10/1 週の見通し-リスク・オフから円高傾向継続か-
2012/09/30
■今週の見通し 【全体】 先週はどちらかというとリスク・オフの週となりました。10月に入ってもユーロ圏ではスペインの支援要請を巡っての思惑、米国では雇用統計などの重要な経済指標の発表が控えており、中国の景気減速も鮮明になりつつあることで、リスクが回避するセンチメントが強い週となりそうです。このため、米経済指標が悪化した場合には米株価の下落からのドル買い、円買いにつながりやすく、円高圧力が継続することになります。
【ドル/円】 ![USDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=93012jpy)
ドル/円は週初1日(月)に発表される日銀短観が悪化予想であることや、米供給管理協会(ISM)製造業景気指数が小幅ながら改善傾向を示す予想となっているため、これが50を超えてくるようだとドルが買われ、円が売られやすくなるものと見られます。一方、4-5日で予定されています日銀金融政策決定会合では更なる追加緩和の可能性は低いことから、5日(金)の米雇用統計を意識した神経質な展開になると思います。チャートでは、週末に77.50円を一時割り込んだものの、9/13の安値となる77.126円は下抜けていません。スローストキャスティクス(中段)では、30以下でゴールデンクロスする可能性があり、短期的な戻りにつながる可能性が高いと見られます。ただ、一目均衡表(日足)では基準線(78.171円)、転換線(78.326円)、雲下限(78.879円)と78円台には抵抗が多いことで、戻りが限られた場合には、下落トレンドが継続することになります。
【ユーロ】 ![EURJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=93012eur)
ユーロは週末に格付け会社ムーディーズがスペインの格下げを実施するとの噂が出ていましたが、NYクローズまでには実施されませんでした。このため、引き続きユーロに対する懸念が残ることになりそうです。一方、スペインの銀行ストレステストは資本不足額が593億ユーロとほぼ市場の予想通りの結果となっています。スペインの格下げ観測からスペインの支援要請への市場の催促でまずはユーロ売りが先行するのではないかと見られます。シカゴ通貨先物(IMM)のユーロのショートポジションもかなり減少していることから、ユーロ売りが仕掛けられる可能性があります。4日のECB理事会は特に新たな決定はないものと思います。チャートではユーロ/円で9/17からの下落トレンドが8月下旬のもみ合いから上放れした99円でサポートされています。スローストキャスティクス(中段)ではゴールデンクロスした場合には、レジスタンスと見られる一目均衡表(日足)の基準線(100.867円)、転換線(101.631円)を上抜けていくものと思います。
【ポンド】 ![GBPJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=93012gbp)
発表された英国4-6月期GDP前期比は小幅改善の-0.4%となり、ポンドが上昇する場面が見られましたが、英中銀の金融政策委員会(MPC)で年内に追加緩和が実施されるとの期待も出てポンドは調整が継続する形となりました。今週3-4日の2日間の日程でMPCが開催されます。予想では政策金利、資産買い入れプログラムの現状での据え置きとなると見られるため、まずは1日(月)の製造業PMIが注目されると見られますので、これが悪化していた場合にはポンドの調整が続くことになりそうです。チャートでは、一目均衡表(日足)の基準線(126.257円)を下抜けた後、基準線が戻りの抵抗となっています。ストキャスティクスの%D、SDともに30を割り込んでいることで、これがゴールデンクロスすれば短期的な買い転換となる可能性がありますが、逆に125.50円を割り込んでくるようだと8月中旬から9月中旬でもみ合った水準に戻ることになります。
【豪ドル】 ![AUDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=93012aud)
豪ドルは1日の中国製造業PMI、2日の豪準備銀行(RBA)の政策金利、3日の豪貿易収支、4日の小売売上高と指標の発表が目白押しの週です。注目のRBAの金融政策では政策金利の0.25%引き下げの可能性は残るものの、中国の景気刺激策への期待があることや、月の後半には四半期の消費者物価指数の発表が予定されていることから、RBAは今回は据え置く可能性が高いと見られます。このため、一時的に豪ドルが買われる可能性もありますが、利下げ期待が先送りされるだけと見られるため、戻りは鈍くなると思います。チャートでは先週一目均衡表(日足)の雲の下に抜けたものの、9/5の安値の79.673円でサポートされました。スローストキャスティクス(中段)ではゴールデンクロスしていることから、短期的に戻りにつながる可能性も高いと思いますが、一目均衡表の雲の下限(81.438円)、基準線(81.372円)、転換線(81.577円)がレジスタンスとなることから、これらが突破できなきれば、再び下落すると思います。
