10/8 週の見通し-方向感を決める材料少なく小動きか-
2012/10/07
■今週の見通し 【全体】 米国の雇用統計は、9月の非農業部門雇用者数こそ市場の予想通りでしたが、8月分が9.6万人増加⇒14.2万人増加、7月分が14.1万人増加⇒18.1万人増加と2か月で8.6万人上方修正されました。また、失業率も7.8%に改善、前回問題となった労働参加率も63.6%(前回63.5%)に改善したことで、市場のセンチメントがリスク・オンに傾きかけましたが、ラホイ・スペイン首相の「救済を要請するかどうかの決定はない」との発言でややセンチメントが冷やされたようですので、目立った材料が少ない中で、各通貨とも決め手を欠く展開となるものと思います。しかし、円については月末の日銀金融政策決定会合(展望レポート公表)での追加緩和期待が残るため、円買いにはなりにくい状況とみられます。
【ドル/円】
ドル/円は週末に78.867円まで上昇して、チャートでは一目均衡表(日足)の雲の下限に一時タッチしました。転換線と基準線がほぼ同値になっていることで、ゴールデンクロスすれば、ドルの上昇につながる可能性が高まります。手掛かりとしては11日(木)に発表される8ばつの貿易収支、新規失業保険申請件数、12日(土)のミシガン大消費者信頼感指数となります。今回雇用は強い内容となりましたが、これが継続するかを見極める必要があります。イベントを含めて決め手を欠く週となることが予想されることから、77円台は底堅いものの雲の上限の79.30円近辺ではかなり重たくなると思います。
【ユーロ】
ラホイ・スペイン首相は支援要請に対して消極的な姿勢を続けていますが、同国の10年債利回りは5.7%まで低下しています。ユーロ圏周縁国の利回り低下はユーロの上昇要因となりますが、同国の支援要請の遅れはユーロ圏の金融市場の不透明感を増すことになり、ECBによる国債買い入れというサポート材料はあるものの、株価の下落からのユーロ安につながる可能性が高くなります。8日のドイツ経常収支、貿易収支、12日のユーロ圏鉱工業生産が注目されると思います。ただ、チャートでは9/27に99.636円の安値をつけて反転したこと、MACDがゴールデンクロスしたことから9/17の高値の103.846円を上抜けることができれば、4/20の高値の107.990円と7/24の安江の94.111円を100%としたフィボナッチ76.4%戻しの104.73円近辺まで上昇する可能性があります。
【ポンド】
ポンドは先週発表された製造業PMI、非製造業PMIはともに悪化、しかし、英中銀(BOE)の金融政策委員会では政策金利、資産買い入れプログラムともに据え置きとなり、ポンド/円はしっかりした動きとなりました。今週は9日に鉱工業生産指数、貿易収支の発表が予定されていて、どちらも悪化の予想となっています。ユーロが上昇しているものの、原油価格が下落していることでポンドが弱含みでの推移となってきているようです。チャートも5日金曜日のろうそく足が上にカゲ(ヒゲ)の長い陰線となったことで、形は悪くなったものの、MACDではゴールデンクロス間近であることから、一目均衡表(日足)の126.28円近辺でサポートされた場合には9/19の高値の128.824円をターゲットとして上昇する可能性が高まります。
【豪ドル】
豪ドルは先週、豪準備銀行(RBA)が予想外の0.25%利下げを実施したことに加え、利下げ余地があるとみなされていること、原油価格が下落していることなどから、豪ドル/円では下落トレンドが継続しています。今週は11日に失業率、新規雇用者数の発表が予定されていて、これが失速するようだと一段の豪ドルの下落につながることになります。チャートではスローストキャスティクスではゴールデンクロスしているものの、一目均衡表(日足)の転換線がレジスタンスとして機能していることから、7/25の安値の79.517円を下抜けると6/1の安値の74.448円と8/21の高値の83.562のフィボナッチ61.8%押しの78.905円近辺まで下落する可能性があります。
【先週の振り返り】
《月》東京時間帯は朝方発表された日銀短観で大企業製造業の業況判断が予想より下振れしていたものの、大企業非製造業の業況判断は予想より上振れしていたため強弱ミックスとなり、為替市場への影響は限定的となりました。しかし、発表された中国の製造業PMIが市場予想を下回る49.8となったことからユーロ/円が100.15円近辺から99.783円、ユーロ/ドルは1.2845ドル近辺から1.2810円近辺、ドル/円は78円近辺から77.788円まで下落しました。ロンドン時間に入ると、ユーロ圏周縁国の国債利回りが低下したことなどで、ドル/円が78.030円、ユーロ/円が100.695円、ユーロ/ドルが1.29104ドルまで上昇、NY時間には発表された米供給管理協会(ISM)製造業景気指数が市場予想を上回る51.5となったことで、ドル/円は78.145円、ユーロ/円が101.019円、ユーロ/ドルが1.29388ドルまで上昇しましたが、NYダウが上げ幅を縮小したことやバーナンキ米FRB議長が米経済が強くなった後も超緩和策を相当の期間続けると発言したことなどから、ドル/円は78円を挟む動き、ユーロ/円は100円ミドル、ユーロ/ドルは1.2880ドル近辺まで下落しました。
