12/16 今週の見通し-クリスマス前のポジション調整に警戒も円売りか-
2012/12/16
【全体】 本邦の選挙速報では自民党が過半数を獲得する勢いです。先週の米FOMCでは2015年半ばまでの時間軸が数値目標に変更されたものの、現時点での時間軸の変更には至っていません。また、欧州の債務危機への懸念が後退したことなどから市場はリスクをとるセンチメントが継続していると思わることで、ドルと円が売られやすい展開が続くものと思われます。その一方で週後半は欧米でクリスマスを前に市場の参加者が減少してくると見られますので、市場の流動性の低下と溜まっている日本円のショートポジション、豪ドルのロングポジションが解消されるリスクがあります。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円は先週に83円台に乗せ、週末には84円手前まで上昇しました。チャートでは一目均衡表(週足)三役好転(転換線が基準線を上抜ける、ローソク足が雲を上抜ける、遅行線がローソク足を上抜ける)の状態が継続していることから、3/15の高値の84.170円が依然として足ものターゲットとなります。本日(16日)は本邦の総選挙です。事前の放送では自公で300議席以上(自民党で単独過半数)との報道が多い中で、市場はある程度自民党の圧勝を織り込んでいると見られます。このため、足元での材料出尽くしによるポジション調整が出やすい環境がある一方で、今週19-20日に行われる日銀の金融政策決定会合では、週末の日銀短観を受けて10兆円規模の基金の増額が予想されていることから、週前半の円売りが継続する可能性が高い一方で、短期ショート勢のポジション解消の動きがいつ出始めてもおかしくない時期に差し掛かっていることから、年初来高値の84.17円を試した後はドル/円の上値は重くなるものと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロ/円は一目均衡表(週足)の雲の上に抜け出て、遅行線も雲の中に入ってきました。足元では3/21の高値の111.416円がターゲットとなりますが、これを上抜けると2009/1/19の安値の112.050円が次の目標となります。ユーロ圏ではECBによる利下げ期待が伴うものの、にわかに高まったイタリアの政局にベルルスコーニ元イタリア首相が出馬しないことを表明したこと、モンティ現首相が混乱回避に責任を持つと発表したことに加え、発表された12月の独ZEW景況感調査が市場予想から大幅な上振れを示したことでユーロが大幅な上昇につながりました。今週は19日に独IFO景気動向指数の発表が予定されていることから、こちらも改善を示すようであればECBによる利下げ観測が後退する可能性が高いことでユーロ買いにつながる可能性が高まります。シカゴの通貨ポジションではユーロショートの持ち高が約3万コントラクトとかなり減少していることで、ユーロ圏の景況感の回復が進めば、ショートポジションの解消となり、2011年8月以来のロングへと転換する可能性も出てきました。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンド/円は先週発表された失業保険申請件数が市場予想に反して3,000人の減少となり、雇用の改善がみられました。また、ユーロ圏の債務危機への懸念が後退したことなどで3/21の高値の133.463円を上抜け週末には135.388円まで年初来高値を更新しました。その一方では、S&Pが2015年の英国の一般債務がGDP比で上昇すると見通しから「AAA」の格付けは維持したものの、見通しは「ネガティブ」へ変更されました(既にムーディーズ、フィッチは「ネガティブ」へ変更していたことから影響は一時的にとどまっています)。今週は消費者物価指数、英金融政策委員会議事録、7-9月期GDP確定値が発表されるものの、材料にはなりにくいと見られ、市場のリスク・オンのマインドが続けばポンドが買われる流れが継続するものと思います。チャート上ではストキャスティクススロー(9,3,3)が90を超えていて買われすぎの水準となっていることが懸念材料となりますが、トレンドは上向きとなっていることで2012/4/8の高値となる140.010円が視野に入っていると思われます。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドル/円は発表された中国の貿易収支は悪化していたものの、鉱工業生産や小売売上高が良かったことで中国の指標はミックスとなりました。ただし、上海総合株価指数などが週後半に上昇したことで、3/19の高値の88.628円に迫る88.525円まで上昇しました。今週は豪準備銀行(RBA)の議事録が公表されます。