11/25 週の見通し-ユーロ圏にリスク残る-
2012/11/25
【全体】 11月も最終週となりました。ファンドなどの決算やチャート上では一部買われすぎと見られる通貨もあることから、ギリシャやスペイン、米国の財政の崖などのリスクが顕在化した場合には足元で、ポジションの調整から円の買い戻しの動きが出るかもしれませんが、月末の本邦消費者物価指数の結果によっては日銀による12月の会合での追加緩和期待も高まることから、円が売られやすい地合いは続くものと思います。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円は21日移動平均線からの乖離率が22日には+2.75%まで上昇し、短期的にはやや行き過ぎの感がでてきました。翌23日も小幅ながら続落となったことで、ストキャスティクス(9,3,3)でもデッドクロスしています。このため、短期的な調整の可能性があり、一目均衡表(日足)の転換線と基準線近辺の81円あたりか、11/2の高値の80.672円近辺まで下落してくる可能性があります。今週は30日に全国消費者物価指数、東京都区部物価指数の発表が予定されていることで、消費者物価指数が低下を続けている状況が改善されていない場合には、政権奪取をもくろむ自民党から日銀に向けて強硬な発言などが出て追加緩和に圧力がかかるものとみられることから、ドル/円の底堅い動きと、年初来高値の84.170円を試す動きが出てくるものと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロは週末にIMFがギリシャの2020年債務の対GDP比124%を受け入れたの報道が流れていることで、26日(月)のユーロ圏財務相会合でのギリシャ融資が実施されるとの思惑からユーロが買われているため、ギリシャ融資が決定されても更にユーロが上昇する可能性は小さく、むしろ、同会合で合意に至らないリスクのほうが大きいと思います。また、本日25日に前倒しで行われるカタルーニャ自治州の選挙結果で同州が独立路線をとることになった場合には、スペインのリスクの高まりからユーロが売られることになる可能性があります。チャート上では21日移動平均線からの乖離率が+3.53%に達していること、ストキャスティクス(9,3,3)では95以上でデッドクロスしていることから、短期的には調整が入ってもおかしくないと思われます。ギリシャ融資が決定された場合、材料出尽くしからの足元の調整めどとしては、10/23の高値の104.535円近辺が挙げられます。ここまでで調整が終われば3/21の高値の111.416円近辺を試しに行く可能性は十分にあります。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンド/円もストキャスティクス(9,3,3)でデッドクロスしていて、21日移動平均線からの乖離も+2.75%と+3%の水準に近づいています。先週発表された英産業連盟(CBI)の製造業業況調査は受注残が改善を示しましたが、向こう3カ月では今年の最低水準を記録するなど、欧州の先行きが不透明な中で、ポンドの上昇が継続することはなかなか難しいと思いますが、ユーロ圏のギリシャ融資実施への期待感がポンドを押し上げる要因となっていると見られます。英国でも23日のブラックフライデー(小売業が黒字となる日)からのクリスマス商戦がスタートしていて、小売が好調となれば、2013年の景気回復期待からポンドが買われやすくなるものと思います。冒頭に書きました調整がみられた場合の目処ですが、10/25の高値の129.639円近辺ではないでしょうか。逆に足元では3/21の高値の133.463円が視野に入っています。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドル/円もストキャスティクス(9,3,3)でデッドクロスしていて、21日移動平均線からの乖離も+3.07%に達していることから足元での調整の可能性があります。トレンドは上向きであることから、調整めどとしては、11/7の高値の84.148円近辺になると思われます。先週、豪ドル関連ではIMFがCOFER(各国の外貨準備の構成通貨)のデータベースのその他分類から豪ドルとカナダドルを単独扱い(ドル、ユーロ、円、ポンドなどと同等)にすることを検討していることで、豪ドルの地位がこれまで以上に上昇する可能性も出てきました。一方、S&Pのアナリスト、カレー氏は豪の「AAA」の格付けに陰りが出ているとコメントしています。足元ではリスク・オンのセンチメントとなっていることなどから調整もそれほど深くないと考えられますが、ギリシャやスペインでのリスクも残っているため、注意が必要です。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
80.6 ~ 83.6 |
ユーロ/ドル |
1.283 ~ 1.317 |
ユーロ/円 |
105.5 ~ 107.8 |
ポンド/円 |
128.4 ~ 134.6 |
豪ドル/円 |
84.2 ~ 88.6 |
NZドル/円 |
66.6 ~ 69.1 |
南アランド/円 |
9.1 ~ 9.35 |
■注目イベント 11/26(月) 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨 21:00 ドイツ 12月 GFK消費者信頼感調査 11/27(火) 06:45 NZ 10月 貿易収支 08:50 日本 10月 企業向けサービス価格指数 16:00 ドイツ 10月 輸入物価指数 16:45 フランス 11月 消費者信頼感指数 18:30 南ア 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) 18:30 英国 7-9月期 四半期国内総生産(GDP)改定値 22:30 米国 10月 耐久財受注 23:00 米国 9月 ケース・シラー米住宅価格指数 00:00 米国 11月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 00:00 米国 11月 リッチモンド連銀製造業指数 00:00 米国 9月 住宅価格指数 00:00 米国 7-9月期 四半期住宅価格指数 11/28(水) 18:00 ユーロ圏 10月 マネーサプライM3 22:00 ドイツ 11月 消費者物価指数(CPI)速報値 00:00 米国 10月 新築住宅販売件数 04:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック) 11/29(木) 08:50 日本 10月 小売業販売額 08:50 日本 10月 大型小売店(既存店)販売額 09:00 NZ 11月 NBNZ企業信頼感 09:30 豪 7-9月期 四半期民間設備投資 15:45 スイス 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) 17:55 ドイツ 11月 失業者数 17:55 ドイツ 11月 失業率 18:30 英国 10月 消費者信用残高 18:30 南ア 10月 卸売物価指数(PPI) 19:00 ユーロ圏 11月 消費者信頼感(確定値) 22:30 カナダ 7-9月期 四半期経常収支 22:30 カナダ 10月 鉱工業製品価格 22:30 カナダ 10月 原料価格指数 22:30 米国 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP)改定値 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 00:00 米国 10月 住宅販売保留指数 11/30(金) 06:45 NZ 10月 住宅建設許可件数 08:30 日本 10月 失業率 08:30 日本 10月 有効求人倍率 08:30 日本 10月 全世帯家計調査・消費支出 08:30 日本 10月 全国消費者物価指数(CPI) 08:30 日本 11月 東京都区部消費者物価指数(CPI) 08:50 日本 10月 鉱工業生産速報値 09:01 英国 11月 GFK消費者信頼感調査 14:00 日本 10月 新設住宅着工戸数 16:00 ドイツ 10月 小売売上高指数 16:45 フランス 10月 卸売物価指数(PPI) 16:45 フランス 10月 消費支出 17:00 スイス 11月 KOF景気先行指数 17:15 スイス 7-9月期 四半期鉱工業生産 19:00 ユーロ圏 10月 失業率 19:00 ユーロ圏 11月 消費者物価指数(HICP)速報値 19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績) 21:00 南ア 10月 貿易収支 22:30 カナダ 9月 月次国内総生産(GDP) 22:30 カナダ 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) 22:30 米国 10月 個人消費支出(PCE) 22:30 米国 10月 個人所得 23:45 米国 11月 シカゴ購買部協会景気指数 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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