6/9 今週の見通し-中国指標悪化でリスク・オフ継続か-
2013/06/09
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円はドラギECB総裁の利下げへの消極的な発言からユーロに対してドルが下落した流れから、これまでサポートと見られていた一目均衡表(日足)の基準線、55日移動平均線、90日移動平均線を下抜けて、一時94.961円まで下落しました。なんとか一目均衡表(日足)の雲上限と90日移動平均線ではサポートされているものの、55日移動平均線の98.848円が戻りのレジスタンスとなってきました。今週は明日から開催される日銀金融政策決定会合で長期金利の上昇抑制への手立てが示されれば市場が落ち着きを取り戻すとみられるため、日経225平均株価の上昇と円安の流れに戻る可能性が高まります。その一方で、週末にGPIF(年金管理運用独立行政法人)が中期計画のポートフォリオ変更を発表(内容はGPIF発表のPDFを参照してください)しましたが、市場の影響は限定的となっているため、本格的な戻りにつながるには12日(水)に発表される本邦機械受注などが強い内容となる必要があるものと思います。チャート上ではサポートとなる一目均衡表(日足)の雲の下限の95.410円を下抜けると4/2の安値の92.565円近辺まで下落する可能性が高くなります。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロは6日に開催されたECB理事会後の記者会見でドラギECB総裁が「主要な議題は利下げではなかった」などの発言から、市場はECBが利下げに消極的とみなしユーロ買いとなり、ユーロ/ドルは1.33028ドルまで一時上昇しました。5月中旬から続いていた1.28-1.31ドルのレンジを上抜けてきました。同時に一目均衡表(日足)の雲を上に抜け、週足のヘッド・アンド・ショルダーも崩れました。週末に発表された中国の経済指標の内容がパッとしなかったこともあり、金などのコモディティ価格が下落する可能性があり、コモディティはユーロとの相関性が高いことから、ユーロ/ドルの上値が押さえられる可能性があると思っています。また、財政健全化の達成が先送りされたものの、この効果が表れるまでには少なくとも半年程度のタイムラグがあるとみられるため、足元ではユーロのポジティブ要因にはなりにくいと思います。加えて今週は主要な経済指標の発表が予定されていないこともあり、ドルや他市場の動きに左右されやすい週となるとみられますが、10日(月)に発表されるの仏鉱工業生産が予想通りよい内容となった場合には、ユーロ買いが先行するものと思います。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは6日の英中銀金融政策委員会(MPC)は予想通り波乱もなく終わりました。その一方で、株価が不安定な動きを続けていることなどでポンドがドルに対して買われる展開となっています。今週は11日(火)に鉱工業生産、12日(水)に失業保険申請件数が発表されますが、月初に発表された製造業PMIなどが市場予想を上回っていたことで、これらの内容が良ければポンド買いが継続する可能性があります。ポンド/円は先週末の安値の148.161円が90日移動平均線でサポートされ、引値も55日移動平均線でサポートされています。しばらくレンジとなっていた151.50-154.50円のレンジに戻ることができれば5/13の高値の156.753円の方向に上昇すると思われます。ポンド/ドルは5/29に1.50066ドルの安値を付けたのがちょうど一目均衡表(日足)の雲のねじれの位置にあたり、そこで反転して雲を上に抜け5/4の1.56040ドルを上抜けました。このため、2/1の高値の1.58764ドルが意識されると思います。ただ、7月1日に就任するカーニー新英中銀(BOE)総裁のもとでの利下げ期待もあることから、深追いする環境ではないと思います。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは対円、対ドルで下落幅は大きく、売られ過ぎのように見受けられます。ただ、豪ドル買いに繋がる材料が出てこず、豪ドル売りの材料が次から次へと出てきています。週末の中国の輸入の下振れ(前月比で-0.3%)は豪にとってはネガティブな材料であり、さらに中国の第2四半期の景気減速の可能性も予想されていることから、豪ドルの利下げ期待が強くなっているものと思います。こうした中で11日には住宅ローンとNAB企業景況感指数、13日(木)には失業者数、新規雇用者数の発表が予定されているため、特に雇用の下振れが見られた場合には豪ドルの一段安に繋がる可能性があると思っています。チャート上では豪ドル/円が昨年3月高値の88.628円近辺、豪ドル/米ドルが2011年11月安値の0.93870ドル近辺が目処となります。ただ、4月の高値からみると豪ドル/米ドルで約1000ポイント、豪ドル/円で15円と他の通貨に比べて下落幅が大きいこと、市場心理が豪ドル売りに傾き過ぎていることから、悪い材料への反応が鈍くなるようであれば、反発に繋がる可能性が高くなると思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
94.98 ~ 98.52 |
ユーロ/ドル |
1.3147 ~ 1.3411 |
ユーロ/円 |
126.66 ~ 130.28 |
ポンド/円 |
148.94 ~ 153.04 |
豪ドル/円 |
89.44 ~ 93.5 |
NZドル/円 |
74.45 ~ 77.84 |
南アランド/円 |
9.33 ~ 9.94 |
■注目イベント 6/10(月) 07:45 NZ 1-3月期 四半期製造業売上高 08:50 日本 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP)改定値 08:50 日本 4月 国際収支・経常収支 08:50 日本 4月 国際収支・貿易収支 14:00 日本 5月 消費者態度指数・一般世帯 14:45 スイス 5月 失業率 15:00 日本 5月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 15:45 フランス 4月 鉱工業生産指数 16:15 スイス 4月 実質小売売上高 21:15 カナダ 5月 住宅着工件数 6/11(火) 08:01 英国 5月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 08:50 日本 5月 マネーストックM2 08:50 日本 4-6月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断指数(BSI) 10:30 豪 4月 住宅ローン件数 10:30 豪 5月 NAB企業景況感指数 未定 日本 日銀金融政策決定会合 17:30 英国 4月 鉱工業生産指数 17:30 英国 4月 製造業生産指数 23:00 米国 4月 卸売在庫 6/12(水) 08:50 日本 5月 国内企業物価指数 08:50 日本 4月 機械受注 14:00 日本 金融経済月報(基本的見解) 14:30 フランス 1-3月期 非農業部門雇用者改定値 15:00 ドイツ 5月 消費者物価指数(CPI)改定値 15:45 フランス 4月 経常収支 15:45 フランス 5月 消費者物価指数(CPI) 17:30 英国 5月 失業率 17:30 英国 5月 失業保険申請件数 18:00 ユーロ圏 4月 鉱工業生産 20:00 南ア 4月 小売売上高 03:00 米国 5月 月次財政収支 6/13(木) 06:00 NZ NZ準備銀行(RBNZ)政策金利 10:30 豪 5月 新規雇用者数 10:30 豪 5月 失業率 15:00 ドイツ 5月 卸売物価指数(WPI) 16:15 スイス 5月 生産者輸入価格 17:00 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)月報 21:30 米国 5月 輸入物価指数 21:30 米国 5月 輸出物価指数 21:30 カナダ 1-3月期 四半期設備稼働率 21:30 カナダ 4月 新築住宅価格指数 21:30 米国 5月 小売売上高 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 23:00 米国 4月 企業在庫 6/14(金) 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨 18:00 ユーロ圏 5月 消費者物価指数(HICP)改定値 21:30 カナダ 4月 製造業出荷 21:30 米国 5月 卸売物価指数(PPI) 21:30 米国 1-3月期 四半期経常収支 22:15 米国 5月 鉱工業生産 22:15 米国 5月 設備稼働率 22:55 米国 6月 ミシガン大学消費者態度指数速報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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