2/16 今週の見通し－米住宅指標下振れならドル売バイアス継続か

弱い米経済指標を受けて「FRBが緩和縮小を一時停止する可能性がある」との期待感が米国の株価の支援材料となったものの、円売りの支援にはつながらず、ドルもじり安となっています。特に12日インフレレポートを公表した英中銀(BOE)では、英国の成長見通しを引き上げたことで、ポンドが一段高となり、中国の貿易収支の上振れで豪ドルも買われた(豪雇用の悪化の影響は一時的)ことで、外部要因からもドルが弱含みとなりました。先月は米雇用の下振れ、小売売上高は上振れとなったが、今月はどちらも下振れと、天候要因だけで説明できるか不透明となっている。足許、市場にはドル売りのバイアスがかかっているようにみえますが、本音は3月の米雇用の発表を待ちたいといったところでしょう。ドル/円が101円台で下げ渋るようであれば、市場はドル/円を見限って、ボラティリティが高いポンドや3月に利上げの可能性があるNZドルなどに資金がシフトしていくと思われます。

【ドル/円】

(c)source: uedaharlow ltd.

足許では米国の経済指標が下振れしたことで、悪天候という要因が強い(と市場はみている)ものの、米国の金融緩和縮小ペースが緩くなる、もしくは、一時停止されるとの期待感でドルが弱含みとなり、週末は102円を割り込んでクローズしています。月曜日はプレジデントデーで米国市場が休場となっていることで、実質の週明けは18日となりそうです。今週は住宅関連の指標発表が多く、2月NAHB住宅価格指数(18日)、1月住宅着工件数、1月建設許可件数(19日)、1月中古住宅販売件数(22日)があります。昨年12月のFOMCでQE縮小開始が決定され、1月も縮小が継続されたことから、住宅市場が頭打ちになっている可能性があります。今月も下振れの可能性がありますが、こちらも天候要因とされれば、ドルの下落は限定的となると思われます。その他にはNY連銀製造業景気指数(18日)、消費者物価指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数(20日)が予定されていて、景気指数の悪化がみられなければ、ドル売り圧力も緩和されるものと思いますので、それほど円高は進まないものとみています。シカゴIMMの非商業ポジションからは、投機筋が円のロングを積み上げている様子は見られず、ショートのポジションが解消されているだけであるため、ショートポジション解消余地が少ないことも下値が限定的とみている要因の一つです。チャートでは、一目均衡表(日足)の雲下限、転換線、90日移動平均線が101.53円から101.70円近辺に集中しています。また、遅行線が101.38円で雲とぶつかるため、ここもサポートとみられます。ただ、これらを下抜けてしまった場合には、200日移動平均線の100.15円近辺まで下落する可能性があります。

【ユーロ】

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クーレECB理事の「マイナス金利を真剣に検討」と発言したことなどで、ユーロ/ドルは1.35ドルミドル近辺まで下落しましたが、週末にはドイツの10-12月期GDPが市場予想より上振れしたことなどで、一時1.3715ドルまで上昇しました。今週はドイツZEW景況感調査(18日)、フランス製造業・サービス業PMI、ドイツ製造業・サービス業PMI、ユーロ圏製造業・サービス業PMI(20日)の発表が予定されていて、ユーロ買いにつながるのかが注目されます。一方、同日(20日)にはフランス消費者物価指数の発表が予定されていて、前月比-0.4%とゼロを割り込む予想となっています。クーレECB理事はフランス出身であり、物価指数の低下は追加緩和に向けた発言につながりやすくなるものと思いますので、こうした発言を受けてユーロの1.37ドル台は重くなるのではないでしょうか。19日には「マイナス金利」導入に前向きなリーカネン・フィンランド連銀総裁、20日にはコンスタンシオECB副総裁の講演が予定されているため、発言には注意でしょう。ユーロ/ドルは一目均衡表(日足)の雲の下限と転換線でサポートされて反発、雲の上限の1.37004ドルを一時抜けました。雲の上限が切り下がってくるため、雲の上に抜け出ると昨年12/27高値の1.3892ドル近辺まで上昇すると思われます。ユーロ/円はドルを軸に動いているため、一目均衡表(日足)の雲の中で、かつ基準線を挟んでの動きとなっています。雲の下限の138.44円近辺ではサポートされるものと思います。レジスタンスは遅行線がロウソク足とぶつかる143円近辺。

