9/24為替ウィークリー展望 -目立った材料なく、中間期末で円高か-
2012/09/23
■今週の見通し 【全体】 市場はリスク・オンのセンチメントながら、先週は調整色が強く、各通貨供に伸び悩み、テクニカル分析では5日移動平均線を下に抜けた通貨ペアが多く新たな材料待ちのようです。月末週を迎えますが、と連弩を決定づける材料らしい材料がない週といってもよく、来月のECB理事会や米国の雇用統計が意識されることになりそうです。こうした中で強いて材料を上げるとすれば24日の独IFO景気動向指数、25日の米S&P/ケースシラー住宅価格指数、26日の米新築住宅販売、27日の米4-6月期GDP確定値と米耐久財受注、28日の米8月個人消費が一応は注目されるのではないかと思います。
【ドル/円】 ![USDJPY](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=92412jpy)
ドル/円は本邦日銀がサプライズとなる10兆円の基金増加による追加緩和を行ったものの、効果は1日も持たず、材料出尽くしなどから下落して、一目均衡表(日足)の基準線と転換線を下抜けしました。ストキャスティクス(スロー)もデッドクロスしていて、チャートからは下落の可能性が高いといえます。また、今月月末が本邦企業の中間期末にあたるため、実需面からの円買いが出やすいと市場の一部は見ている節もあり、ドル/円の上値が重くなりそうです。また、野田首相が再選された民主党は基盤が安定せず、衆院で過半数が維持できなければ、衆院の解散から政局が混迷する可能性もあることから、円高阻止(介入)が実施しにくいと市場が判断した場合に、円が買われて9/13の安値の77.126円を下抜ける可能性があります。
【ユーロ】 ![](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=92412eur)
ユーロ/ドルは先週17日に1.31715ドルの高値を付けてから調整に入っています。週末には一目均衡表(日足)の転換線でサポートされた形となっています。ストキャスティクス(スロー)では既にデッドクロスしているものの、MACDではシグナルと接近しているものの、まだデッドクロスはしていないことから、ここから反発した場合には上昇トレンドが継続するものと思います。注目は26日の独IFO景気動向指数、27日の独失業者数、28日のフランス4-6月期GDP改定値、独8月の小売売上高になると思います。ただ、ギリシャの10年債利回りが20%を下回ったことなど市場はリスク・オンのセンチメントなっていると思いますので、どちらかといえば、ユーロは底堅い動きをするのではないでしょうか。一方、市場はスペインが支援要請をするかにも注目していて、支援要請をした場合に、ユーロが一時的に売られると見ていますが、どちらにトレンドが出るかは不透明です。
【ポンド】 ![](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=92412gbp)
先週公表された英中銀の議事録では、一部の委員が資産の買い入れ枠の更なる拡大が必要になるとの見方を示し、委員の間で相違がみられたものの、足元では発表された小売売上高指数が市場予想よりは良かったことで対ドルではポンドは底堅く推移、対円では下落しています。ポンド/円のチャートでは、ストキャスティクス(スロー)がデッドクロスしているものの、一目均衡表(日足)では転換線がサポートとなっていて、MACDもトレンドは上を向いています。このまま反発するようであれば強い上昇トレンドが続くと思いますが、8/21の高値の125.499円を下に抜けるようであれば、7/26の安値の120.824円と9/19の高値のフィボナッチ50%押しとなる124.819円近辺まで下落すると思います。経済指標では27日に4-6月期GDP確定値が発表されますが、予想と大きくずれないと見られますので、影響は限定的となるのではないでしょうか。
【豪ドル】 ![](http://www.advfn.com/p.php?pid=col_image&img=92412aud)
豪ドルは、対円、対ドルともに9/14に高値をつけて調整に入っています。豪ドル/円では8/21の高値の83.562円を上抜けできず一目均衡表(日足)の雲の中に入ってきています。ストキャスティクス(スロー)もデッドクロスしていて、MACDがデッドクロスするようであればさらに下落が継続すると見られます。対ドルでもかろうじて一目均衡表(日足)の雲でサポートされているものの、上値の重さが感じられます。今週は豪関連の経済指標の発表は予定されていませんが、次週は火曜日に豪準備銀行(RBA)の金融政策会合が予定されていることから、これを前に豪ドルの上値が重くなると見られます。
