6/23 主要通貨に方向感出にくく、指標に一喜一憂か
2014/06/22
【今週の見通し】 先週の米国のFOMC(公開市場委員会)では、
- 経済活動が最近盛り返した(rebounded)ことを示している
- 家計支出は緩やかに伸びている(rising moderately)よう
- 企業の設備投資も再び拡大した(resumed its advance)
- 住宅部門の回復は遅いまま
- インフレ率は委員会の長期的な目標を下回っているが、長期的なインフレ期待は引き続き安定している
と適切な金融政策で経済活動が緩やかに回復していると評価する一方で、最大雇用と物価安定に向けて続く改善を支えるために極めて緩和的な金融政策の運営姿勢が適切であることを改めて表明しました。また、インフレ率の予測が2%の長期目標を下回り続け長期的なインフレ期待も十分に抑制されたままであるならば、現行のFF金利の目標誘導レンジを資産購入の終了後も相当な期間維持することが適切になるとこれまでの通りの内容からは変化はありませんでした。イエレン米FRB議長も「労働市場には依然として大きなギャップが残存」「もし経済が予想よりも強い場合は早期に利上げを実施する可能性がある。半面、経済が予想より弱い場合は緩和策をより長期間維持する可能性」と発言、市場が期待していたハト派寄りの修正にはつながらず、市場は失望して、ドル売りとなりました。
米国の金融政策に変化がなかったことで、追加緩和が期待できない日本、追加緩和方向ながら目先数か月は金融政策を変更する可能性が低いユーロとの間では、方向感が見いだせなくなってきています。今週は米国は住宅関連の経済指標、ユーロ圏は製造業やサービス業PMI、ドイツIFO景気動向指数などの景況感、日本は失業率や全国消費者物価指数の発表が予定されています。ウクライナ情勢は停戦に向けて進展の可能性がありますが、イラク情勢は戦闘が激化する可能性があります。市場はあまり材料視していませんが、リスク回避の動きが強まれば、小幅な円の上昇につながるかもしれません。引き続き市場が動きそうな手掛かりが少ない中で、動意づいていくのかも不明ですが、アクションとしては動き出す方向についていくというスタンスを維持しつつ、テクニカル分析などを使いながら動意が出たのかの判断が必要となります。
【 EUR/USD 】
先週は16日にブルームバーグがECB関係者の関係者の話として、「ECBは今後、数か月は追加措置をしない」と報じたこと、米FOMCでも現状のハト派的な金融政策が継続されたことで、全般的にユーロが買い戻される週となりました。ただ、ECBのハト派的な政策は続くことから、ユーロの戻りは限定的になるのではないでしょうか。特に今週はドイツやユーロ圏の製造業・サービス業PMIの速報値、ドイツのIFO景気動向指数の発表が予定されていることで景況感の悪化が示されたり、週末に発表されるドイツ消費者物価指数速報値で物価の低下傾向が示されれば、来月のECB理事会に向けてさらに追加緩和期待が高まるものと思われます。
ユーロ/ドルは6/5安値の1.3503ドルでは底堅さを見せていて、日足の一目均衡表の転換線を上抜けましたが、基準線(1.3618ドル)がレジスタンスとなっているようで、ここを上抜けられるかがカギとなりそうです。ただ、上抜けたとしても6/6高値の1.3676ドルと遅行線がロウソク足とぶつかる1.3650-1.3700ドルにかけては強い抵抗となると思います。一方、転換線を下抜けると1.35ドル割れを試すことになりそうです。ユーロ/円はMACDがゴールデンクロスをしています。また、日足の一目均衡表の転換線が切り下がったこともあり、転換線の上に抜け出たことから、接近している基準線の138.89円を上回れば6/9高値の140.08円近辺まで上昇する可能性があります。ただ、基準線が抵抗となった場合には、6/16安値の137.70円近辺までの下落につながると思います。
【 USD/JPY 】
今週は、経済指標の発表よりは、24日とみられる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」と改定成長戦略の閣議設定でしょうか。素案自体は既に今月13日に公表されていますので、市場はある程度織り込んでいるとみられます。改定成長戦略で具体的な数値や内容が見いだせないようであれば、本邦株式市場の失望売りにつながる可能性もあり、小幅な円高に繋がる可能性があります。
