11/5 週の見通し-米大統領選の影響は限定的か-
2012/11/04
【全体】 いよいよ米大統領選挙が6日(火)に迫ってきました。現時点ではオバマ米大統領、ロムニー候補は僅差で接戦を続けており、選挙人の獲得数ではオバマ米大統領が僅かに有利ながら、予断は許さない状況です。ただ、同時に行われる米議会選挙も注目で上下院の「ねじれ」が解消されない場合には財政の崖の問題が解決する可能性が低くなるため(暫定的に合意する可能性はある)、米経済の先行きに懸念が高まるものとみられ、ドルが売られる可能性があり、更に株価の下落などを誘発すれば、円買いに資金が向かうことも考えられます。とはいうものの、市場はオバマ米大統領が勝利した場合に多少のドル安をみている人が多いようです。
【ドル/円】
(c)UH standard chart
ドル/円は10/26の高値の80.375円を上抜けて、一目均衡表(週足)の雲の中に入ってきました。週足の雲の上限は80.818円まで低下してきていて、今週はこれの上抜けを試しに行くと見られます。これを上に抜ければ3/15の高値の84.170円と9/13安値の77.126円を100%としたフィボナッチ61.8%戻しの81.474円を目指すと思います。一方、サポートは5日移動平均線と一目均衡表(日足)が接近している79.95円近辺と思われます。週末には本邦大手家電メーカーが格下げされたことや中国との関係悪化に伴う本邦景気の急激な悪化懸念、政局の混迷など円が売りにくい地合いが継続しているようですので、リスク・オンの局面でも円買いにはつながりにくいと思っています。経済指標では非製造業ISM景気指数(5日)、本邦貿易収支、米貿易収支(8日)、米ミシガン大消費者信頼感指数(9日)になりますが、比較的好調な結果が続いていることで、ドルの下落要因にはつながらないと思います。
【ユーロ】
(c)UH standard chart
ユーロ/円は週後半までしっかりした動きをしていたものの、週末に2週連続で調整から下落しました。先週は104円台に戻すことができなかったため、ユーロの重さは感じますが、一目均衡表(日足)では、遅行線が日々線(ロウソク足)の上を推移していることや転換線が基準線の上に位置していること、ロウソク足が雲の上を推移していることを考えると、上値が押さえられる一方で、下値もそこそこ堅いといえそうです。G20財務相・中央銀行総裁会議では欧州の債務危機が抑制されていることを確認するとみられますが、スペインの支援要請が促される可能性もわずかながらあること、ギリシャへの救済決定が12日以降に先送りされたことから、前者が注目されればユーロの上昇につながると見られますが、後者の場合は下落すると思います。また、8日のECB理事会では政策金利、OMT(国債買い入れプログラム)ともに変更がないものと見られますので、レンジの動きが続くと思います。
【ポンド】
(c)UH standard chart
ポンド/円は10/25の高値の129.639円に迫る129.563円まで上昇し、上抜けはできなかったものの、一目均衡表(週足)では雲の上でサポートされました。このため、4/25の高値の131.805円を目指して上昇する可能性が高いと思われます。一方、先週発表されたネーションワイド住宅価格は改善傾向を示しているものの、製造業PMIは47.5と9月より更に悪化を示しているため、5日に発表されるサービス業PMIが景気判断の分岐となる50に近付いたり、鉱工業生産、製造業生産(6日)が悪化を示したりするようであればポンド売りが出る可能性があります。今週木曜日(8日)に予定されている英中銀の金融政策委員会(MPC)では、政策金利は据え置かれるものの、資産買い入れプログラムについては、拡大の是非を協議する予定です(これまでの実施分は終了したことを発表しています)。市場は拡大しないことをある程度は織り込んでいるとみられますが、拡大しない場合は相対的にポンドが買われることになると思います。
【豪ドル】
(c)UH standard chart
豪ドル/円は11/2に高値を83.828円まで更新し、一目均衡表(週足)の雲の上に抜け出て、遅行線もロウソク足を上抜けました。また、ストキャスティクススローも50以上ながらゴールデンクロスしていることから、上昇が継続する可能性が高いと思います。6日には豪準備銀行(RBA)が金融政策を発表しますが、これまで発表された四半期消費者物価指数、生産者物価指数などから、政策金利を据え置く公算が高いとみられ、豪ドルの下支え要因となると思われます。また、8日に発表される失業率や新規雇用者数の内容が良ければ一段高となると思います。
■今週の予想レンジ ■今週の予想レンジ
Ccy | Low(下) ~ High(上) |
ドル/円 |
78.9 ~ 81.3 |
ユーロ/ドル |
1.261 ~ 1.302 |
ユーロ/円 |
102.1 ~ 104.6 |
ポンド/円 |
127.2 ~ 131.8 |
豪ドル/円 |
82.2 ~ 84.7 |
NZドル/円 |
65.2 ~ 68.3 |
南アランド/円 |
9.05 ~ 9.4 |
■注目イベント 11/5(月) 09:30 豪 9月 貿易収支 09:30 豪 9月 小売売上高 18:30 英国 10月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI) 22:30 カナダ 9月 住宅建設許可件数 00:00 米国 10月 ISM非製造業景況指数(総合) 11/6(火) 09:01 英国 10月 英小売連合(BRC)小売売上高調査 09:30 豪 7-9月期 四半期住宅価格指数 12:30 豪 豪準備銀行(中央銀行)政策金利発表 14:00 日本 9月 景気一致指数(CI)速報値 14:00 日本 9月 景気先行指数(CI)速報値 15:45 スイス 10月 スイスSECO消費者信頼感指数 18:00 ユーロ圏 10月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値 18:30 英国 9月 鉱工業生産指数 18:30 英国 9月 製造業生産指数 19:00 ユーロ圏 9月 卸売物価指数(PPI) 20:00 ドイツ 9月 製造業新規受注 00:00 カナダ 10月 Ivey購買部協会指数 11/7(水) 17:15 スイス 10月 消費者物価指数(CPI) 19:00 ユーロ圏 9月 小売売上高 20:00 ドイツ 9月 鉱工業生産 21:00 米国 MBA住宅ローン申請指数 05:00 米国 9月 消費者信用残高 11/8(木) 06:45 NZ 7-9月期 四半期失業率 08:50 日本 9月 機械受注 08:50 日本 9月 国際収支・経常収支 08:50 日本 9月 国際収支・貿易収支 09:30 豪 10月 新規雇用者数 09:30 豪 10月 失業率 14:00 日本 10月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 15:45 スイス 10月 失業率 16:00 ドイツ 9月 経常収支 16:00 ドイツ 9月 貿易収支 16:45 フランス 9月 貿易収支 18:30 英国 9月 貿易収支 21:00 英国 英中央銀行(BOE)金利発表 21:45 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)政策金利 22:15 カナダ 10月 住宅着工件数 22:30 カナダ 9月 新築住宅価格指数 22:30 カナダ 9月 貿易収支 22:30 米国 9月 貿易収支 22:30 米国 前週分 新規失業保険申請件数 11/9(金) 08:50 日本 10月 マネーストックM2 14:00 日本 10月 消費者態度指数一般世帯 16:00 ドイツ 10月 消費者物価指数(CPI)改定値 16:45 フランス 9月 鉱工業生産指数 16:45 フランス 9月 財政収支 22:30 米国 10月 輸入物価指数 22:30 米国 10月 輸出物価指数 23:55 米国 11月 ミシガン大学消費者態度指数速報値 00:00 米国 9月 卸売在庫 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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