1/6 今週の見通し-ドル買いとなるか米長期金利の動向に注目-
2013/01/06
【全体】 欧米のクリスマス休暇が終わり、米国の財政の崖についても1月1日未明に上院で、1日深夜には下院で年収45万ドル未満の世帯を対象に無期限の延長と緊急的な失業保険給付も延長が決定、歳出削減については発動時期の2カ月延期が可決しました。これを受けて市場には楽観的な見方が広がったことや12月に開催された米FOMC議事録で「複数の委員は2013年末より相当前に買い入れペースを緩めるか、停止することが恐らく適当と考えた」との内容が含まれていたことから米10年債利回りが1.95%を超えたことなどからドル買いとなりました。週末発表された米国の雇用統計では雇用の回復は見られるものの、失業率、非農業部門雇用者数のいずれも市場予想の範囲を超えるものではないとの見方で、FEDが早期に緩和姿勢をかえる内容ではないとの見方に戻っているようです。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
本邦勢が参入した1月4日(金)は2010年7月以来の88円を回復、昨年9月の77円台から押し目らしい押し目もなくほぼ一本調子で上昇しています。週足のストキャスティクススローでは%D、スロー%Dともに90を超えていて、いつ調整が起こってもおかくしくないことを示していますし、週足のMACDでもシグナルとの差がが0.95と昨年3月の高値のときとほぼ同じ水準まで乖離しています。トレンド系では週足の一目均衡表は強い上昇を示していますので、調整後は上昇継続となる思います。調整めどは2011年4月の高値の85.520円となります。今週は週前半には目立った材料がないことから、11日の日本の国際収支での貿易収支と、米国の貿易収支が注目されるものと思います。本邦の貿易赤字の増加が示されれば実需面からのドル売り圧力も減少することになるため、足元では90円を目指していくものと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロ/円とユーロドルは反対の動きとなりました。米FOMC議事録を受けてドル買いとなったことで、ユーロ/ドルは足元での週足の一目均衡表の雲の上抜けを失敗し、ストキャスティクススローはデッドクロスしています。一方で、ユーロ/円は週足のMACDが2.97まで上昇していることで、調整のリスクが伴いますが、調整めどは2012年3月の高値の111.416円近辺と思います。今週はユーロ圏では8日(火)のドイツ貿易収支、ユーロ圏小売売上高、ユーロ圏失業率、ドイツ製造業新規受注、9日のドイツ鉱工業生産、10日のECB理事会と多数の予定があります。ECB理事会では政策金利、ドラギ総裁の会見内容ともに変化はないと見られますので、週前半で発表される経済指標の良しあしに左右されると思いますが、ユーロ/円は底堅く推移することが予想されます。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドは先週も書きましたが、クリスマス商戦が好調だったこともあり、百貨店などは増収増益となっているようです。2日に発表された英製造業PMIも51.4と景気の分岐の50を回復しました。ただ、週末に発表されたサービス業PMIは48.9と逆に50を割り込んでしまいました。このため、ポンド/ドルは週中で1.63805ドルまで高値を更新したものの、週の引け値では週足の一目均衡表の転換線を割り込んでいます。週足のストキャスティクスもデッドクロスしていることで、1.59ドル割れまでの調整の可能性があります。ポンド/円は2011年4月の高値を上抜ける142.744円まで上昇しています。週足のストキャスティクススローは%Dとスロー%Dがともに90を超えていることなどで調整の可能性はあるものの、調整めども前出の4月の高値の140.010円近辺と思われ、2010年4月の高値の145.940円近辺を目指すものと思います。今週は9日(水)の11月貿易収支、10日(木)の英中銀金融政策委員会、11日(金)の鉱工業生産の発表が予定されていますが、金融政策には変化が見られないと思いますので、ポンド/円は底堅く推移するものと思います。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドル/米ドルが三角保合いで推移し、保合いの上抜けを試そうとしています。失敗した場合には保合いの下限の1.0070ドル近辺まで下落する可能性があります。一方、豪ドル/円は高値を92.474円まで伸ばしました。円売りの傾向と米国や欧州のリスクの後退から豪ドルへの資金が流入したものと思います。豪では8日(火)に貿易収支、9日(水)は小売売上高、10日(木)には住宅建設許可と比較的注目度の高い経済指標が発表されます。貿易収支は小幅ではあるものの赤字の拡大予想であることから、他の経済指標も悪化していた場合は豪ドルの調整が出る可能性があります。調整めどは豪ドル/円で2011年4月の高値の90.010円近辺と思われます。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
84.2 ~ 91.7 |
ユーロ/ドル |
1.283 ~ 1.33 |
ユーロ/円 |
111.4 ~ 117.7 |
ポンド/円 |
140 ~ 145.9 |
豪ドル/円 |
88.3 ~ 94 |
NZドル/円 |
69.7 ~ 75 |
南アランド/円 |
10.1 ~ 10.55 |
■注目イベント 1/7(月) 08:50 日本 12月 マネタリーベース 19:00 ユーロ圏 11月 卸売物価指数(PPI) 00:00 カナダ 12月 Ivey購買部協会指数 1/8(火) 09:01 英国 12月 英小売連合(BRC)小売売上高調査 09:30 豪 11月 貿易収支 15:45 スイス 12月 失業率 16:00 ドイツ 11月 経常収支 16:00 ドイツ 11月 貿易収支 16:45 フランス 11月 貿易収支 19:00 ユーロ圏 12月 消費者信頼感(確定値) 19:00 ユーロ圏 11月 小売売上高 19:00 ユーロ圏 11月 失業率 20:00 ドイツ 11月 製造業新規受注 05:00 米国 11月 消費者信用残高 1/9(水) 06:45 NZ 11月 住宅建設許可件数 09:30 豪 11月 小売売上高 18:30 英国 11月 貿易収支 20:00 ドイツ 11月 鉱工業生産 22:15 カナダ 12月 住宅着工件数 1/10(木) 06:45 NZ 11月 貿易収支 09:30 豪 12月 住宅建設許可件数 14:00 日本 11月 景気先行指数(CI)速報値 14:00 日本 11月 景気一致指数(CI)速報値 16:45 フランス 11月 鉱工業生産指数 16:45 フランス 12月 消費者物価指数(CPI) 21:00 英国 イングランド銀行(BOE)金利発表 21:45 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)政策金利 22:30 カナダ 11月 新築住宅価格指数 22:30 カナダ 11月 住宅建設許可件数 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 米国 11月 卸売在庫 1/11(金) 08:50 日本 11月 国際収支・経常収支 08:50 日本 11月 国際収支・貿易収支 14:00 日本 12月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 16:45 フランス 11月 財政収支 16:45 フランス 11月 経常収支 17:15 スイス 12月 消費者物価指数(CPI) 18:30 英国 11月 鉱工業生産指数 18:30 英国 11月 製造業生産指数 22:30 カナダ 11月 貿易収支 22:30 米国 12月 輸入物価指数 22:30 米国 12月 輸出物価指数 22:30 米国 11月 貿易収支 04:00 米国 12月 月次財政収支 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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