12/10 週の見通し-円ショート、豪ドルロングのポジション増に警戒-
2012/12/09
【全体】 米国の財政協議は市場が注目する中で進展は見られませんでしたが、欧州は12/3のユーロ圏財務相会合でギリシャへの財政緊縮の期限の2年間延長を決定しました。債務危機の根本解決には至りませんが、ユーロ圏がユーロを存続させるとの意思を示したとの発言を一部の欧州要人は行っています。このため、市場はやや楽観的になっていますので、利下げ観測があるユーロと追加緩和期待の残る円は下落傾向となっているものの、豪ドルやNZドルは上昇しています。ただ、シカゴの通貨先物のポジション残などを見るとポジションが偏っている通貨が多いことから、ポジション解消の動きがいつ出てもおかしくないリスクにさらされているように見えます。16日には本邦の総選挙もあり、短期筋は投開票の前にしてポジション調整の動きをしてくるかもしれません。
【ドル/円】
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(c)UH standard chart
ドル/円は週末の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る14.6万人の増加となり、11/22の高値の82.831円と面を合わせる82.822円まで一時上昇しました。週足を見ると81円台では底堅いものの、83円を前にして上に行きにくいように見えます。また、ストキャスティクススロー(9,3,3)でも%D、SDともに90を超えてきていることから買われすぎからの調整のリスクが伴っていると言えそうです。また、シカゴ通貨先物の非商業ポジションも2007年7月以来の水準へ増加していることから、ちょっとしたきっかけでリスク・オフの動きが出やすいものと思います。今週は11-12日と米FOMCが行われます。このところ雇用の回復状況はあるものの、FOMCは2015年半ばまでの低金利が正当化されるとの声明を繰り返すものと思われますので、ドル買いの要因は少ないものと思います。その他では13日の小売売上高、14日の鉱工業生産の発表には注意が必要となります。ドル/円は83円を試しつつも、ここを抜けられなければ80円台ミドルまでの調整にはつながると思います。
【ユーロ】
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(c)UH standard chart
ユーロはECB理事会後のドラギECB総裁記者会見からECBの利下げ期待が高まりユーロが週後半に下落しました。一目均衡表(週足)では、雲の上から中に入り、遅行線は雲の下限で止められた形になりました。今週から遅行線に対する雲の下限が切り下がってくるため、上値が押さえられやすく、日足ベースではMACDもデッドクロスしていることから、足元から下落する可能性が高いと思います。今週は12日に独ZEW景況感調査の発表があるくらいですので、欧州要人からの明確な否定発言でもない限りユーロ/円の107円台では戻りが鈍い状態が続くものと思います。
【ポンド】 ![GBPJPY FXchart|GBP/JPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=120912gbp)
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ポンド/円は英10月の貿易赤字が予想以上に拡大したにもかかわらず、3/19の年初来高値に迫る132.901円まで上昇しました。英商工会議所(BCC)が2012年の成長見通しを上方修正した(2013年は下方修正)ことや英の新車登録台数が9カ月連続で増加していることなど足元の景気は堅調のようです。チャートでは日足、週足ともに上昇トレンドとなっていることで、年初来高値を試す動きが続き、これを上抜けば2011/4/8の高値の140.010円を目標にしていくものと思いますが、日足ではMACDがデッドクロスしていることで10/25の高値の129.639円近辺までの調整が起こってもおかしくないと思います。また、2013年は英国の格下げの可能性が高いことやキング英中銀総裁に代わりカーニー現カナダ中央銀行総裁が就任することによる規制強化のリスクも伴います(まだ先の話ではありますが)。
【豪ドル】
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豪は先週の豪準備銀行(RBA)の金融政策では市場の予想通り政策金利を0.25%引き下げたものの、市場はすでに利下げを織り込んでいたことから、むしろ上昇につながりました。また、発表された経済指標は内容的に良くないものが多かったわりには、ユーロの利下げ観測などから豪ドルは底堅く推移しています。ただ、先週発表された貿易収支を見ると交易条件は悪化していることや豪政府が豪ドル高に警戒を強めていること、本日(9日)に発表された中国の消費者物価指数は食料品が上昇したことで、前年同月比2.0%となったことで、中国の緩和姿勢に水が差される可能性も出てきたことから、上昇が継続するのは難しいように思います。チャートでは日足も週足も年初来高値となる3/19の88.628円を試しに行くように見えますが、週足のストキャスティクススロー(9,3,3)では%Dが95を超えていること、SDも95に近いことで調整が迫っていることを示していると思います。調整めどは引き続き11/7の安値の84.148円です。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
81.2 ~ 83.6 |
ユーロ/ドル |
1.284 ~ 1.314 |
ユーロ/円 |
104.6 ~ 107.6 |
ポンド/円 |
130.4 ~ 134.8 |
豪ドル/円 |
84.7 ~ 88.6 |
NZドル/円 |
67.6 ~ 69.4 |
南アランド/円 |
9.25 ~ 9.55 |
■注目イベント 12/10(月) 06:45 NZ 7-9月期 四半期製造業売上高 前期比 08:50 日本 10-12月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断指数(BSI) 08:50 日本 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP)改定値 08:50 日本 10月 国際収支-経常収支 08:50 日本 10月 国際収支-貿易収支 09:30 豪 10月 住宅ローン件数 14:00 日本 11月 消費者態度指数一般世帯 15:00 日本 11月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 16:00 ドイツ 10月 経常収支 16:00 ドイツ 10月 貿易収支 16:45 フランス 10月 鉱工業生産指数 22:15 カナダ 11月 住宅着工件数 12/11(火) 08:50 日本 11月 マネーストックM2 09:01 英国 11月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 09:30 豪 11月 NAB企業景況感指数 15:30 フランス 7-9月期 非農業部門雇用者改定値 19:00 ドイツ 12月 ZEW景況感調査(期待指数) 19:00 ユーロ圏 12月 ZEW景況感調査 22:30 カナダ 10月 貿易収支 22:30 米国 10月 貿易収支 00:00 米国 10月 卸売在庫 12/12(水) 08:50 日本 10月 機械受注 08:50 日本 10月 第三次産業活動指数 08:50 日本 11月 国内企業物価指数 16:00 ドイツ 11月 消費者物価指数(CPI)改定値 16:45 フランス 10月 経常収支 16:45 フランス 11月 消費者物価指数(CPI) 17:00 南ア 11月 消費者物価指数(CPI) 18:30 英国 11月 失業率 18:30 英国 11月 失業保険申請件数 19:00 ユーロ圏 10月 鉱工業生産 20:00 南ア 10月 小売売上高 22:30 米国 11月 輸入物価指数 22:30 米国 11月 輸出物価指数 02:30 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 04:00 米国 11月 月次財政収支 12/13(木) 17:15 南ア 11月 生産者輸入価格 17:30 南ア スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 18:00 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)月報 18:30 南ア 11月 卸売物価指数(PPI) 22:30 カナダ 7-9月期 四半期設備稼働率 22:30 カナダ 10月 新築住宅価格指数 22:30 米国 11月 卸売物価指数(PPI) 22:30 米国 11月 小売売上高 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 米国 10月 企業在庫 12/14(金) 08:50 日本 10-12月期 日銀短観 13:30 日本 10月 鉱工業生産確報値 19:00 ユーロ圏 11月 消費者物価指数(HICP)改定値 22:30 カナダ 10月 製造業出荷 22:30 米国 11月 消費者物価指数(CPI) 23:15 米国 11月 鉱工業生産 23:15 米国 11月 設備稼働率 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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