10/22 週の見通し -リスク・オフ先行か-
2012/10/21
【全体】 週後半の株価下落からのリスク・オフ局面でも、今回は円買いにあまり反応していません。これは海外勢を中心に30日の日銀の金融政策決定会合での日本の追加緩和への期待が継続しているものと見られます。今週は26日(金)に本邦の全国消費者物価指数、東京都区部の消費者物価指数の発表が予定されているため、物価が引き続き抑えられているようであれば、この期待感から円が弱含みの状態が続くものと思います。一方で、米大統領選挙後まではユーロ圏でも新たな動きは出ないとみられることから、米国のFOMCは決め手に欠け、7-9月GDP速報値までは材料が乏しいことから、各通貨ともレンジの動きになるのではないかと思われます。ただ、週初はリスク・オフからクロス円は弱含みでの推移となると思います。
【ドル/円】
![USDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=102112jpy)
(c)UH standard chart
ドル/円は一目均衡表(週足)の雲の下限となる80.001円が焦点となってきました。週足の基準線が79.406円に位置していることで、週末はここで押さえられた形となっています。ただ、週足のMACDはゴールデンクロスをしています。日銀への追加緩和期待が海外勢を中心に継続していることで、円のネガティブ材料に反応しやすい状況ですので、22日(月)の通関ベースの貿易収支、26日(金)の消費者物価指数には注目が集まるものと思います。市場には79円台後半から80円にかけて売りオーダーがあるといわれているため、これをこなせず、週足雲で上値を押さえられた場合には10/11の安値の77.943円との間でのレンジの動きとなると思います。
【ユーロ】 ![EURJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=102112eur)
(c)UH standard chart
ユーロ/円は10/18に104.120円まで上昇したことで、7/24の安値の94.111円をつけてからの上昇トレンドが継続しています。ただ、ストキャスティクススロー(9,3,3)でゴールデンクロスしましたので、足元の調整には注意が必要となります。18-19日のEUサミットでは、焦点となっていたユーロ圏の銀行監督をECBに一元化することについて2013年1月から段階的に進めることで合意し、財政・金融統合に向けて前進しました。しかし、具体的な内容については意見の違いもあり、実現に向けては紆余曲折も予想されるため、一方的に楽観的になることはできないと思います。また、足元ではギリシャやスペインの問題についてほとんど話し合われていないことから、スペインの支援要請を巡ってはリスクが残ったことになります。本日21日はスペインのガリシア自治州(ラホイ首相の出身地)、バスク自治州の州選挙が予定されているため、ガリシア州でラホイ首相の率いる国民党(PP)が議席を大幅に減らすようだと、支援要請が遅れる可能性も出てくるため、ユーロのネガティブな材料となると思います。この他には24日(火)の独IFO景気動向指数、ユーロ圏製造業、サービス業PMI速報値が悪化を示した場合には、ユーロが下落する可能性があります。
【ポンド】 ![GBPJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=102112gbp)
(c)UH standard chart
ポンド/円は一目均衡表(週足)でみると雲の中を推移しています。雲の厚みがないことから上下どちらにも抜け出る可能性がありますが、遅行線も雲の中を推移していて、しばらくはレンジの動きが続きそうです。とはいうものの、日足でみると9/19の高値の128.824円を10/18には超えられなかったこと、ストキャスティクススロー(9,3,3)ではデッドクロスしていることで、足元での調整が出やすいことを示していると思います。先週公表された英中銀(BOE)金融政策委員会議事録では、9対0の全会一致で政策金利、資産買い入れプログラムの額が据え置きと決定されたものの、今月で終了する資産買い入れの継続について消極的な発言が委員からなされた場合には、ポンドは上昇すると見られます。資産買い入れ継続に消極的とみられるのはディール理事、ブロードベンド委員、ウィール委員。一方、25日(木)には7-9月期のGDP速報値が発表されます。8月のオリンピック、パラリンピック効果でプラス成長が予想されていますので、予想以上の成長となった場合には、ポンドがレンジから上抜けするものと思います。
【豪ドル】 ![AUDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=102112aud)
(c)UH standard chart
豪ドル/円は10/8の安値が一目均衡表(週足)の基準線にサポートされ雲の中に入ってきました。その一方で、8/24の高値のが83.562円、9/14の高値が83.070円、10/18の高値(暫定)が82.509円と上値を切り下げてきていること、日足のストキャスティクススロー(9,3,3)ではデッドクロスとなっていることから短期的な調整がでやすことを示しています(ただし、週足のストキャスティクススローではゴールデンクロスしています)。24日(火)に7-9月期の消費者物価指数の発表が予定されていること、市場予想では前期で1.0%、前年比で1.6%となっているため、予想通りであれば11月の利下げの可能性は遠のくと思われ、豪ドルが買われるものと思います(豪準備銀行(RBA)がこれを見越して今月に早めの利下げをしたのかもしれません)。その他には主な経済指標がないことから、週前半はリスク・オフの動きで調整色が強くなり、消費者物価指数が期待外れの場合には下落に転じるものと思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
78.2 ~ 81 |
ユーロ/ドル |
1.283 ~ 1.318 |
ユーロ/円 |
101.8 ~ 105.1 |
ポンド/円 |
124.8 ~ 128.9 |
豪ドル/円 |
80.3 ~ 83 |
NZドル/円 |
63.3 ~ 65.9 |
南アランド/円 |
8.8 ~ 9.4 |
■注目イベント 10/22(月) 08:50 日本 9月 貿易統計(通関ベース) 10/23(火) 15:45 フランス 10月 企業景況感指数 21:30 カナダ 8月 小売売上高 22:00 カナダ カナダ銀行(BOC)政策金利 23:00 米国 10月 リッチモンド連銀製造業指数 23:00 ユーロ圏 10月 消費者信頼感(速報値) 10/24(水) 09:30 豪 7-9月期 四半期消費者物価(CPI) 17:00 南ア 9月 消費者物価指数(CPI) 17:00 ドイツ 10月 IFO企業景況感指数 17:00 ユーロ圏 10月 製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値 17:00 ユーロ圏 10月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値 23:00 米国 9月 新築住宅販売件数 23:00 米国 8月 住宅価格指数 03:15 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後政策金利発表 05:00 NZ 準備銀行(RBNZ)政策金利 10/25(木) 08:50 日本 9月 企業向けサービス価格指数 17:00 ユーロ圏 9月 マネーサプライM3 17:30 英国 7-9月期 四半期国内総生産(GDP)速報値 18:30 南ア 9月 卸売物価指数(PPI) 21:30 米国 9月 耐久財受注 21:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 23:00 米国 9月 住宅販売保留指数 10/26(金) 06:45 NZ 9月 貿易収支 08:30 日本 9月 全国消費者物価指数(CPI) 08:30 日本 9月 全国消費者物価指数(生鮮食料品除く) 08:30 日本 10月 東京都区部消費者物価指数(生鮮食料品除く) 09:00 NZ 10月 NBNZ企業信頼感 15:00 ドイツ 11月 GFK消費者信頼感調査 15:00 ドイツ 9月 輸入物価指数 15:45 フランス 10月 消費者信頼感指数 16:00 スイス 10月 KOF景気先行指数 21:30 米国 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP)速報値 22:55 米国 10月 ミシガン大学消費者態度指数確報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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