3/3 今週の見通し-豪、英、ユーロ、日本の金融政策会合に注目-
2013/03/03
【全体】
米国の歳出強制削減はオバマ米大統領と米議会(野党)との協議が決裂したことで1日に発動されました。ただ、長期化すれば米国や世界の経済へ与える影響が大きいとの見方が強いことから、与野党は引き続き打開策を協議することから、2013会計年度(2012年10月~2013年9月)の暫定予算の期限が切れる今月27日までには合意に至るものと思われます。暫定予算の期限切れれば連邦政府の一部機関が閉鎖される可能性があります。また、4月15日には2014会計年度の大枠の予算を決める議決があり、これも滞るようだと、米国債のデフォルトなどの可能性が高まりことになります。足元では楽観的な見通しが強いことで為替市場でも材料視されていませんが、協議の進捗状況によっては、イタリアに不安を抱えていることで、リスク回避の円買いにつながってくると思います。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
今週は日銀の黒田東彦総裁候補の衆院議院運営委員会での所信聴取が4日、岩田規久男副総裁、中曽宏副総裁の所信聴取が5日に予定されています。黒田、岩田両氏はリフレ派であることから、日銀による積極的な金融緩和に言及すると思われますが、中曽氏の発言に注目が集まるものと思います。日銀の正副総裁の同意が国会ですんなり決まるようであれば、円が売られやすい状況が継続すると思います。週末に発表された米国のISMなど景況感はよくなっていることで、今週末に発表される米国の雇用統計にも期待が出ていると思われるため、ドル買いによるドルの上昇の可能性も高く、ドル/円は2/25につけた高値の94.532円を試しに行くと思われます。一方、6-7日に予定されている日銀の金融政策決定会合では、現状の金融政策が維持される可能性が高く、ドル/円相場への影響は限定的とみています。チャートでも一目均衡表(週足)では、転換線がサポートとなり、下に長いひげをつけていますので、上昇トレンドとが継続しているとみられます。ただ、年初来高値(94.532円)を超えられないようであれば調整が継続することになりそうです。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロはイタリアで最大議席を獲得した中道左派が連立政権の樹立を模索しているようですが、中道右派や五つ星運動との間での連立が難しく、上院での過半数を確保することは困難な見通しです。週末に発表されたユーロ圏の失業率が11.9%と高い水準が続いていることや2月の消費者物価指数が1.8%へ低下していることから、7日のECB理事会やドラギECB総裁の記者会見で利下げを示唆するような内容が含まれることへの期待感が出ているものと思います。また、クノット・オランダ中銀総裁が「オランダは2014年に歳出削減を行う必要がある」との内容の発言を行っていることから、先に噂が出ていていたオランダの格下げについても、リスクがあることから、ユーロは下を試す可能性が高いのではないかと思います。ユーロ/ドルのチャートでは、一目均衡表(日足)では雲の下、一目均衡表(週足)では雲の上から中、基準線を下抜けしてどちらも下落が継続しそうなことを示しています。チャート上では昨年11/13の安値の1.36583ドル近辺がサポートとなるとみられます。一方、ユーロ/円は一目均衡表(日足)の雲がサポートとなっていますが、転換線がレジスタンスとなっています。これを超えられるようであれば、イタリアの選挙を受けて下落した前の水準の124円~125円近辺まで戻る可能性が出てきます。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンドはユーロへの懸念から避難通貨として買われた場面も見られましたが、週末には製造業PMIが景気の分岐となる50を割り込んで47.9へと悪化していたことで、キング中銀総裁ら3人が前回の金融政策委員会で主張した資産買入れプログラムを6-7日の英中銀金融政策委員会(MPC)で増額する可能性が高くなってきました。英経済が急速に悪化しているとの見方もあり、7月に中銀総裁に就任予定のカーニー現カナダ中銀総裁も緩和的な金融政策を継続するとみられることから、ポンドの下落は継続するのではないかと思います。チャートでもポンド/ドルは1.50ドルを一時下抜けてしていることから、2010年5月の安値の1.42260ドルと2011年4月の高値の1.67450ドルを100%としたフィボナッチ76.4%押しの1.4818ドル近辺まで下落する可能性があります。ポンド/円は2/7の高値の147.959円から約10円下落し、一目均衡表(日足)の雲の中を推移しています。週足では一目均衡表(週足)の転換線の142.902円近辺がレジスタンスとみられることで、ここを上に抜けることができなれば132円近辺までの下落となる可能性があります。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドルは週末に発表された中国の製造業PMIが50.1、HSBC製造業PMIが50.4といずれも50は上回っているものの、前回からは低下していることで、再び中国の景気減速への懸念が出てきています。5日の豪準備銀行(RBA)の金融政策会合では3.0%のまま据え置かれると思いますが、声明で利下げの可能性があることが示唆された場合には、豪ドルが売られる可能性があります。また、月初になり、豪の経済指標の発表が相次ぐことから、特に6日の10-12月期GDPと7日の貿易収支、8日の中国貿易収支が悪化しているようだと豪ドルの下落の可能性高くなります。チャートでも豪ドル/米ドルは下降トレンドが継続し、一目均衡表(週足)の雲の上から中に入ってきています。雲の下限が1.01210ドルにあることから、これを下抜けるとパリティ(1豪ドル=1ドル)まで下落する可能性が高まります。豪ドル/円は一目均衡表(週足)の転換線でサポートされています。日足でも一目均衡表(日足)の転換線、基準線を上に抜けたことで、ここが週明けもサポートになるかが注目です。戻りにつながるようであれば、2/5の高値の97.427円を目指していくものと思います。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
91.3 ~ 94.9 |
ユーロ/ドル |
1.286 ~ 1.329 |
ユーロ/円 |
118.9 ~ 123.9 |
ポンド/円 |
137.9 ~ 141.7 |
豪ドル/円 |
93.1 ~ 96.6 |
NZドル/円 |
75.3 ~ 78.1 |
南アランド/円 |
10.1 ~ 10.5 |
■注目イベント 3/5(火) 09:30 豪 1月 小売売上高 12:30 豪 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 19:00 ユーロ圏 1月 小売売上高 00:00 米国 2月 ISM非製造業景況指数(総合) 3/6(水) 09:30 豪 10-12月期 四半期国内総生産(GDP) 22:15 米国 2月 ADP雇用統計 3/7(木) 00:00 日本 日銀金融政策決定会合 21:00 英国 イングランド銀行(BOE)金利発表 21:45 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)政策金利 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 3/8(金) 08:50 日本 10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP)改定値 08:50 日本 1月 国際収支貿易収支 00:00 中国 2月 貿易収支(米ドル) 22:30 米国 2月 非農業部門雇用者数変化 22:30 米国 2月 失業率 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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