6/15 米FOMCのリスクは上振れ方向
2014/06/15
【今週の見通し】 イラクではイスラム教スンニ派の過激派組織とマリキ政権の政府軍がモスルとバグダッドの間のティクリットなどで過激派組織の拠点をヘリコプターで攻撃するなど戦闘が激しくなっています。米国は、空母をペルシャ湾に派遣するなど、マリキ政権を支援する姿勢を示していますが、オバマ米大統領は地上部隊は派遣せず、無人機による空爆などを検討しているようです。事態は長期化する様相も見せており、中長期的な視野に立てば、ドル売りの材料となると思われます。一方、ウクライナ情勢も、東部ルガンスクでウクライナ軍の輸送機が親ロシア武装勢力に撃墜され、兵士らを含む49人が死亡しました。早期停戦を求めていたポロシェンコ大統領の計画は、大幅な変更を余儀なくされることとなり、地政学的リスクからのリスク・オフによる円売りは一部の資源国通貨や利上げ期待のある通貨以外では限定的になりそうです。
また、今週は米国のFOMCが17-18日に予定さていて、スタンレー・フィッシャーFRB理事が、副議長として承認されたことから、同氏をメンバーに加えたFEDの金融政策に対する見方、各メンバーのメイト押しに注目が集まるものと思われ、それまではあまり方向感は出てこないものと思います。FOMC(公開市場委員会)で100億ドルのテーパリングの実施を市場は織り込んでいるとみられ、米雇用統計の労働参加率から労働市場のスラック(たるみ)は改善していないとして、声明などはハト派寄りとなることを市場は予想していると思いますので、新たなメンバーが加わったことでややタカ派的と受け取られる内容だった場合には、ドル買いになると思われます。
【 EUR/USD 】
欧州の要人が「われわれは必要であれば行動は可能であり、まだ終わっていない」とハト派的な発言を行ったことなどで、ユーロ売りが継続、週末に公表されたシカゴIMM通貨先物のユーロのショート(売持)は5.7万枚枚まで大幅に増加、市場もユーロ売りを進めたことが推測されます。投機筋のユーロ売り余地はまだあるといえますが、個別で10万枚を超えていることを考えると、次週のドイツ、ユーロ圏のZEW景況感調査(17日)の改善が見られれば、ユーロの買戻しにつながると思います。ただ、米FOMCがユーロ/ドルでのドル買いを促すようであれば、6/5安値の1.3503ドルを下抜け、ユーロの一段安につながると思われます。
ユーロ/ドルは足元で6/5安値の1.3503ドルがサポートとなっています。ストキャスティクス(スロー)が25未満となっていることで、ゴールデンクロスをすれば反発する可能性は高いと思います。一方で日足の一目均衡表の転換線が1.3589ドル、基準線が1.3673ドルに位置してレジスタンスとなっているため、ここを超えられなければ下落が継続、1.35ドルを割り込めば、昨年11月安値の1.3295ドル近辺までの下落の可能性があります。ユーロ/円はMACDがデッド黒ロスしていることと、戻りが日足の一目均衡表の基準線の140.15円で止められたこと、転換線の139.02円を下抜けていることで下降トレンドが継続しているものと思います。ストキャスティクス(スロー)は25未満となっていることで、主馬には小幅反発となりましたが、戻りが転換線で止められるようだと6/12安値の137.71円を下抜けて2/4安値の136.23円近辺まで下落するものと思います。
【 USD/JPY 】
週末発表されたミシガン大消費者信頼感指数が2か月連続の低下となっていたことに加え、生産者物価指数も前月比、前年比共にプラス予想のところが結果はマイナスとなりました。ただ、市場の反応は限定的となっていることで、消費者物価指数(17日)が市場予想に反し下振れしているようであれば、FOMCでのハト派期待が高まり、ドル/円は200日移動平均線の101.53ドル割れを試す動きになる可能性があります。ただ、市場は17-18日のFOMCに注目しているとみられるため、週前半は経済指標への反応も鈍く、ドル/円は101円後半から102円後半での小動きになることが予想されます。前回のFOMCでは、米経済活動の成長は冬の間に悪天候の影響が一因となって大幅に減速したが、最近は上向いてきているとし、労働市場に関する指標はまだら模様だが、全体を見るとさらに改善したことを示しているとしながらも、極めて緩和的な金融政策を維持するのが適当であること確認したとしています。市場はハト派的な内容を織り込んでいることから、どちらかといえばリスクは上振れとみています。
日足の一目均衡表の雲が抵抗となり基準線の101.80円を下抜けしましたが1日で回復、長期的には200日移動平均線が5/21に続きサポートとなりました。MACDがデッドクロスしていることや転換線の102.20円、雲の下限の102.46円がレジスタンスとなりそうです。雲の厚みが増してくることから、雲の上抜け(103.10円)は難しいと思いますが、上抜けした場合には4/3高値の104.11円を目指すものと思います。一方で、200日移動平均線を下抜けすると、これまでサポートとなっていた101.20-30円がサポートとなるとみられます。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
EURUSD |
1.346 ~ 1.365 |
USDJPY |
100.6 ~ 103.7 |
GBPUSD |
1.687 ~ 1.71 |
AUDUSD |
0.926 ~ 0.957 |
NZDUSD |
0.838 ~ 0.878 |
■重要イベント 6/16(月) 18:00ユーロ圏 5月 消費者物価指数(HICP)改定値 y/y 21:30米国 6月 NY連銀製造業景気指数 22:00米国 4月 対米証券投資(短期債除く) 22:15米国 5月 鉱工業生産 m/m 22:15米国 5月 設備稼働率 23:00米国 6月 NAHB住宅市場指数 6/17(火) 18:00ドイツ 6月 ZEW景況感調査(期待指数) 18:00ユーロ圏 6月 ZEW景況感調査 21:30米国 5月 消費者物価指数(CPI) m/m 21:30米国 5月 住宅着工件数 年率換算件数 21:30米国 5月 建設許可件数 年率換算件数 6/18(水) 08:50日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨 08:50日本 5月 貿易統計(通関ベース) 18:00ユーロ圏 4月 建設支出 m/m 21:30米国 1-3月期 四半期経常収支 03:00米国 米連邦公開市場委員会(FOMC) 6/19(木) 13:30日本 4月 全産業活動指数 m/m 14:00日本 4月 景気先行指数(CI)改定値 14:00日本 4月 景気一致指数(CI)改定値 21:30米国 前週分 新規失業保険申請件数 23:00米国 6月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 23:00米国 5月 景気先行指標総合指数 m/m 6/20(金) 15:00ドイツ 5月 生産者物価指数(PPI) m/m 15:30日本 黒田東彦日銀総裁講演 17:00ユーロ圏 4月 経常収支 23:00ユーロ圏 6月 消費者信頼感速報値 ※m/m = 前月比、q/q = 前期比、y/y = 前年比
経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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