【ポンド】

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12日に公表された英四半期インフレレポートで、2014年、2015年のGDP成長見通しを引き上げ、ILO方式の7.0%達成時期を前倒ししました。ただ、失業率を達成したとしても、英経済にはゆるみが存在しているため、物価の上昇リスクを招くことなく政策金利を0.5%に維持することができるとカーニー英中銀(BOE)総裁は発言しています。市場では2015年の早い段階で英中銀(BOE)が利上げに踏み切ると予想、マクロ系ファンドなどがポンド買いを行っているようです。ポンド/ドルは週末に2011年4月の1.6745ドルを上抜けしました。今週は消費者物価指数(18日)、失業率、失業保険申請件数(19日)が発表されます。英経済指標の上振れは利上げの前倒し期待につながるため、素直にポンド買いにつながると思います。一方、英中銀金融政策委員会(MPC)の議事録が公表されますが、コチラはインフレレポートで見通しなどが示されていることから反応は限られ、0.5%の政策金利と3750億ポンドの資産買入れプログラムは9対0で現状維持となっているとみられるため、予想通りで反応は見られないと思います。ポンド/ドルは一目均衡表(日足)の雲の上に抜け出て、1/24高値の1.66666ドルも上抜け、上にも書きましたが1.67ドル台に乗せてきました。2/5安値が1.62495ドルということで一目均衡表のV計算値では1.70837ドルが目標となります。この値は、2009年8月高値の1.70410ドルとほぼ近く、トレンドから見ると、1.7ドル方向に向かっていくとみられます。ポンド/円は一目均衡表(日足)の基準線を上抜けてきています。雲の上限が171.486円近辺に位置しているため、これを上抜けると、1/2高値の174.835円を起点としたレジスタンスラインの172.55円近辺まで上昇する可能性があります。

【豪ドル】

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先週発表された豪1月の新規雇用者数が市場予想に反して下振れ、豪ドルが一時売られる場面がみられましたが、週末には豪ドル/米ドルで0.90ドルを維持してクローズしています。今週は豪の目立った経済指標の発表はありませんが、18日に公表される豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事録が材料視される可能性があり、「豪ドルは不快なほど高い」の文言が削除されていることが好感されれば豪ドル/米ドルは0.91ドル台へ乗せてくるものと思います。その他では、中国HSBC(Markit)製造業PMI速報値が注目され、先週発表された中国貿易収支から見ると、50を回復していてもおかしくはないと思いますので、50超えとなった場合には、豪ドルの一段高につながる可能性があります。ただし、市場では中国のシャドウバンクに対する懸念が続いているため、懸念が強くなるようだと豪ドルにも影響が及ぶと思われる。豪ドル/米ドルは一目均衡表(日足)の雲の中に入ってきて、1/13高値の0.90848ドルに迫る0.90681ドルまで2/12に上昇しました。週末も雲の下限でサポートされていることや基準線を転換線が上抜いていることから、この高値を上抜けることができれば0.91662ドル近辺まで上昇していくものと思います。豪ドル/円は一目均衡表(日足)の雲の上限の93.045円で押さえられて下落、基準線の91.036円ではサポートされています。今週木曜日には雲のねじれに差し掛かるため、このレベルでもみ合いもしくは雲を試しに行く動きとなっていた場合には、雲のを上抜けして1/6高値の94.068円を目指していくものと思います。ただ、上方向へ行けなかった場合には、転換線の90.604円を下抜けして90円近辺まで下落するのではないかとみられます。

■今週の予想レンジ

Ccy	Low(下) ～ High(上)
ドル/円	100.7 ～ 102.8
ユーロ/ドル	1.355 ～ 1.386
ユーロ/円	137.6 ～ 142.1
ポンド/円	167.7 ～ 171.3
豪ドル/円	89.8 ～ 93.3
NZドル/円	83.9 ～ 86.3
南アランド/円	9 ～ 9.5