10/29 週の見通し-米雇用統計が米大統領選に影響か-
2012/10/28
【全体】
先週までのリスク・オンの流れは米国の企業決算など受けて、やや息切れとなってきているように見えます。投資家の心理を表すといわれているVIX(投資家心理指数)も徐々に上昇してきていますので警戒が必要となってきました。市場は日銀の追加緩和の規模、スペインが支援要請を行うのか、米国の大統領選挙の行方の3点に注目していると見られます。特に米国の大統領選挙は週末のABCなどの世論調査では僅差と報じられていることで、先月の第1回討論会後の失業率のお幅回復がオバマ現大統領の支持を上げたことから、週末の雇用統計はいつも以上に関心がもたれそうです。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円は市場で注目されている200日移動平均線(79.478円)でかろうじてサポートされました。このレベルはちょうど一目均衡表(日足)の転換線の位置にもあたります。足元では一目均衡表(週足)の雲の中に入ったものの、引値で維持できなかったこと、ストキャスティクススロー(9,3,3)がデッドクロスしていることから、調整が続く可能性があります。また、30日の日銀金融政策決定会合での10兆円規模の追加緩和の決定は市場に織り込まれているとみられるため、市場では発表後のドル売り予想が多くなっています。日銀が継続的な追加緩和の実施を示せない場合には、期待で上昇した分を吐き出すことになり、一時的に78円を割り込む円高の可能性もあります。週後半にかけては米ISM製造業景気指数、米国雇用統計などの重要な指標を控えていることから、期待感でのドルが底堅い動きをするのではないかと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロ/円は日銀への追加緩和期待が高まった火曜日に5/4以来の104.585円をつけてから下落に転じ、週末には一目均衡表(日足)の転換線を下に抜けました。ストキャスティクススロー(9,3,3)も売りシグナル中であることから、調整が続く可能性が高いとみられます。足元では21日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表(日足)の基準線が集中している102円台前半がサポートとなりますので、ここを下に抜けると下落が続くことになりそうです。ユーロ圏では30日の財務相電話会議、ドイツの失業率、31日のユーロ圏失業率の発表が注目されると思います。先週のガリシア州選挙でラホイ首相率いる与党国民党が勝利したものの、スペインの支援要請が不透明なことと、ギリシャの財政調整プログラムの目標達成期限の2年延長について不当めないことに加え、IMFが2020年にGDPの120%に債務を圧縮できる可能性がないことを明らかにしていることから、ユーロが重い動きが続くと思います。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンド/円は一目均衡表(週足)では雲の上に僅かに抜け出ました。遅行線はろうそく足の上に抜け出れば上昇トレンドが継続すると思いますが、足元では先週に続きストキャスティクススロー(9,3,3)がデッドクロス(2回目)していることと、木曜日の上昇分を金曜日に吐き出したことで、10/5の高値の127.803円を割り込んだ場合には、調整に入るのではないかと思います。ただ、7-9月期GDPが1.0%の成長となり、3四半期連続でマイナス成長となっていた状況からは脱却したことで、英国の追加緩和の可能性が低下したことでポンドは底堅い動きをすると思います。経済指標は1日(木)の製造業PMIが悪化している場合にはポンドの上値が重くなりそうです。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドル/円は83.477円まで上昇したものの、一目均衡表(週足)の上に抜け出ることができませんでした。200日移動平均線(82.196円)でサポートされているため、雲の上抜けをトライする可能性がありますが、ストキャスティクススローでは2回目のデッドクロスとなっていることから足元では調整があると思います。先週末に発表された7-9月期の豪消費者物価指数が市場予想を上回っていたことから、市場心理は11月の利下げはないと見ています。ただ、一方では今回の消費者物価を引き上げたのは炭素税とたばこ税の影響によるところが大きいことから、これらを除いた部分では物価は押さえられていることから、11月の金融政策が据え置かれた以降は、中国の経済指標の動向にもよりますが、再び利下げの期待が浮上してくると思います。経済指標は31日(水)の住宅建設許可、2日(金)の7-9月期遅し売り物価指数の発表が予想されますので、ここでの物価の上昇がみられれば豪ドルのサポートとなると思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
78.9 ~ 80.6 |
ユーロ/ドル |
1.28 ~ 1.318 |
ユーロ/円 |
101.3 ~ 104.6 |
ポンド/円 |
126.4 ~ 131.8 |
豪ドル/円 |
80.3 ~ 83.6 |
NZドル/円 |
64.3 ~ 66.2 |
南アランド/円 |
9 ~ 9.4 |
■注目イベント 10/29(月) 08:50 日本 9月 小売業販売額 08:50 日本 9月 大型小売店(既存店)販売額 15:00 南ア 9月 マネーサプライM3 18:30 英国 9月 消費者信用残高 18:30 英国 9月 マネーサプライM4 21:30 米国 9月 個人消費支出(PCE) 21:30 米国 9月 個人消費支出(食品・エネルギー除く) 21:30 米国 9月 個人所得 22:00 ドイツ 10月 消費者物価指数(CPI)速報値 10/30(火) 08:30 日本 9月 失業率 08:30 日本 9月 有効求人倍率 08:30 日本 9月 全世帯家計調査消費支出 08:50 日本 9月 鉱工業生産速報値 未定 日本 日銀金融政策決定会合 17:55 ドイツ 10月 失業者数 17:55 ドイツ 10月 失業率 19:00 ユーロ圏 10月 消費者信頼感(確定値) 21:30 カナダ 9月 鉱工業製品価格 21:30 カナダ 9月 原料価格指数 22:00 米国 8月 ケース・シラー米住宅価格指数 23:00 米国 10月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 10/31(水) 06:45 NZ 9月 住宅建設許可件数 09:01 英国 10月 GFK消費者信頼感調査 09:30 豪 9月 住宅建設許可件数 10:30 日本 9月 毎月勤労統計調査-現金給与総額 14:00 日本 9月 新設住宅着工戸数 16:45 フランス 9月 消費支出 16:45 フランス 9月 卸売物価指数(PPI) 19:00 ユーロ圏 9月 失業率 19:00 ユーロ圏 10月 消費者物価指数(HICP)速報値 19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績) 21:00 南ア 9月 貿易収支 21:30 カナダ 8月 月次国内総生産(GDP) 22:45 米国 10月 シカゴ購買部協会景気指数 11/1(木) 09:30 豪 7-9月期 四半期輸出物価指数 09:30 豪 7-9月期 四半期輸入物価指数 16:00 英国 10月 ネーションワイド住宅価格 17:15 スイス 9月 実質小売売上高 17:30 スイス 10月 SVME購買部協会景気指数 18:30 英国 10月 製造業購買担当者景気指数(PMI) 20:30 米国 10月 チャレンジャー人員削減数 21:15 米国 10月 ADP雇用統計 21:30 米国 7-9月期 四半期非農業部門労働生産性速報値 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 23:00 米国 10月 ISM製造業景況指数 23:00 米国 9月 建設支出 11/2(金) 08:50 日本 10月 マネタリーベース 09:30 豪 7-9月期 四半期卸売物価指数(PPI) 18:00 ユーロ圏 10月 製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値 21:30 カナダ 10月 失業率 21:30 カナダ 10月 新規雇用者数 21:30 米国 10月 非農業部門雇用者数変化 21:30 米国 10月 失業率 23:00 米国 9月 製造業新規受注 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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