4/27 今週の見通し-イベント目白押しでトレンド出るか-
2014/04/27
先週週末はウクライナ東部で緊張が高まったこと、米格付け機関S&Pがロシアの格付けを「BBB-」、見通しを「ネガティブ」に引き下げたことなどが影響し、ロシア中銀が政策金利を予想外の0.50%引き上げたものの、効果は限定的で株式、債券、通貨(ルーブル)のトリプル安となっています。このため、新興国リスクが高まり、リスク回避の動きから円が買われました。
今週は日米の金融政策の発表(日本には追加緩和期待)、米国の雇用統計の発表が予定されていることから、ドル/円はユーロ/ドル、ポンド/ドルなどは狭いレンジの動きから抜け出て、トレンドが出るかが注目されます。また、ウクライナ問題は、ロシアの動きと欧米の経済制裁の動向が新たな地政学的リスクにつながるかです。日替わりで大きなイベントが訪れますので、しっかりと米国の経済指標、日本の金融政策の方向性を見極め、市場の一喜一憂に巻き込まれないようにするこが肝要です。
【ドル/円】 (c)source: uedaharlow ltd.
本邦の大型連休を前にした実需(輸出)のドル売りに102.70円近辺で上値を押さえられ、一目均衡表(日足)の雲がレジスタンスとなって、雲の下となる102.15円近辺で先週の取引を終えました。週後半はウクライナ情勢の緊迫化も円買いの要因となったとみられます。
今週は、イベントが多く、こうしたイベントに振り回される州となりそうです。29-30日には米kFOMCが予定されていて、FRBは長期国債の買い入れ額50億ドルとMBS買い入れ額50億ドルをともに縮小するとみられますが、声明では、イエレン米FRBがNYエコノミック・クラブの講演で述べている
- 労働市場のゆるみがみられ、この緩みを埋めるのには2年以上かかる
- 景気回復局面はこれまでにないくらい緩やかである
- 資産購入ペースは、見通しの著しい変化に応じて正当化される場合は調整する構えだ
- 雇用およびインフレが目標から遠いほど、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが現行水準に維持される公算が大きい
に沿った内容となるものと思われます。このため、米株式市場にはポジティブ要因となりそうですが、ドル/円の方向感にはつながりそうにもありません。
一方、本30日の邦日銀の金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(基本的見解)が公表されるため、これと同時に追加緩和を実施するのではとの期待が一部に残っています。4月の東京都消費者物価指数が市場予想の3.0%を小幅に下回ったことと24日に産経新聞が報じた成長率見通しの下方修正の可能性で、海外勢は少し期待を持っているかもしれません。
週末の雇用統計に向けては、30日のADP雇用調査、1日の製造業ISMの雇用指数などが予想の判断材料となると思いますが、週末に発表されたミシガン大消費者信頼感指数確報の現況や期待値がともに高かったこともあり、米国の経済は悪天候の影響を脱したようにもみえ、19-22万人程度の増加の可能性があることを示しているのではないかと思います。市場予想通りであれば、緩やかなドル買いにつながるものと思います。
先週高値の102.71円近辺が足許のレジスタンス、その上は一目均衡表(日足)の雲上限が103.02円(翌日からは102.83円)、下は転換線の102.11円、その下は、4/11安値の101.34円になります。ストキャスティクス(スロー)はデッドクロスしているため、足許では101円台ミドル下に向けて下落するものと見ています。
【ユーロ】 (c)source: uedaharlow ltd.