【先週の振り返り】 《月》週明けは、日本市場が休場ということもあり、ドル/円が78.330円、ユーロ/円が102.810円、ユーロ/ドルが1.31220円と静かなスタートとなりました。その後も材料難の中で各通貨ともに小動きとなりました。ロンドン時間には、ドイツとユーロ周縁国の国債利回りのスプレッドが拡大したことから、ユーロが小幅売られる場面が見られ、NY序盤にはユーロ/円が102.559円、ユーロ/ドルが1.30828ドルまで売られました。一方、NY連銀製造業景気指数は-10.4と市場予想より下振れしたものの反応は限定的となり、クロス円が上昇したことから、ドル/円は78.912円、ユーロ/円は103.846円、ユーロ/ドルは1.31715ドルまで上昇しました。クローズにかけては、NYダウが下落したことやユーロなどのショートカバーが一巡したことから、ユーロ/円は103円台前半、ユーロ/ドルは1.31ドル台前半まで下落してクローズしました。
《火》東京時間は、アジアの株価が軟調に推移したことや本邦休場中にドル/円が78円台後半まで上昇していたこともあり、ドル/円、クロス円での売りが先行、ドル/円が78.70円近辺から78.483円まで、ユーロ/円が103.25円近辺から102.773円、ユーロ/ドルが1.3115ドル近辺から1.30896ドルまで下落しました。ロンドン時間にはスペイン国債入札への懸念からユーロ/円が102円台ミドル手前まで、ユーロ/ドルが1.3065ドル近辺まで下落しましたが、スペインの入札が目標額45億ユーロに対して46億ユーロと好調だったことや独ZEWが-18.2と市場予想よりよかったことなどから小幅戻す場面が見られました。NZ市場では欧米の株価が軟調な推移となったこともあり、ユーロ/円が102.297円、ユーロ/ドルが1.30288ドルまで下落、ドル/円が78円台ミドルで小幅な動きとなりました。クローズにかけて日経新聞電子版が、「日銀、追加緩和を検討」と報じたことで、ドル/円は78.870円まで、ユーロ/円は102.868円まで上昇しました。
《水》東京時間序盤は、アジアの株価が軟調に推移したことからドル/円が78.80円近辺から78.547円、ユーロ/円が102.80円近辺から102.469円へ下落、ユーロ/ドルは1.3045ドル近辺を狭いレンジで推移していました。正午過ぎに日銀が短期・長期国債の買い入れを5兆円ずつ増額する追加緩和を発表したことで、日経225平均株価が上昇、ドル/円は79.215円、ユーロ/円は103.625円、ユーロ/ドルは1.30846ドルへと上昇しました。ロンドン時間に入ると欧米の株価が軟調に推移したこともあり、ドル/円は78.774円、ユーロ/円は102.455円、ユーロ/ドルは1.29990ドルまでじりじりと下落しました。NY時間には発表された米住宅着工件数が市場予想を下回る75万件、建設許可件数は予想を上回る80.3万件となったことからほとんど材料視されず、23時の中古住宅販売件数が予想を上回る482万件となってもドル/円は小幅な反応に留まり、ユーロ/ドルが1.29931ドルから1.30586ドルへ上昇となりました。24時のロンドンフィキシングでドル/円とユーロ/円にまとまった円買いが持ち込まれ、ドル/円は79.215円、ユーロ/円は102.142円まで下落しましたが、NYダウが小幅反発したことでやや戻してクローズしました。
《木》東京時間は、早朝に発表されたNZ4-6月期GDPが市場予想から上振れしていたことで、NZドル/円が64.65円近辺から65.054円、NZドル/米ドルが0.8260ドル近辺から0.82960ドルまで上昇したほかは、アジアの株価が年長に推移したこともあり、ドル/円が78.458円から78.048円、ユーロ/円が102.389円から101.380円、ユーロ/ドルが1.3055ドル近辺から1.29819ドルまで下落しました。ロンドン時間に入ると、発表されたドイツの製造業PMI、サービス業PMIがともに市場予想を上回ったことやスペイン債入札が目標の45億ユーロを大幅に上回る48億ユーロ発行となったことでユーロが下げ止まったものの、反発するまでには至りませんでした。NY時間には発表された米新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことで、ドル/円が78.021円まで下落、ユーロ/円も100.934円、ユーロ/ドルも1.29191ドルまで下落となりました。23時に発表された米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が市場予想より上振れしたことから、ドル、ユーロともに切り返し、ドル/円は78.353円、ユーロ/ドルは101.572円、ユーロ/ドルは1.29738ドルまで戻しまたが、戻りは鈍いままでした。
《金》東京時間帯はドル/円が信託銀からの買いの噂で78.366円まで一時上昇したものの、追随する材料もなく78.122円まで下落、ユーロ/円は101.633円から101.249円まで下落、ユーロ/ドルはアジア株が上昇したことを好感し1.2965ドル近辺から1.30034ドルまで上昇しましたが、ストップをつけた後は1.29556ドルまで下落しました。ロンドン時間には英FTの「スペインと欧州委員会が支援の前提条件となる財政改革について協議している」との報道でユーロ/円が102.095円、ユーロ/ドルが1.30470ドルまで急反発しました。しかし、米ウォール・ストリート・ジャーナルにESMの問題を指摘する記事が出たことで上昇分を吐き出しました。NY時間には「EUの裁判所はあ、ギリシャの例外的な経済の問題に猶予を与える」とのヘッドラインに再びユーロ/円が102.003円、ユーロ/ドルが1.30430ドルまで上昇しましたが、材料がなくなり、NYダウが上げ幅を縮小しマイナスに転じたことで、ドル/円は78.110円、ユーロ/円は101.387円、ユーロ/ドルは1.29788ドルまで下落しました。クローズはドル/円が78.129円、ユーロ/円が101.463円、ユーロ/ドルは1.29861ドルでした。
