日本銀行のブタ積み当座預金には意味があるのか?

nogizaka2014
  • オーナー
  • 2
  • 2015/5/07

ついに200兆円を超えた日銀当座預金、よって300兆円を超えたマネタリーベース。異次元緩和の結果であるこの膨大なマネーは、何をもたらすのか?以下は、月曜日から火曜日にかけて、気鋭の非主流派経済学者のみなさんと勉強会を行った際に、わたくしの考え方を披露したものです。

まずは、マネタリーベースと日銀当座預金のグラフから。

以下、議論です。

✡✡✡✡✡✡

政府預金という勘定科目が仕訳から欠落すると、ブタ積み当座預金について誤解が生じます。この勘定科目を仕訳に戻せば、マネタリーベースは、ハイパワードマネーならずとも、シングルパワードマネー程度にはなっているのです。

すなわち、

①新規国債の発行(以下に述べるように建設国債か赤字国債かは問題でありません。ただし、借換債ではなく国債の増発だとしましょう)

(日技の仕訳)

(貸方)日銀当座預金(※1)

(借方)政府預金

(※1)正しくは「市中銀行預かり金」とすべきところ、市中銀行の仕訳との双対性をわかりやすく見せるためこの表現をとりました。

(市中銀行の仕訳)

(貸方)国債(シ団引受だろうと入札だろうと)

(借方)日銀当座預金(※2)

(※2)(※1)と同じ意味で本来は「日銀預け金」

②日銀による公開市場操作(いわゆる買いオペ)

(日銀の仕訳)

(貸方)国債

(借方)日銀当座預金(※1)

(市中銀行の仕訳)

(貸方)日銀当座預金(※2)

(借方)国債

①②からは、(手中銀行が民間への貸出を行わない限り)民間預金は発生しないと読めます。しかし、続き=③があります。

③政府の支出

(日銀の仕訳)

(貸方)政府預金

(借方)日銀当座預金(※1)

(市中銀行の仕訳)

(貸方)日銀当座預金(※2)

(借方)預金(※3)

(※3)公共投資であれば、土建屋⇒土建屋の従業員、建築資材メーカー、重機メーカー、重機の燃料の売主(※4)へと預金口座の名義が転々と変わるだけ。社会保障費なら、年金生活者⇒お医者さん、看護婦さん、医薬品や医療機器の売主(※4)、軍事費なら、自衛隊員、戦車・戦闘機・潜水艦の売主、燃料の売主(※4)。。。(※4)については全額が国内でまかなえるかどうか疑問ですが、輸入に頼らないという前提が崩れても、この話が根底から崩れるわけではありません。

したがって、①②③が繰り返されると、日銀当座預金がどんどん増えるので、それ自体は、マネーストックの増加には寄与しないのですが(※5)、同額の市中銀行預金(非金融民間部門から市中銀行への預け金)は政府預金が取り崩される程度に増えます。増え方が、貸出増加による預金増加(最大で日銀法定準備率の補数を等比とする無限級数まで増やせる)に比べると、はなはだひんじゃくですが、ゼロではなく、だいたい1は増えるということです。

正確に1きっかりではなく、だいたい1(弱)にとどまるのは、年金生活者のタンス預金や、相続税増税による国庫への還流(政府預金が結果的に全額は取り崩されない)などの要因が考えられます。最近は社会保障費が赤字国債増発の元凶ですが、それ以外の費目については、上記(※4)も要因!?

最後に(※5)について、多くの先進国では、マネーサプライ(マネーストック)の定義として、おおむね、M1とM2とM3が定着しているように見えますが、英国のように、M0(イングランド銀行預け金を含むマネタリーベース)とM4(英国国債を含む広義流動性)としている国があることも見逃せません。EUはともかく、米国も日本も、M0とM4を、統計資料としては公表しています。

 





四半期毎のマネタリーベース等の末残推移
  • 2015年5月27日, 14:48

コメント

nogizaka2014

nogizaka2014

2 2015/5/07
  • オーナー

我が国の政府支出(超)のなかで、東日本大震災以降は、復興のための公共事業は無視できない規模であり、建築資材や人件費は上昇しています。後者については飲食業の非正規雇用(労働市場の似たセグメント)の時給急上昇(求人難)へと如実に影響を与えています。





それでも、少子高齢化により、赤字国債発行による年金勘定への補填こそが、財政赤字の核心部分です。





年金保険料(ただし現役世代から。この問題は後述)のみから、年金(引退世代へ)が賄われるべきところ、不足米を、財政で補う。小泉政権以降は、民間非金融部門預金と日銀券発行残高と補助貨幣流通の増分の、最大要因はこれです。





そしてこの、現預金増は、日銀が買いオペをやっていたかやっていなかったかに関わらず、結果は変わらないということです(日銀当座預金がブタ積み状態なので、市中銀行貸出による預金創造にとって、市中銀行の国債保有負担が律速因子にはなっていない=内生的貨幣供給が成り立っていた)。





しかし、買いオペが無意味だったにせよ、財政赤字によって、民間の現預金が増えたのだから、購買能力かつまたは購買意欲が高まり物価上昇を引き起こしても良いはずではないか?





現実はそれほどでもなく、家計も市中銀行預金をブタ積み(!?)する。それどころか、タンス預金もされているというのは、ケインジアンにとっては悲しい知らせですが、リカード=バローの中立命題がそこそこ効いてしまっていて、引退世代が現役世代に負担を残さないように、消費を控えているということではないでしょうか?