ウクライナは暫定政府がスラビャンスクの親ロシア派の武装集団を強制排除する作戦を展開していますが、親ロシアは武装集団はヨーロッパ各国で作る監視団のメンバーらを拘束して連行するなど徹底抗戦の構えを見せています。ロシア軍は国境付近で軍事演習を実施、国境付近に近づいたり、領空侵犯をしているとの報道もあり、予断を許さない状況となっています。メルケル・ドイツ首相は
- ジュネーブ合意に基づくプロセスは破綻した
- G7としての対ロシア協調行動を準備中
- G7は対ロシア措置で「早急に行動」
と発言、米国も英国・ドイツ・イタリア・フランスの4か国と電話会談を実施するなど、対ロシア政策制裁強化に向けて協調していくことで一致しています。ただ、制裁の内容によっては欧州にも打撃、ユーロ安につながる可能性もあります。
一方、ユーロ圏では、30日に消費者物価指数速報値の発表が予定されています。市場は前年比0.8%と前月の0.5%からは上振れすると予想していますが、それでも1%にも満たない月が7か月連続となると、ECBも何らかの追加緩和に動くのではないかとの期待が高まるのではないでしょうか。ただ、ECBは消費者物価指数の下振れは一時的とみており、ユーロ圏要人の発言からは、量的緩和の判断を6月に行いたいとの意向が見え隠れしているため、消費者物価指数が仮に下振れしたとしても前月の前年比0.5%を下回らない限りはユーロの下値は限定的になるものと思います。
ユーロ/ドルは一目均衡表(日足)の雲の中に一時入ったものの、雲の上限に沿って推移しています。ストキャスティクス(スロー)は、24日にゴールデンクロスしており、雲をしっかり上抜ければ、4/11高値の1.39044ドル近辺まで上昇する可能性があります。下は雲の厚みがあることもあり、4/22安値の1.37849ドル近辺ではサポートされる可能性が高いとみられます。
【ポンド】 (c)source: uedaharlow ltd.
先週週末に発表された小売売上高指数は市場予想に反して前月比で⁺0.1%となりました。米が現行の政策金利を長期に維持する可能性が高いこと、ユーロ圏は量的緩和の可能性が高い(足許は様子見が強いようだが)こと、日本にも追加緩和の可能性があることなどで、経済が好調である英国が一番早く利上げに踏み切るのではないかとの期待があるようです。ポンド/ドルは4/17高値(年初来高値)の1.68405ドルに迫る、1.68ドル台へと上昇しています。
今週は29日(火)に1-3月期GDPの発表が予定されています。既に発表されている英自動車製造取引業者協会(SMMT)の3月乗用車生産台数は14.2万台と前年比で12%となっています。GDPの市場予想は前年同期比で3.2%と10-12月期の2.7%を上回る見込みです。また、1日に発表される製造業PMIも55.4と前月よりも小幅ながらよい予想となっているため、英経済が好調なことを示しているような結果を示せば、ポンド買いにつながると思われます。ウクライナ情勢が緊迫化しているものの、欧州への影響が限定されているため、ポンドの大幅下落につながる可能性は低いとみています。
ポンド/ドルは一目均衡表(日足)の転換線でサポートされ、年初来高値の1.68405ドルに迫るところまで上昇してきました。年初来高値を更新すれば、3/7高値の1.67839ドルから3/24安値の1.6464ドルの倍返しとなる1.71038ドル近辺まで上昇する可能性があります。一方、転換線を下抜けた場合には、基準線と雲の上限が集まる1.6650ドル近辺が厚いサポートとなると思われます。
【豪ドル】 (c)source: uedaharlow ltd.