一方、ウクライナではポロシェンコ大統領が停戦命令を行い、プーチン・ロシア大統領がこれを支持したことで、停戦の実現に期待が少しできてたように思います。武力衝突が収まるようであれば、市場のリスクは後退して、やや円売りに繋がることが期待できます。しかしながら、イラク情勢はシーアの武装組織が大規模な軍事パレードを行うなど宗派対立を強めていることに加え、政府軍がモスルやティクリットなどを奪還するため、大規模な軍事作戦を行う可能性もでていることで、戦闘の激化や多数の死傷者が出た場合にはリスク回避の動きの円買いに繋がることも考えられます。
経済指標は、FRBも懸念を示している住宅関連の経済指標が多く発表されます。先週発表されたNAHB住宅市場指数が上振れていたことで、中古や新築の住宅販売件数が小幅な伸びが予想されます。また、耐久財受注や実質GDPの確定値、個人消費支出の発表も予定されていますが、足許では、FRBが低金利政策を続けることを示しているため、余程よい内容でなかればドル買いにつながる可能性は低いと思います。
先週は、週をみても変動幅が極端に少なく60銭(0.6円)程度の幅しか動きませんでした。日足の一目均衡表では転換線と基準線の間での動きが主となりました。一目均衡表からは遅行線がロウソク足を上に抜けたこと、実勢レートが雲の中に入ったことで、弱いながら上向きのバイアスが出てきたように見えます。ただ、上は雲の上限が102.60円近辺にありますので、6/4高値の102.79円と併せて、この近辺が強い抵抗となるのではないでしょうか。
■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
EURUSD |
1.351 ~ 1.372 |
USDJPY |
101 ~ 103 |
GBPUSD |
1.69 ~ 1.719 |
AUDUSD |
0.93 ~ 0.95 |
NZDUSD |
0.859 ~ 0.888 |
■重要イベント 6/23(月) 10:45中国 6月 HSBC製造業PMI速報値 15:00日本 黒田東彦日銀総裁講演 16:00フランス 6月 製造業PMI速報値 16:00フランス 6月 サービス部門PMI速報値 16:30ドイツ 6月 製造業PMI速報値 16:30ドイツ 6月 サービス部門PMI速報値 17:00ユーロ圏 6月 製造業PMI速報値 17:00ユーロ圏 6月 サービス部門PMI速報値 23:00米国 5月 中古住宅販売件数 年率換算件数 6/24(火) 17:00ドイツ 6月 IFO企業景況感指数 22:00米国 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 22:00米国 4月 住宅価格指数 m/m 23:00米国 6月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 23:00米国 6月 リッチモンド連銀製造業指数 23:00米国 5月 新築住宅販売件数 年率換算件数 6/25(水) 08:50日本 5月 企業向けサービス価格指数 m/m 15:00ドイツ 7月 GFK消費者信頼感調査 15:45フランス 6月 企業景況感指数 21:30米国 5月 耐久財受注 m/m 21:30米国 1-3月期 四半期実質GDP確定値 前期比年率 6/26(木) 15:45フランス 6月 消費者信頼感指数 21:30米国 前週分 新規失業保険申請件数 21:30米国 5月 個人消費支出(PCE) m/m 21:30米国 5月 個人所得 m/m 6/27(金) 08:05英国 6月 GFK消費者信頼感調査 08:30日本 5月 全世帯家計調査・消費支出 y/y 08:30日本 5月 失業率 08:30日本 5月 有効求人倍率 08:30日本 5月 全国消費者物価指数(CPI) y/y 08:30日本 6月 東京都区部消費者物価指数(CPI) y/y 08:50日本 5月 小売業販売額 y/y 08:50日本 5月 大型小売店(既存店)販売額 y/y 15:45フランス 1-3月期 GDP改定値 q/q 15:45フランス 5月 卸売物価指数(PPI) m/m 15:45フランス 5月 消費支出 m/m 16:00スイス 6月 KOF景気先行指数 17:30英国 1-3月期 四半期GDP確定値 q/q 17:30英国 1-3月期 四半期経常収支 18:00ユーロ圏 6月 消費者信頼感確定値 21:00ドイツ 6月 消費者物価指数(CPI)速報値 m/m 22:55米国 6月 ミシガン大学消費者態度指数確報値 ※m/m = 前月比、q/q = 前期比、y/y = 前年比
経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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