2/23 今週の見通し-3月への橋渡しでトレンドは出てこないか-

先週の為替市場はドル/円で1.57円(高値～安値)、ユーロ/円で2.51円、ポンド/円で3.48円、豪ドル/円で2.41円と2週連続で小動きとなりました。米国の住宅関連の経済指標や1月のFOMC議事録の公表もありましたが、足元で悪化している米国の経済指標と、その悪化は悪天候の影響との見方が綱引きとなり、市場も月が変わってから(3月になってから)発表される2月の経済指標を見極めたいとの心理が強く、方向感を持てない状態が続いているようです。今週は月末週となり、経済指標の発表も多いのですが、改定値や確報値が多く、市場の方向性を決めていくにはややパンチに欠ける内容と思います。

一方、昨日(22日)からシドニーで開催されているG20財務相・中央銀行総裁会議では、財務省から声明の(仮訳)が公開されました。

最近の世界経済における改善の兆しを歓迎する。とりわけ米英及び日本の成長が強まっている。

今後5年間で、我々全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも2%以上引き上げることを目指し、野心的だが現実的な政策を策定する。

多くの先進国において金融政策は引き続き緩和的である必要がある

物価安定と経済成長の見通しを踏まえ、然るべきタイミングで正常化すべきであることを認識する。

明確にコミュニケーションが行われる、というコミットメントを維持している

国内のマクロ経済政策、構造政策、金融規制・監督政策の枠組みを更に強化・改良することである。

2014年において、我々は、強じんな金融機関の構築、大きすぎて潰せない問題の終結、シャドーバンクによるリスクへの対処、デリバティブ市場の安全性の確保といった、世界的金融危機への対応として我々が着手した中核的改革の重要な面を、ブリスベン・サミットまでに概ね終了させることに努力を集中する。

これによると、成長の数値目標が現行の水準よりも2%以上引き上げることを目指すと、明記されたこと、金融政策の在り方については継続的な情報交換や世界経済に与える影響への配慮との関連で、引き続き注意深く測定され、明確にコミュニケーションが行われる、というコミットメントを維持とし、新興国への配慮が見える一方で、物価安定と経済成長の見通しを踏まえ、然るべきタイミングで正常化すべきであることを認識すると米国の政策にも理解を示す内容となっています。具体策は11月のG20サミットに向けて策定されることになりますので、週明けの為替市場は波乱はないものと思います。

【ドル/円】
FXChart

(c)source: uedaharlow ltd.

先週発表された米経済指標はNAHB住宅市場指数が50を割り込み悪化、NY連銀製造業景気指数も4.48、フィラデルフィア連銀製造業景気指数に至っては-6.3と足許の景況感も悪化しました。ただ、悪化は悪天候の影響であり、予想の範囲とし、ドル売りにはつながりませんでした。一方、公表されたFOMC議事録は大きな経済変化がなければ毎回のFOMCで100億ドルの緩和縮小を継続する内容となっていて、フォワードガイダンスの変更が示されたことで、ドル買いに一時反応したものの、積極的にドルを買っていく市場環境でもないことで、101円台後半では底堅いものの102円台後半では上値が重くなりました。今週もS&P/ケースシラー住宅価格指数、新築住宅販売と住宅関連指標が発表されますが、下振れは織り込み済みと思われますので、悪化の場合の反応は限定的になりそうです。注目は27日(木)の耐久財受注、28日(金)の10-12月期GDP改定ということになりそうですが、こちらも悪化は悪天候との見方につながりやすいため、リスクはいずれも上振れとなりそうです。ただ、来週は3月ということもあり、ここまで来ると3月4日の米雇用統計を待ちたくなることから、今週も上にも下にも行けず、短期勢を中心とした狭いレンジの動きに留まるものと思います。チャートでも一目均衡表(日足)の雲の中で、基準線の102.80円がレジスタンス、雲の下限が101.53円がサポートとなっています。