※文中およびクローズの為替レートは上田ハーローFXでの提示レート(Bid)です。
■今週の予想レンジ
Ccy |
Low(下) |
|
High(上) |
ドル/円 |
77.10 |
~ |
79.20 |
ユーロ/ドル |
1.2740 |
~ |
1.3170 |
ユーロ/円 |
99.60 |
~ |
103.80 |
ポンド/円 |
124.80 |
~ |
128.80 |
豪ドル/円 |
79.60 |
~ |
82.90 |
NZドル/円 |
64.10 |
~ |
65.70 |
南アランド/円 |
9.20 |
~ |
9.70 |
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■注目イベント 9/24(月) ・ 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨 ・ 17:00 ドイツ 9月 IFO企業景況感指数 9/25(火) ・ 08:50 日本 8月 企業向けサービス価格指数 ・ 15:00 ドイツ 10月 GFK消費者信頼感調査 ・ 15:45 フランス 9月 企業景況感指数 ・ 21:30 カナダ 7月 小売売上高 ・ 22:00 米国 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 ・ 23:00 米国 9月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) ・ 23:00 米国 9月 リッチモンド連銀製造業指数 ・ 23:00 米国 7月 住宅価格指数 9/26(水) ・ 07:45 NZ 8月 貿易収支 ・ 15:45 フランス 9月 消費者信頼感指数 ・ 20:00 米国 MBA住宅ローン申請指数 ・ 21:00 ドイツ 9月 消費者物価指数(CPI)速報値 ・ 23:00 米国 8月 新築住宅販売件数 9/27(木) ・ 10:00 NZ 9月 NBNZ企業信頼感 ・ 15:00 ドイツ 8月 輸入物価指数 ・ 16:55 ドイツ 9月 失業者数 ・ 16:55 ドイツ 9月 失業率 ・ 17:00 ユーロ圏 8月 マネーサプライM3 ・ 17:30 英国 4-6月期 四半期国内総生産(GDP)確定値 ・ 17:30 英国 4-6月期 四半期経常収支 ・ 18:00 ユーロ圏 9月 消費者信頼感(確定値) ・ 18:30 南ア 8月 卸売物価指数(PPI) ・ 21:30 米国 4-6月期 四半期実質国内総生産(GDP)確定値 ・ 21:30 米国 8月 耐久財受注 ・ 21:30 米国 新規失業保険申請件数 ・ 23:00 米国 8月 住宅販売保留指数 9/28(金) ・ 07:45 NZ 8月 住宅建設許可件数 ・ 08:01 英国 9月 GFK消費者信頼感調査 ・ 08:30 日本 8月 失業率 ・ 08:30 日本 8月 有効求人倍率 ・ 08:30 日本 8月 全世帯家計調査・消費支出 ・ 08:30 日本 9月 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) ・ 08:30 日本 8月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) ・ 08:50 日本 8月 鉱工業生産速報値 ・ 08:50 日本 8月 小売業販売額 ・ 08:50 日本 8月 大型小売店(既存店)販売額 ・ 14:00 日本 8月 新設住宅着工戸数 ・ 14:30 フランス 4-6月期 国内総生産(GDP)改定値 ・ 15:00 南ア 8月 マネーサプライM3 ・ 15:00 ドイツ 8月 小売売上高指数 ・ 15:45 フランス 8月 卸売物価指数(PPI) ・ 15:45 フランス 8月 消費支出 ・ 16:00 スイス 9月 KOF景気先行指数 ・ 18:00 ユーロ圏 9月 消費者物価指数(HICP)速報値 ・ 19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績) ・ 21:00 南ア 8月 貿易収支 ・ 21:30 カナダ 7月 月次国内総生産(GDP) ・ 21:30 米国 8月 個人所得 ・ 21:30 米国 8月 個人消費支出(PCE) ・ 22:45 米国 9月 シカゴ購買部協会景気指数 ・ 22:55 米国 9月 ミシガン大学消費者態度指数確報値 経済指標の詳細はFXmuseumのFXカレンダーを参照してください。
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