内経済の安定を目的として実行されている」と発言し、これまでの政策に大きな変更がないことを示しています。このため、日銀の物価目標達成のための金融緩和が円を押し下げる流れは続くものとみられますが、円安のスピードについてはこれまで通りにはいかないものと思います。チャートでは、一目均衡表(日足)の転換線を上抜き(1日で回復)したことで、上昇トレンドが維持されているようです。2/11につけた94.451円の高値を抜けるかどうかが焦点となってくると思います。米国では週末に発表されたNY連銀製造業景気指数が大幅な改善を示し、ミシガン大消費者信頼感指数もしっかりしていることから、ISMと相関が高いといわれるフィラデルフィア連銀製造業景気指数(発表は21日)の改善がみられると、この高値を上抜き95円近辺まで上昇するものと思います。また、日本の貿易統計(発表は20日)もあるため、予想以上の赤字の増加となれば円が売られやすい地合いが続くものと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロは週末のバイトマン独連銀総裁の「ECBはユーロを押し下げるために利下げをしないだろう」との発言があり、ユーロが一時反発しましたが、ドイツ側の発言(ドイツはユーロ高容認と思われる)だけに今一つユーロ圏を反映したものとは思えません。各国から発表された10-12月期のGDPが予想以上に悪化していることで今後もECBには利下げ観測が付きまとってくるとみられるため、ユーロは重く推移する可能性があります。また、米国の住宅指標や景況感の改善などでドル買いの流れとなれば、ユーロ/ドルは下降トレンド継続すると思われます。チャート上では、一目均衡表(日足)では、基準線をした抜けして、更に転換線が基準線をした抜けしています。週足ではかろうじて一目均衡表(週足)の転換線で支えられているものの、ストキャスティクススローはすでに売りシグナルが出ていることから、雲の上限となる1.3160ドル近辺までの下落の可能性が出ています。ユーロ/円は一目均衡表(日足)の基準線では支えられているものの、週末の戻りが転換線で押さえらえたため、これを超えてくるのかがカギとなりそうです。超えられなければ基準線の122円近辺までの下落の可能性がありますが、超えたとしても2/6の高値となる127.699円までは届かないと思います。
【ポンド】
(c)UH standard chart
先週発表された英中銀(BOE)の四半期インフレレポートは2016年第1四半期までインフレ率は2%を上回ると予想、緩やかながらも持続的な成長を見込むが、整理調律については昨年11月のレポートの2.0%を1.9%へ下方修正、一段の資産買入れについては限界があるとしながらも依然オープンであることを示しました。その上でキング中銀総裁は必要ならば金融緩和は妨げられないと発言したことなどで、ポンドは下落が継続しています。また、ユーロに対する利下げ期待もポンドを重くした要因とみられます。こんしゅ英国では失業率と失業保険申請件数の発表が予定されています。市場の予想では失業保険申請件数が小幅の減少となっているため、予想通りであれば多少のポンドの戻りが期待できると思いますが、ポンドの重さには変化がないものと思います。ポンド/ドルのチャートでは一目均衡表(週足)の雲を大きくした抜けしたことや遅行線も雲とロウソク足をした抜けしたことで下降トレンドが継続していることを示しています。ストキャスティクススローがゴールデンクロスしていることで、多少の戻りの可能性もありますが、昨年5月の安値の1.52663ドル近辺が目先ではターゲットとなっていると思います。ポンド/円は週足で先々週の高値が147.959円、先週の高値が147.903円となり、ロウソク足も陰線となっています。一目均衡表(週足)の転換線ではサポートが継続していますが、高値の147.959円を抜けていかないと転換線(141.702円)の下抜けを試しに行く可能性が高まります。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは先週前半に発表された住宅ローン件数が悪化していたことで弱含みとなりましたが、NAB企業景況感指数は小幅ながら改善を示しました(注目度はそれほど高くない)。一方のNZが10-12月の小売売上高が好調だったことで強含み、ユーロ圏の利下げ観測などの台頭により、豪ドルなどの資金流失が巻き戻されたことなどで底固く推移しました。チャートでも豪ドル/米ドルは一目均衡表(週足)では雲の上限がサポートとなっています。ただ、日足では一目均衡表(日足)の転換線の上抜けに失敗したことや遅行線が再び雲の下に抜け出たことで、豪ドルの重さが感じられることから、昨年10月の安値の1.01475ドル近辺までの下げが足元ではあってもおかしくないと思います。豪ドル/円では95円から97円でのレンジの動きとなっていますが、一目均衡表(日足)の転換線を大きく下抜けしてくると93円台まで調整入りをする可能性があります。NZドルは目先80円を試しに行くと思われますが、これに失敗すると77円台までの下落(あくまでもレンジの中の動き)と思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
91.8 ~ 94.5 |
ユーロ/ドル |
1.316 ~ 1.352 |
ユーロ/円 |
121.6 ~ 126.9 |
ポンド/円 |
142.8 ~ 146.6 |
豪ドル/円 |
95.1 ~ 97.4 |
NZドル/円 |
77.7 ~ 79.9 |
南アランド/円 |
10.3 ~ 10.8 |
■注目イベント 2/19(火) 09:30 aud 豪準備銀行(中央銀行)金融政策会合議事要旨公表 19:00 dem 2月 ZEW景況感調査(期待指数) 2/20(水) 08:50 jpy 1月 貿易統計(通関ベース) 18:30 gbp 1月 失業保険申請件数 18:30 gbp 1月 失業率 22:30 usd 1月 住宅着工件数 2/21(木) 22:30 usd 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 usd 2月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 2/22(金) 18:00 dem 2月 IFO企業景況感指数 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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