6/2 注目は米雇用統計とECB理事会

【今週の見通し】
今週は、豪・カナダ・英・欧州と金融政策の発表が予定されています。特に、欧州(ECB)は先月のドラギECB総裁の発言から追加緩和期待が高まっているため、市場の注目度も上がっています。一方、先月は月内の変動が2.5円未満に収まったドル/円は、米国の雇用統計待ちです。

ウクライナは大統領選挙が終わったものの、東部ではウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力の戦闘状態が続いているものの、ロシア軍が国境付近から撤退していることで、地政学的リスクは後退しているとみてよさそうです。ただし、解決のめどは立っていません。

1日に発表された中国製造業PMIは50.8と市場予想の50.7を僅かに上回りました。このため、週明けの東京市場はやや円売りが進むのではないかとみられます。

【 EUR/USD 】

ユーロは懸念されていたウクライナの大統領選挙は、ポロシェンコ氏が過半数を得票し、ロシアと早期に会談することを表明しましたが、ロシア側は外交ルートでの接触がないとして、これを否定しましたが、市場は材料としませんでした。ECB理事会による追加緩和期待がユーロの上値を重くし、2/13以来の1.36ドルを割り込みました。今週は、5日(木)のECB理事会での経済見通し発表と、追加緩和の内容に注目が集まります。ただ、その前に2日(月)にはドイツ5月消費者物価指数速報値、3日(火)ユーロ圏消費者物価指数速報値の発表予定されています。ドイツの生産者物価指数が市場予想より下振れしていたことで、消費者物価指数が上昇している可能性は低いのですが、予想外に上昇していた場合には、追加緩和期待が後退する可能性があり、ユーロの乱高下に繋がるかもしれません。ECBの要人は複数の選択肢があることと複数同時に実施する可能性があることを示唆していますので、市場ではレフィ・レートを0.10%～0.15%の引き下げ、デポジット・レート(預金金利)の幅を変えなければ、マイナス金利となります。更にSMPで買い入れた資金の不胎化を停止(資金を吸収しない)などの選択肢があります。黒田日銀総裁のように必要なことを一度に行った場合には、ユーロが大幅な下落につながると思います。一方、小出しに行った場合には、更なる追加緩和期待は残るものの、足許では材料出尽くしにつながり、ユーロの反発につながると思われます。

チャートでは、ストキャスティクス(スロー)が25以下でもみ合っていたものの、直近ではゴールデンクロスしています。日足の一目均衡表は「三役逆転」で下降トレンドとなっていますが、5/28安値の1.3586ドルから反発、転換線が1.3654ドルに位置しているため、これを超えられるかが足許の方向性を決めるのではないかと思います。サポートは2/3安値の1.3476ドルとみられますが、ここを下抜けると、昨年11/7安値の1.3295ドル近辺までを想定しておいたほうがいいと思います。ユーロ/円も日足の一目均衡表は「三役逆転」で下方トレンドとなっています。また、ストキャスティクス(スロー)、MACDは数日前にゴールデンクロスしたものの、再びデッドクロスしています。このため、2/4安値の136.22円から、昨年10/22高値の135.49円近辺までの下落の可能性がありそうです。

【 USD/JPY 】

先週は米1-3月期GDPが前期比年率で-1.0%と大幅に下方修正されたものの、同時に発表された新規始業保険申請件数が市場予想より良かったことなどで101円台ミドルではサポートされて、週を通して狭いレンジの動きとなりました。今週は、米供給管理協会(ISM)製造業(2日)、非製造業景況指数、ADP雇用調査、貿易収支(4日)がありますが、やはり6日(金)の米雇用統計が注目されることになります。米雇用統計の方向性を見るために2～4日の指標があるといっても過言ではありません。米雇用統計では、新規失業保険申請件数を見る限りでは、雇用回復のめどとなる非農業部門雇用者数が20万件を超えているものと思われますが、イエレン米FRB議長は、労働市場にたるみがあるとしているため、先月同様に、週あたりの賃金の伸び、労働力人口、27週以上の失業者やパートタイマーの比率が注目されると思われ、ヘッドライン発表後の動きも注意が必要となります。雇用の内容が伴えば、米長期金利の低下が止まり、上昇に向かうことが予想され、ドルが上昇しやすくなると思います。また、ECB理事会で追加緩和が行われる期待が高いため、ドルが底堅く推移するものと思います。

チャートでは、一目均衡表(日足)では転換線の101.48円がサポートとなっていますが、「三役逆転」は続いています。戻りが雲の下限で押さえられていることやストキャスティクス(スロー)がデッドクロスしたことで、下向きのバイアスがかかっているように見えます。サポートは5/21安値の100.83円、2/4安値の100.76円近辺が強いサポートとみられますが、ここを下抜けると、週足の一目均衡表の雲の上限の99.25円近辺がターゲットとなると思います。

■今週の予想レンジ