《火》東京時間帯はアジアの株価が堅調推移となったことでドル/円は78.152円、ユーロ/円は100.842円、ユーロ/ドルは1.29050ドルまで上昇しましたが、豪準備銀行(RBA)による予想外の0.25%の利下げにより、豪ドル/円が81円近辺から80.50円近辺、豪ドル/米ドルが1.0370ドル近辺から1.03ドル近辺まで急落したことで、ドル/円78.040円、ユーロ/円100.583円、ユーロ/ドル1.28804ドルまで下落しました。ロンドン時間にはスペインの支援要請への期待が高まり、リスク・オンのムードとなったこともあり、ユーロ/円が101.063円、ユーロ/ドルが1.29294ドルまで上昇すると、ドル/円も78.209円をつけました。NY時間にはユーロのストップロスなどからユーロ/円が101.189円、ユーロ/ドルが1.29675ドルまで上昇、ドル/円は77.976円まで下落しましたが、欧米の株価が下落したこともあり、ドル/円が78.10円近辺まで切り返す一方で、ユーロ/円は100.90円近辺、ユーロ/ドル1.2920ドル近辺まで下落しました。
《水》東京時間帯は発表された豪8月の貿易収支が市場予想より大幅悪化の20.3億豪ドルの赤字となったことで、豪ドルが下落したことから、ドル/円は78.30円近辺から78.109円、ユーロ/円が101.10円近辺から100.80円近辺、ユーロ/ドルが1.2915ドル近辺から1.2885ドル近辺まで下落しました。トンドン時間に入ると、ユーロ圏の小売売上高が0.1%と市場予想を上回ったことから、ユーロ/円が101.197円、ユーロ/ドルが1.29563ドルまで反発する場面が見られました。ドル/円は中尾財務官、城島財務相が「G7で日本の立場を説明」「必要なら断固たる措置」などと発言し78円台前半で底堅い動きとなりました。NY時間には発表された米ADP雇用調査が市場予想を上回ったこと、米ISM非製造業景気指数もよかったことでドル買いとなり、ドル/円は78.579円、ユーロ/円は101.465円しました。クローズにかけては原油価格が下落したこともあり、各通貨ともやや上げ幅を縮小しました。
《木》東京時間帯序盤はドル/円が78円台ミドル近辺、ユーロ/円が101円台ミドル手前で小動きとなりましたが、海外ファンド系のドル買いとみられる動きで、ドル/円が78.711円、ユーロ/円が101.703円まで上昇しました。ユーロ/ドルは1.29ドル台前半のレンジの動きとなりました。ロンドン時間にはスペイン国債の入札が実施され、目標40億ユーロのところ39.9億ユーロとなり、同国国債利回りの上昇から、ユーロが下落したものの、原油価格やNYダウ先物が上昇したことなどを背景にユーロ買いが継続し、ユーロ/円は101.937円、ユーロ/ドルが1.29668ドルまで上昇しました。NY時間には発表された米新規失業保険申請件数が36.7万件と改善を示したことでドル/円が78.672円まで上昇しました。ドラギECB総裁の「利下げは議論されていない」との発言から、ユーロ/円が102.242円、ユーロ/ドルが1.30306ドルまで上昇し、ドル/円が78.295円まで下落しました。クローズ前に発表された米FOMC議事録では、景気が回復軌道に乗っても追加緩和を続けるとの姿勢が示されましたが、目新しい内容がなかったことから、ドル/円は78.50円近辺まで買い戻されました。