【先週の振り返り】 《月》東京時間帯はアジアの株価が下落したことなどでドル/円が78.012円、ユーロ/円が100.862円、ユーロ/ドルが1.29302ドルまで下落し、戻りも鈍いままロンドン時間を迎えました。17:00に発表された独IFO景気動向指数が市場予想に反し悪化していたことから、ユーロ/円は戻り高値の101.280円から100.600円、ユーロ/ドルは1.29720ドルから1.28967ドルまで下落、ドル/円も77.954円まで下落しました。NY時間に入ると、発表されたシカゴ連銀全米活動指数の悪化が嫌気され、ドル/円が77.815円まで下落すると、ユーロ/円は100.347円まで連れ安となり、ユーロ/ドルは1.28908ドルから反発しました。その後はダラス連銀製造業活動指数が改善を示したことやNYダウが下げ幅を縮小したことから、ユーロ/円は100.706円、ユーロ/ドルは1.29361ドルまで戻しましたが、ドル/円は重く77.806円まで一時売られました。
《火》東京時間帯はドル/円は77円台後半、ユーロ/円は100円台後半、ユーロ/ドルは1.29ドル台ミドル近辺で小動きとなりましたが、14時過ぎにロシア系からまとまったユーロ売りが持ち込まれたなどの噂もあり、ロンドン時間序盤にはユーロ/円が100.158円、ユーロ/ドルは1.28859ドルまで下落、ドル/円も77.661円まで下落しました。しかし、欧州の株価が上昇となったことやECBのノボトニー氏が「現時点でユーロ圏政策金利を変更する必要性を認めていない」との発言などで各通貨とも切り返し、NY時間に入り、米S&P/ケースシラー住宅価格指数、米消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数などが良い内容となると、ドル/円は77.924円、ユーロ/円は101.039円、ユーロ/ドルは1.29701ドルまで上昇しましたが、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁(投票権なし)が「QE3は成長や雇用増加にほとんど効果はないだろう」と発言し、NYダウが下落したことから、ドル/円は77.75円近辺、ユーロ/円は100.30円近辺、ユーロ/ドルは1.29ドル近辺まで下落しました。
《水》東京時間帯は株価の軟調からドル/円の上値が重く77円台後半での小動き、ユーロ/円は100.40円近辺から100円割れ、ユーロ/ドルは1.29ドル台前半から1.29ドル割れまで下落しました。上海総合株価指数が3年ぶりに2000を一時割り込んだことやユーロ圏周縁国の国債利回りが上昇したことなどから、ロンドン時間序盤にはドル/円が77.589円、ユーロ/円が99.705円、ユーロ/ドルが1.28476ドルまで下落しましたが、メルケル政権がESMを閣議決定したことからユーロ/円が100.108円、ユーロ/ドルが1.28881円まで反発しましたが、ドイツ国債の入札が低調に終わると、再びユーロ/ドルは下落しました。NY時間序盤にはギリシャで追加緊縮策に反対するデモ隊と警官隊が衝突したことなどから、ユーロ圏への懸念が高まり、ユーロ/ドルは1.28350ドルまで下落しました。ドル/円はロンドン時間からじりじりと反発していたところに佐藤日銀審議委員が「さらに経済・物価が下振れるがい然性が高まれば、追加緩和を躊躇しない」などと発言したことから、ドル/円が一時77.906円まで上昇しましたが戻りは鈍く77.70円近辺まで下落しました。
《木》東京時間帯は特に材料がなく、ドル/円が77円後半、ユーロ/円が100円近辺、ユーロ/ドルが1.28ドル台後半で小動きとなりましたが、中国当局の刺激策の可能性から、上海総合株価指数が上昇すると、リスク・オンの動きとなり、ドル/円は777.752円、ユーロ/円は100.265円、ユーロ/ドルは1.29ドルちょうどまで小幅上昇しました。ロンドン時間にはスペインのスティーリャ・ラマンチャ州が8億ユーロの支援要請へと一部通信社が報じたことなどからユーロ/円が99.799円、ユーロ/ドルが1.28440ドルまで下落しました。NY市場では発表された米4-6月期GDP確定値が前期比1.3%に下方修正されたこと、米耐久財受注が前月比-13.2%に大幅低下となったことから、ドル/円が77.570円まで下落しました。ユーロはスペインの2013年予算案が閣議で承認されたものの、年金準備基金から30億ユーロを取り崩しとの内容に反応し、ユーロ/円が99.636円、ユーロ/ドルが1.28287ドルまで下落しましたが、スペイン経済相がEU推奨を上回る改革を計画と発言したことなどでショートカバーが強まりユーロ/円が100.351円、ユーロ/ドルが1.29280ドルまで上昇しました。