今月の金融政策では政策金利を0.25%引き下げ、声明ではインフレ水準が3%を一時的に上回るとしながらも中期的な目標に沿ったものとも見方をしています。声明以外では特に材料がないことから本邦の選挙結果を受けての円安が進めば年初来高値を上抜けていくものと思います。ただ、豪政府は豪ドル高を懸念していることから、けん制発言などが出てくる可能性があります。チャート上も年初来高値は射程圏内にあり、2011/4/11の高値の90.010円が意識されるものと思います。ただ、ストキャスティクススロー(9,3,3)ではダイバージェンス(レートは上昇しているのに対して、ストキャスティクスは低下さ日ている)となる可能性があることから注意が必要です。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
82.8 ~ 85.5 |
ユーロ/ドル |
1.303 ~ 1.341 |
ユーロ/円 |
107.9 ~ 111.4 |
ポンド/円 |
132.9 ~ 137.6 |
豪ドル/円 |
86.4 ~ 90.1 |
NZドル/円 |
69.1 ~ 73.2 |
南アランド/円 |
9.3 ~ 9.85 |
■注目イベント 12/17(月) 09:01 英国 12月 ライトムーブ住宅価格 19:00 ユーロ圏 10月 貿易収支 22:30 カナダ 10月 対カナダ証券投資額 22:30 米国 12月 NY連銀製造業景気指数 23:00 米国 10月 対米証券投資(短期債除く) 12/18(火) 09:00 NZ 12月 NBNZ企業信頼感 09:30 豪 豪準備銀行(RBA)議事要旨公表 18:30 英国 11月 卸売物価指数(食品、エネルギー除) 18:30 英国 11月 消費者物価指数(CPI) 18:30 英国 11月 小売物価指数(RPI) 22:30 米国 7-9月期 四半期経常収支 00:00 米国 12月 NAHB住宅市場指数 12/19(水) 06:45 NZ 7-9月期 四半期経常収支 08:50 日本 11月 貿易統計(通関ベース) 13:30 日本 10月 全産業活動指数 14:00 日本 10月 景気一致指数(CI)改定値 14:00 日本 10月 景気先行指数(CI)改定値 18:00 ユーロ圏 10月 経常収支 18:00 ドイツ 12月 IFO企業景況感指数 18:30 英国 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨 19:00 ユーロ圏 10月 建設支出 21:00 米国 MBA住宅ローン申請指数 22:30 カナダ 10月 卸売売上高 22:30 米国 11月 住宅着工件数 22:30 米国 11月 建設許可件数 12/20(木) 06:45 NZ 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) 00:00 日本 日銀金融政策決定会合 16:00 ドイツ 11月 生産者物価指数(PPI) 16:00 スイス 11月 貿易収支 18:30 英国 11月 小売売上高指数 22:30 カナダ 10月 小売売上高 22:30 米国 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP)確定値 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 ユーロ圏 12月 消費者信頼感(速報値) 00:00 米国 12月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 00:00 米国 11月 中古住宅販売件数 00:00 米国 10月 住宅価格指数 00:00 米国 11月 景気先行指標総合指数 12/21(金) 09:01 英国 12月 GFK消費者信頼感調査 14:00 日本 金融経済月報(基本的見解) 16:00 ドイツ 1月 GFK消費者信頼感調査 16:00 ドイツ 11月 輸入物価指数 16:45 フランス 12月 企業景況感指数 18:30 英国 7-9月期 四半期国内総生産(GDP)確定値 18:30 英国 7-9月期 四半期経常収支 22:30 カナダ 10月 月次国内総生産(GDP) 22:30 カナダ 11月 消費者物価指数(CPI) 22:30 米国 11月 個人所得 22:30 米国 11月 耐久財受注 23:55 米国 12月 ミシガン大学消費者態度指数確報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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