ニュージーランドのワイン製造とブドウ栽培の歴史は植民地時代に遡ります。1819年にサミュエル・マースデン牧師が100本のブドウの木をケリケリ(Kerikeri/ニュージーランド北部)のCMS(英国聖公会宣教協会)で植えたのが最初のブドウ栽培として記録されており、彼の残した日記にはこう書かれていました、‘ニュージーランドはブドウ栽培にとって最適な土地である’と。
小さな規模から始まったニュージーランドのワイン産業は、良質なワインを造り上げるため改革を続けた結果、年々国際的な賞を受賞するまでに成長しました。マースデン牧師が日記に記した事は、2014年にニュージーランドのワイン輸出がNZD13.3億ドルまで増加した事実が証明していると言えるでしょう。
今日多くの専門家の間では、世界最高品質のソーヴィニヨン・ブランはニュージーランド産であるとの認識が広がりつつあります。信じ難いですか?もしそうであれば、是非ニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランのボトルと手に取り、ご自身でそのテイストを判断してみてください。
ところで、ニュージーランドにおけるワイン作りを特別にしている理由は何でしょうか?そう、この国には世界中の土地と異なる幾つかの性質があるのです。最北端の北島から最南端のまでの全長1600kmの間では亜熱帯の南島から世界で最も南でブドウ栽培が行われるセントラル・オタゴが存在します。特徴としては、全てのブドウ園は海から120km以内にあるため、長い日照時間のバランスをとる上で海洋性気候による緩和効果の恩恵を受けることが出来るのです。
ニュージーランド産ワインは、その清廉さと彩度、そして独特な味わいを持っている事で良く知られています。冷温で長期熟成されたワインはフレッシュな酸味を残しつつ深い味わいに育てられます。
国内には主要なワイン栽培地域が10箇所あり、北から順に、ノースランド、オークランド、ワイカト/ベイオブプレンティ、ギズボーン、ホークスベイ、ワイララパ、ネルソン、マールボロ、カンタベリーそしてセントラル・オタゴになります。以下、幾つかの地域をピックアップしてみましょう。
マールボロ地方
ニュージーランド最大のワイン産地であるマールボロは、品種の多様化とその栽培範囲を拡大し続けています。1873年、開拓者達によって初めてブドウの木が植えられましたが1970年代中頃までは主要生産地としての地位を確立できず、ワインの世界舞台に登場したのは1990年代でした。
2014年、マールボロ地域では22,907ヘクタールのブドウ園から330トンのワインが生産されましたが、これは実にニュージーランド国内におけるワイン生産の77%を占める計算になります。
ホークスベイ地方
常に新しいヴァラエタル(ブドウの名前を冠にしたワイン)の開発を試みる同地域では、ボルドーブレンドの赤とシャルドネが広く知られています。
ギズボーン地方
国内第3位のワイン生産地であり、また国内で一番早く日の出が確認できる場所です。
シャルドネが最も優れた品種で広く知られていますが、様々な品種が存在する中でもピノグリが地位を上昇させており、シャルドネに次いで2番目に有名な品種と言えるでしょう。
ワイララパ地方
幅広い品種を高品質で提供する小規模の生産者が密集する地域と言えるでしょう。主要な3つの地域であるマーティンボロ、グラッドストーンそしてマスタートンは天候や土壌が似ていますが、その特性や味わいには微妙な違いを感じる事ができます。
セントラル・オタゴ地方
この地域のピノ・ノワールは世界でも最高品質の一つと知られており、またマウント・ディフィカルティー、リッポン、チャードファームといったワイナリーで作られる鮮やかな白ワインも有名です。