《金》東京時間帯は日銀金融政策決定会合へ前原国家戦略・財政経済担当相が出席するとのニュースもあり、ドル/円が78.568円、ユーロ/円が102.270円まで上昇、ユーロ/ドルは1.30ドル台前半で小動きとなりました。日銀金融政策決定会合が全員一致で現状据え置きの決定となると、ドル/円は78.273円、ユーロ/円が101.855円まで下落しました。ロンドン時間に入ると、サマラス・ギリシャ首相が「ギリシャの民主主義は最大の課題に直面している」などと発言したことなどで、ユーロ/円が101.853円、ユーロ/ドルが1.29935ドルへと下落しましたが、全般的には小動きとなりました。NY時間では発表された米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想とほぼ同じ11.4万人の増加となったものの、失業率が7.8%と予想の8.2%から大幅に改善したことでドル/円が78.867円、ユーロ/円が102.795円、ユーロ/ドルが1.30710ドルへと上昇しましたが、ラホイ・スペイン首相が「救済を要請するかどうかの決定はない」と発言したことで、ユーロ/円が102.378円、ユーロ/ドルが1.30142ドルまで下落、ドル/円も78.595円まで下落しました。クローズはドル/円が78.670円、ユーロ/円が102.523円、ユーロ/ドルが1.30311ドル。
※文中およびクローズの為替レートは上田ハーローFXでの提示レート(Bid)です。
■今週の予想レンジ
Ccy |
Low(下) |
|
High(上) |
ドル/円 |
77.90 |
~ |
79.20 |
ユーロ/ドル |
1.2840 |
~ |
1.3170 |
ユーロ/円 |
100.90 |
~ |
103.80 |
ポンド/円 |
125.30 |
~ |
128.40 |
豪ドル/円 |
77.90 |
~ |
81.30 |
NZドル/円 |
63.20 |
~ |
65.50 |
南アランド/円 |
8.30 |
~ |
9.20 |
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■注目イベント 10/8(月) ・ 14:45 スイス 9月 失業率 ・ 15:00 ドイツ 8月 経常収支 ・ 15:00 ドイツ 8月 貿易収支 ・ 16:15 スイス 9月 消費者物価指数(CPI) ・ 19:00 ドイツ 8月 鉱工業生産 10/9(火) ・ 08:01 英国 9月 英小売連合(BRC)小売売上高調査 ・ 08:01 英国 9月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 ・ 08:50 日本 8月 国際収支・経常収支 ・ 08:50 日本 8月 国際収支・貿易収支 ・ 09:30 豪 9月 NAB企業景況感指数 ・ 14:00 日本 9月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI ・ 14:00 日本 金融経済月報(基本的見解) ・ 15:45 フランス 8月 財政収支 ・ 15:45 フランス 8月 貿易収支 ・ 17:30 英国 8月 鉱工業生産指数 ・ 17:30 英国 8月 製造業生産指数 ・ 17:30 英国 8月 貿易収支 ・ 21:15 カナダ 9月 住宅着工件数 10/10(水) ・ 15:45 フランス 8月 鉱工業生産指数 ・ 20:00 米国 MBA住宅ローン申請指数 ・ 23:00 米国 8月 卸売在庫 ・ 03:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック) 10/11(木) ・ 08:50 日本 8月 機械受注 ・ 09:30 豪 9月 新規雇用者数 ・ 09:30 豪 9月 失業率 ・ 14:00 日本 9月 消費者態度指数・一般世帯 ・ 15:00 ドイツ 9月 消費者物価指数(CPI)改定値 ・ 15:45 フランス 9月 消費者物価指数(CPI) ・ 17:00 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)月報 ・ 21:30 カナダ 8月 新築住宅価格指数 ・ 21:30 カナダ 8月 貿易収支 ・ 21:30 米国 9月 輸入物価指数 ・ 21:30 米国 9月 輸出物価指数 ・ 21:30 米国 8月 貿易収支 ・ 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 ・ 03:00 米国 9月 月次財政収支 10/12(金) ・ 08:50 日本 9月 マネーストックM2 ・ 08:50 日本 8月 第三次産業活動指数 ・ 08:50 日本 9月 国内企業物価指数 ・ 15:45 フランス 8月 経常収支 ・ 18:00 ユーロ圏 8月 鉱工業生産 ・ 21:30 米国 9月 卸売物価指数(PPI) ・ 21:30 米国 9月 卸売物価指数(PPIコア指数) ・ 22:55 米国 10月 ミシガン大学消費者態度指数速報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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