4/1 今週の見通し-やはり日銀の追加緩和に注目-

【全体】
今週は日欧を含め、英、豪と金融政策の発表があり、経済指標の発表などイベントの多い週となります。また、北朝鮮が韓国との関係を「戦時状況に入り、すべての問題は戦時に準じて処理される」と30日に特別声明を発表するなど偶発による戦闘状態へのリスクも高まってきています。金融政策では黒田新体制となった日銀の緩和内容に関心が集まっていることから、会合後の海外勢の動きに注目となります。一方、欧州はキプロスが落ち着きを取り戻しているものの、イタリアへの懸念が出てきています。

【ドル/円】
FXChart|USDJPY

(c)UH standard chart

日銀の金融政策決定会合では、28日の参議院財政金融委員会で「市場の期待を裏切らないよう実際に大胆な金融緩和をしていくことが大事だ」と述べていることで、日銀はETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)などのリスク資産の購入検討に入ったと報じられています。また、甘利経済財政相は日銀の金融政策会合への出席意向を示していることで、これまで市場で予測されている満期が３年以内の長期国債のみを買い入れている基金を解消し、超長期債を含むすべての年限の国債を買い入れている輪番オペと統合する方針を示す内容から、更に踏み込んだ内容が決定されるとの期待が高まれば、週前半は円売りが進む可能性が高くなると思います。また、週末に発表されたミシガン大消費者信頼感指数が上方修正されたことで、1日に発表される米供給管理協会(ISM)製造業景気指数などが市場予想を上回ってくるようであれば、95円台後半から96円台前半まで上昇する可能性も出てきます。一方、5日に発表される米国の雇用統計は前月が23.6万人増加と強い内容となったことから、下方修正や前月の反動の可能性もあり、ドルの上値を抑える可能性があります。チャートでは93.50-80円に位置している一目均衡表(日足)の基準線、一目均衡表(週足)の転換線がサポートとなっている一方で、月足のストキャスティクススローはデッドクロスしました。このため、サポートが切れてしまうと、92円台前半まで調整が続く可能性が出てきそうです。

【ユーロ】

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ユーロはキプロスがトロイカと暫定合意したことやキプロスがユーロ圏から離脱しないとアナスタシアディス・キプロス大統領が発言していることで、足元のリスクは後退したとみられます。連立政権樹立に失敗したイタリアではナポリターノ大統領が、「経済・社会」「政治改革」の分野ごとに有識者の諮問グループを招集し、提言を手掛かりに政権発足に向けた調整を続ける意向を示しました。これも失敗した場合には選挙実施に向けた暫定政権を樹立して、選挙に臨むことになります。市場は次のリスクがイタリアとみていることで国債入札が目標額にわずかに届かなかったこと、イタリアの格下げの噂が幾度か出たことなどから、市場はユーロ買いに慎重になっていると思われます。4日に開催されるECB理事会で懸念を和らげることができるかに注目ですが、ドラギECB総裁は前回の理事会後の記者会見で利下げの可能性がほとんどないとの発言を行っていることから、利下げ観測からのユーロ売りの可能性は低いものと思います。チャートでは、ユーロ/ドルは下降トレンド中ですが、日足ではストキャスティクススローがゴールデンクロスしていますので、1.29ドル前後までの短期的な戻りの可能性があります。ユーロ/円も下降トレンド中です。現在は一目均衡表(日足)の雲の中を推移していることから、雲の下限となる118.10-119円でサポートされる可能性がありますが、これを下抜けると月足の一目均衡表の雲の下限となる117.010円近辺がターゲットとなります。

【ポンド】

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ポンドは今週3-4日に英中銀(BOE)の金融政策委員会が開催されますが、市場の予想は据え置きとなっています。先に発表された英の10-12月期GDPでは減速がみられたものの、足元の小売などは比較的好調であることから、今回の金融政策では資産買入れプログラムの現状維持が予想されます。1-3月期のGDP速報が4/25に発表されることから、それを見ての政策判断になると思います。一方、英中銀の金融監督委員会(FPC)は英国の国内銀行の資本不足は250億ポンドで12月末までの資本増強を求めたと発表しました。ただ、キング総裁の思惑通りに銀行が融資を抑制することなく増資やバランスシートの再編で資本を増強できなければ、英国の経済に対してはマイナスとみられることから、いずれは追加緩和に踏み切らざるを得なくなるとみられます。また、フィッチが英国の格下げを4月末までには実施する見通しであることから、格下げによる一時的なポンド売りにつながることは想像に難くないと思います(既に市場には織り込まれているので、大幅な下落は想定していない)。注目は2日の製造業PMI、4日のサービス業PMIが改善するかどうかです。チャートではポンド/ドルが戻り基調ながら足元では上値が重くなってきていることで3/25の高値の1.52590ドルを超えられないようであれば、1.5050ドル近辺まで下落する可能性があります。ポンド/円はこれまで上昇のレジスタンスとなっていた一目均衡表(日足)の雲の上に出てくる可能性が高くなっています。ただ、雲が切り下げることでの上抜けとなりますので、上昇力はそれほど強いとは思えません。3/15の高値の145.864円が上値の目安となると思います。サポートは一目均衡表(日足)の雲の下限の141.049円近辺。

【豪ドル】

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豪ドルは足元ではイースター休暇明けの2日の豪準備銀行(RBA)による金融政策会合が注目されると思いますが、公表されている先月の議事録からは利下げ余地は示されているものの、利下げの可能性が低いことも示されたため、今回も政策金利は3.00%で据え置かれ、声明も前回の内容を踏襲するものと思います。ただ、豪政府・金融当局は豪ドル高を嫌気していることも事実で、豪ドルが高止まりするようだと牽制発言を行ってくることも否定できません。その他では1日の中国の製造業PMI、3日の貿易収支、4日の小売売上高などの経済指標の改善が示されれば、対円で100円を超えてくるものと思います。一方、与党の政治基盤が弱いことから、5日の予算案後の与野党の攻防によっては9月の総選挙で政権の交代の可能性も出てくることから、豪ドルが弱含みとなる可能性もあります。また、2月の新規雇用者数が71,500人の大幅な増加となったことは統計サンプルの入れ替えに伴う可能性もが指摘され、ケント豪準備銀行(RBA)総裁補も否定しなかったことで、今月発表される新規雇用者数には市場が関心を持っていると思います。発表は11日となりますが、雇用の数字が下振れするようだと豪には再び利下げ観測が出てくると思いますので、豪ドルの下落につながりやすくなります。チャートでは豪ドル/米ドルが一目均衡表(週足)の転換線、基準線でサポートされています。足元では一目均衡表(日足)の雲の上限がサポートとなっていますので、3/26の高値の1.4952ドルを上抜ければ1/10の高値の1.05965ドルを試しに行く可能性があります。豪ドル/円は99円台まで上昇するものの、2008年8月以来の100円を前に重くなっています。週足が陰線、月足が上に髭の長い陽線となったことで、足元調整の可能性もありますが、調整が2/5の高値の97.427円近辺で留まれば100円乗せの可能性も高まります。

■今週の予想レンジ

Ccy	Low(下) ～ High(上)
ドル/円	92.9 ～ 96.1
ユーロ/ドル	1.268 ～ 1.303
ユーロ/円	118.8 ～ 123.2
ポンド/円	140.2 ～ 145.6
豪ドル/円	97.4 ～ 99.9
NZドル/円	77.5 ～ 80.2
南アランド/円	9.9 ～ 10.4