《金》東京時間帯は月末の中値に向けたドル買いも本邦輸出のドル売りの噂に消され、ドル/円は14時過ぎに77.437円、ユーロ/円は100.090円まで下落する一方、ユーロ/ドルはアジアの中銀系のユーロ買いなどから1.29420ドルまで上昇しました。ロンドン時間に入ると、実需によるユーロ買いなどでユーロ/円が100.664円、ユーロ/ドルが1.29592ドルまで上昇、ドル/円も77.688円まで上昇しましたがユーロ圏周縁国国債が下落(利回りは上昇)したことでユーロの戻りには鈍くなりました。NY時間には発表された米個人所得は下振れしたものの、個人支出、GDPデフレータなどが予想通りだったことでドル買い戻しとなり、スペインの格下げ警戒からユーロが弱含みで推移し、ユーロ/円は99.918円、ユーロ/ドルは1.28383ドルまで下落、シカゴPMIが悪化していたものの、NYダウの下落や四半期末のドル買いなどでドル/円は78.102円まで上昇、ユーロ/円は100.480円までえ戻しましたが、ユーロ/ドルの戻りは鈍くなりました。クローズはドル/円が78.003円、ユーロ/円が100.164円、ユーロ/ドルは1.28433ドルでした。
※文中およびクローズの為替レートは上田ハーローFXでの提示レート(Bid)です。
■今週の予想レンジ
Ccy |
Low(下) |
|
High(上) |
ドル/円 |
77.10 |
~ |
78.90 |
ユーロ/ドル |
1.2740 |
~ |
1.2970 |
ユーロ/円 |
99.10 |
~ |
100.90 |
ポンド/円 |
124.20 |
~ |
126.70 |
豪ドル/円 |
79.70 |
~ |
81.90 |
NZドル/円 |
63.30 |
~ |
65.70 |
南アランド/円 |
9.20 |
~ |
9.60 |
|
■注目イベント 10/1(月) ・ 08:50 日本 7-9月期 日銀短観 ・ 16:15 スイス 8月 実質小売売上高 ・ 16:30 スイス 9月 SVME購買部協会景気指数 ・ 17:00 ユーロ圏 9月 製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値 ・ 17:30 英国 9月 製造業購買担当者景気指数(PMI) ・ 17:30 英国 8月 消費者信用残高 ・ 17:30 英国 8月 マネーサプライM4 ・ 18:00 ユーロ圏 8月 失業率 ・ 21:30 カナダ 8月 鉱工業製品価格 ・ 21:30 カナダ 8月 原料価格指数 ・ 23:00 米国 9月 ISM製造業景況指数 ・ 23:00 米国 8月 建設支出 10/2(火) ・ 08:50 日本 9月 マネタリーベース ・ 10:30 日本 8月 毎月勤労統計調査-現金給与総額 ・ 13:30 豪 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 ・ 15:00 英国 9月 ネーションワイド住宅価格 ・ 18:00 ユーロ圏 8月 卸売物価指数(PPI) 10/3(水) ・ 10:30 豪 8月 貿易収支 ・ 17:00 ユーロ圏 9月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値 ・ 17:30 英国 9月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI) ・ 18:00 ユーロ圏 8月 小売売上高 ・ 21:15 米国 9月 ADP雇用統計 ・ 23:00 米国 9月 ISM非製造業景況指数(総合) 10/4(木) ・ 10:30 豪 8月 住宅建設許可件数 ・ 10:30 豪 8月 小売売上高 ・ 16:15 スイス 4-6月期 四半期鉱工業生産 ・ 20:00 英国 イングランド銀行(BOE)金利発表 ・ 20:30 米国 9月 チャレンジャー人員削減数 ・ 20:45 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)政策金利 ・ 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 ・ 23:00 カナダ 9月 Ivey購買部協会指数 ・ 23:00 米国 8月 製造業新規受注 ・ 03:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 10/5(金) ・ 00:00 日本 日銀金融政策決定会合 ・ 14:00 日本 8月 景気一致指数(CI)速報値 ・ 14:00 日本 8月 景気先行指数(CI)速報値 ・ 19:00 ドイツ 8月 製造業新規受注 ・ 21:30 カナダ 9月 失業率 ・ 21:30 カナダ 9月 新規雇用者数 ・ 21:30 カナダ 8月 住宅建設許可件数 ・ 21:30 米国 9月 非農業部門雇用者数変化 ・ 21:30 米国 9月 失業率 ・ 04:00 米国 8月 消費者信用残高 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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