【ユーロ】

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ウクライナの政情不安は、ヤヌコビッチ大統領が議会により解任、首都キエフは野党勢力が掌握、5月25日に大統領選挙を実施することが議会で議決されました。23日に暴動は怒っておらず、これにより、緊張状態は緩和されると思われますので、ユーロにとってはポジティブな要因となると思われます。今週は24日(月)のIFO景気動向指数、27日(木)のドイツ消費者物価指数速報値、28日(金)ユーロ圏消費者物価指数速報値の発表が注目され、先週発表されたフランスの消費者物価指数(前月比)が-0.6%と予想より下振れしていたことで、ドイツも消費者物価指数が下振れするようであれば、ユーロ圏のディスインフレが進む可能性が高まり、ECBは来月4日の理事会で追加緩和への期待が高まることも考えられ、ユーロには下落圧力がかかることになります。週前半はユーロが底堅く、週後半には弱含みとなることが考えられます。ユーロ/ドルは一目均衡表(日足)の雲(1.3650ドル)でサポートされています。一方、目先は2/19高値の1.3772ドルがレジスタンスとみられます。2/3の安値の1.3476ドルを起点として上昇トレンドとなっているため、雲がサポートとなれば、昨年12/27高値の1.38922ドルを目指すものと思います。ユーロ/円は一目均衡表(日足)の雲の中を推移しています。転換線の139.96円がサポートとなっていることや遅行線がロウソク足の上に抜け出ていく可能性があることで、で雲の上限の142.450円を目指していくものと思います。

【ポンド】

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先週発表された1月の消費者物価指数が下振れ、ILO方式の失業率が7.2%へ悪化したこと、1月の小売売上高指数も前月比-1.5%へ悪化していたことことで、ポンド/ドルは5営業連続で下落しました。今週は26日(水)の10-12月期GDP改定値のみとなります。28日(金)にはカーニー英中銀(BOE)総裁の講演が予定されています。先週の英中銀金融政策委員会(MPC)議事録では目新しい材料もなかったことで、今週はユーロとドルの動きに左右されそうです。ポンド/ドルは一目均衡表(日足)の転換線の1.6605ドルまで下落しています。下には基準線が1.6532ドル、雲上限が1.6410ドルと2つのサポートがあります。この近辺で下値が堅くなれば、2/17高値の1.6820ドルを目指いしていくものと思います。ポンド/円は一目均衡表(日足)の転換線の169.69円でサポートされ、雲の上音家を伺う展開となっています。ただ、1/2高値の174.83円を起点とした下降トレンドとみることもできますので、雲を上抜けられないようであれば、2/4安値の163.87円と2/18高値の171.87円の半値の167.87円近辺まで下落すると思います。

【豪ドル】

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豪準備銀行(RBA)の議事録から、豪の利下げの可能性が後退したことなどが再確認され、反発となったものの、中国HSBC製造業PMIが悪化していたことで、週後半には下落しました。今週は27日(木)に10-12月期民間設備投資の発表が予定されています。事前予想では民間設備投資の減少となっていますので、予想通りであれば、一時的に豪ドル売りになると思いますが、3月に入れば中国の指標や豪準備銀行(RBA)の金融政策の発表が予定されているため、市場は様子見となるものと思われ、市場もリスク回避にもリスク選好にもなっていないため、トレンドにはつながらないと思います。豪ドル/米ドルは一目均衡表(日足)の雲下限ではサポートされ、雲の下限が切り下がっているため、0.89ドル近辺ではサポートされるものと思います。ただ、ここを下抜けると、基準線の0.8869ドル近辺まで下押しする可能性があります。豪ドル/円は一目均衡表(日足)の雲上限の93.04円で止められて転換線の92.01円まで下落してきました。ここを下抜けると、基準線の90.59円近辺まで徐々に下落していくものと思います。

■今週の予想レンジ

Ccy	Low(下) ～ High(上)
ドル/円	101 ～ 103.5
ユーロ/ドル	1.358 ～ 1.387
ユーロ/円	138.6 ～ 142.6
ポンド/円	168.7 ～ 172.3
豪ドル/円	90.8 ～ 93.3
NZドル/円	83.9 ～ 85.9
南アランド/円	9.05 ～ 9.5