ところで、「貨幣(流動性)の供給」と「可処分所得(貯蓄)の提供」とはまったく意味が違います(が紛らわしいこともまた事実で、これがIS=LM分析がわかりづらい理由だとも思います)。





銀行が貸してくれた100万円の預金は内生的貨幣供給の結果ですが、可処分所得ではなく、いつかは返済しなければならないものです。同じ100万円でも、海外に出稼ぎに行った家族からの仕送りとか外国企業からの配当収入の100万円(まぎれもなく可処分所得としての現預金の増加)とは異なります。前者の債務者=預金者が個人事業主だとして、今月末この100万円で手形を割り引いてもらえないと事業を手仕舞わざるを得ないが、割り引いてもらえたら、今月の売り上げ105万円の入金予定日(来月末)まで事業が存続できる。。。100万円の貨幣供給の結果、真水(まみず)の可処分所得としての現預金の増加は、たったの5万円(マイナス手形割引料=金利)にとどまります(銀行に救ってもらったという話に聞こえますが、手形を仕入業者に裏書譲渡出来ていればそれでも事業は継続できたわけで、何も流動性の供給が銀行業によって独占されているわけではありません)。





これに対して、財政で補填されて受給した年金は、マクロ経済に興味のない全体観のない受給者ならば、あたかも自分が働いてきたご褒美で、満額真水の可処分所得のように浪費されてしまいそうです。しかし、実はそれは錯覚で(ケインジアンの言う貨幣錯覚とは意味が異なるので、「所得錯覚」とでも呼びましょうか。。。所得と流動性の履き違え)に過ぎず、浪費すべきものではない(が、将来世代のために蓄えておくには、現金のほうが良い(流動性の罠+税務対策)という選択がなされていると考えられます。





ついでに、現役世代はどうでしょうか?もしも少子化高齢化の対策で財政が介入せずに現在より更に大きな年金保険料の負担があったとしたらもっと消費は減退するでしょうか?中立命題では、そこも違いがないということになりますが、「保険料を払った分は年金として取り返せる」と信じている現役世代が大多数とは思えず、わたくしは中立命題が現役世代の消費貯蓄選択で成り立つかは疑問です。





貨幣錯覚が成り立たなければケインズ政策は無効であるように、「所得錯覚」が作用してしまうと中立命題が脅かされます。世代にまたがる負債を無視した浪費は、物価高と、将来に税金や社会保険料の徴収できなくなる(出口戦略が描けない)。雲行きが悪くなり、ある閾値を超えると、ハイパーインフレとソブリンリスクが加速するという意味で、財政赤字は発散的構造を持っている(ある閾値まではインフレ期待にとって無意味な政策。ある閾値からはインフレを発散させ取り返しがつかなくなる政策)という困った存在であるというのがわたくしの考えです。

(まとめ1)年金支給額-年金保険料収入(=赤字国債)は、典型的なヘリコプターマネーだが、その赤字国債を購入した銀行から日本銀行がどれだけ買いオペするかは、ヘリコプターマネーの規模は変わらない。

(まとめ2-1)ヘリコプターマネーを拾い上げた年金生活者が、「流動性が増えただけで可処分所得が増えたわけではない」と冷静に考えている限り、消費や物価には影響を与えない。

(まとめ2-2)が、増え方がある限度を超えると「可処分所得が増えたのだと錯覚する(同世代の年金生活者が多数を占めるようになるのでは)」「となると、将来、年金保険料(または消費税率?)をあげても年金勘定の赤字を解消できなくなる(出口戦略の雲行きの悪さ)。」「ヘリコプターマネーのままで貯蓄するよりは、価値があるうちに消費したほうがまし。あるいは《もっと安定した価値貯蔵手段》に交換しておいたほうが懸命」と考えるひとが雪だるま式に増えてくる

《もっと安定した価値貯蔵手段》の候補としては、オフショアのドル(などの外貨)、金などの商品通貨、ETFやJ-REIT(のファンド・オブ・ファンズ)、一流大企業の社債などが考えられます。

通貨とは何か?トートロジーですが、それは、コミュニティのなかで大半のひとがそれが通貨だと思って、支払ってくれる、受け取ってくれる、人気投票の結果としてのアセットクラスにほかなりません。日銀の調査統計局がマネーストックの定義として決めるものでも、主流派の偉い経済学者の先生が決めるものでもありません。

  • 2015年5月29日, 12:45
gomgom

gomgom

1435 2014/8/28

すげー情報だ(; ̄ェ ̄)

  • 2015年5月28日, 22:29
gblambert

gblambert

5 2011/6/27

@nogizaka2014さん、トレントは増加の方向に代わりありませんね!


  • 2015年5月28日, 11:47
名無しさん

名無しさん

ブログみたい

  • 2015年5月28日, 10:06
candlex

candlex

9 2014/7/07

たくさんの情報ありがとうございます。


  • 2015年5月27日, 15:56
kakukiriringo

kakukiriringo

496 2014/1/22

リーマン以降ここ数年程で、世界各国で通貨量を何倍にしたことが当たり前の状態になっています。急激にお金の価値が目減りするという事態にはならないかとm(__)m


  • 2015年5月27日, 15:28
最近閲覧した銘柄
NIK
NI225
日経平均株価
FX
USDJPY
ドル円
TSE
7203
トヨタ自動車
TSE
9984
ソフトバンク
TSE
9983
ファーストリテイリン..
ご覧いただいた銘柄が下記のボックス内に表示されますので、過去閲覧した銘柄情報に簡単にアクセスすることができます。

今すぐ無料会員登録し、カスタマイズ自由なご自身のモニターを作成しましょう。

ADVFNのサービスをご利用いただくには、 利用規約

P:41 V: D:20171122 05:36:48