先週は豪政府統計局(ABS)が発表した1-3月期消費者物価指数が前年同月比で2.9%に留まった(市場予想は3.2%)ことで、豪準備銀行(RBA)の利上げ圧力が強まらないとの見方で豪ドルの調整が続きました。一方、中国のHSBC製造業PMI速報値は48.3と前月値よりは良かったものの、豪ドルのサポートにはなりませんでした。
今週は1日に1-3月期輸出・輸入物価指数、2日に1-3月期卸売物価指数の発表が予定されていますので、引き続き物価動向が注目されそうです。豪準備銀行(RBA)のインフレターゲットは消費者物価指数のトリム平均であるため、これらは消費者物価指数ほどのインパクトはないものの、物価の上昇が示されれば、僅かですが豪ドルのサポート要因となると思います。中長期的には中国景気の減速懸念があるため、1日の中国製造業PMIが市場予想の50.5より下振れした場合には、豪ドルの調整が続き、0.92ドルを割り込んでいくことが予想されます。
豪ドル/米ドルは一目均衡表(日足)の転換線がレジスタンスとなり、4/1高値の0.93011ドルも下抜けました。基準線が0.9245ドルに位置していることで、これを下抜けると、3/7高値の0.9132ドル近辺まで更に調整が続く可能性があります。ただ、ストキャスティクス(スロー)では、%DとスローDがともに25を下抜けて調整が進んだことが示されているため、ゴールデンクロスすれば、反発につながる可能性があります。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
EURUSD |
1.369 ~ 1.393 |
USDJPY |
100.7 ~ 103.8 |
GBPUSD |
1.661 ~ 1.702 |
AUDUSD |
0.92 ~ 0.948 |
NZDUSD |
0.848 ~ 0.871 |
■重要イベント 4/28(月) 08:50日本 3月 小売業販売額 前年同月比 08:50日本 3月 大型小売店(既存店)販売額 前年同月比 23:00米国 3月 住宅販売保留指数 前月比 4/29(火) 07:45NZ 3月 貿易収支 15:00ドイツ 5月 GFK消費者信頼感調査 15:45フランス 4月 消費者信頼感指数 17:00ユーロ圏 3月 マネーサプライM3 y/y 17:30英国 1-3月期 四半期国内総生産(GDP)速報値 18:00ユーロ圏 4月 消費者信頼感確定値 21:00ドイツ 4月 消費者物価指数(CPI)速報値 22:00米国 3月 ケース・シラー米住宅価格指数 23:00米国 4月 消費者信頼感指数 4/30(水) 07:45NZ 3月 住宅建設許可件数 m/m 08:05英国 4月 GFK消費者信頼感調査 08:50日本 3月 鉱工業生産速報値 m/m 10:00NZ 4月 NBNZ企業信頼感 10:30日本 3月 毎月勤労統計調査-現金給与総額 y/y 00:00日本 日銀金融政策決定会合 14:00日本 3月 新設住宅着工戸数 y/y 15:00南ア 3月 マネーサプライM3 y/y 15:30日本 黒田東彦日銀総裁定例記者会見 15:45フランス 3月 卸売物価指数(PPI) m/m 15:45フランス 3月 消費支出 m/m 16:00スイス 4月 KOF景気先行指数 16:55ドイツ 4月 失業者数 16:55ドイツ 4月 失業率 18:00ユーロ圏 4月 消費者物価指数(HICP)速報値 y/y 21:00南ア 3月 貿易収支 21:15米国 4月 ADP雇用統計 21:30カナダ 2月 月次国内総生産(GDP) m/m 21:30カナダ 3月 鉱工業製品価格 m/m 21:30カナダ 3月 原料価格指数 m/m 21:30米国 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP)速報値 22:45米国 4月 シカゴ購買部協会景気指数 03:00米国 米連邦公開市場委員会(FOMC) 5/1(木) 10:00中国 4月 製造業PMI 10:30豪 1-3月期 四半期輸入物価指数 m/m 17:30英国 4月 製造業PMI 17:30英国 3月 消費者信用残高 17:30英国 3月 マネーサプライM4 y/y 20:30米国 4月 チャレンジャー人員削減数 m/m 21:30米国 前週分 新規失業保険申請件数 21:30米国 3月 個人消費支出(PCE) m/m 21:30米国 3月 個人所得 m/m 21:30米国 3月 個人消費支出 m/m 21:30米国 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演 23:00米国 4月 ISM製造業景況指数 23:00米国 3月 建設支出 m/m 5/2(金) 08:30日本 3月 失業率 08:30日本 3月 有効求人倍率 08:30日本 3月 全世帯家計調査・消費支出 y/y 08:50日本 4月 マネタリーベース y/y 10:30豪 1-3月期 四半期卸売物価指数(PPI) y/y 10:30豪 3月 住宅建設許可件数 m/m 16:30スイス 4月 SVME購買部協会景気指数 16:50フランス 4月 製造業PMI改定値 16:55ドイツ 4月 製造業PMI改定値 17:00ユーロ圏 4月 製造業PMI改定値 17:30英国 4月 建設業PMI 18:00ユーロ圏 3月 失業率 21:30米国 4月 非農業部門雇用者数変化 21:30米国 4月 失業率 23:00米国 3月 製造業新規受注 m/m ※m/m = 前月比、q/q = 前期比、y/y = 前年比
経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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