6/30 今週の見通し-米重要指標重なり、ドル買い優勢か-
2013/06/30
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先週は中国の流動性供給懸念から短期金利(SHIBORオーバーナイト金利)が急上昇したことなどから一時緊張が高まり、上海総合株価指数が大幅下落となり、為替市場もリスク回避の円買いの動きにつながりました。中国人民銀行が銀金不足を緩和するため、一部金融機関へ流動精神を行ったことや健全な金融機関についても今後資金不足が悪化した場合に、支援を行う意向を示したことで週後半には中国懸念が和らいだことに加え、米地区連銀理事らが6/18-19の米FOMCでのバーナンキ米FRB議長の記者会見の内容(米QEの縮小に関して)について、市場に間違って受け止められているなどとハト派的な発言を行ったことからNY株価が上昇、ドル買いにつながりました。今週は7月月初にあたり、各国の金融政策や米国の雇用統計など重要な経済指標が多数発表されるため、短期的に経済指標に振り回される可能性がありますが、米経済指標が良い場合には、米QEの縮小が前倒しとなる期待が出ると思われるため、ドル買いと株価の下落から、クロス円全般の上値が重くなるものと思います。
【ドル/円】
先週は多数のFRB理事や地区連銀総裁からの発言があり、どちらかといえばハト派的な内容が多かったものの、FRB内部でも意見がまとまっていないように思えます。ただ、市場は早ければ9月のFOMCでQEの縮小が決定される可能性があることを前提に動いているように見えます。また、本邦消費者物価指数(除く生鮮食料品)が0.0%となったことも、円売りの継続を予想させるため、今週発表される米ISM景況感指数や米雇用統計での失業率、非農業部門雇用者数が改善を見せれば、6/6以来の100円乗せとなると思います。チャートで見ても、一週間ほど一目均衡表(日足)の雲の下限で押さえられていましたが、ようやく雲の中に入ってきたこと、基準線を上抜けたことから、直近のレジスタンスとなる雲の上限101.235円を上抜けると、5/22高値の103.371円を目指していくと思います。
【ユーロ】
ユーロはドラギECB総裁が「必要に応じて行動する用意がある」などと発言したことから弱含みで推移、先週発表されたドイツの失業者数、フランスの消費支出は改善傾向を示しているものの、フランスも2期連続でGDPがマイナス成長となり、リセッション入りしていること、仏5月の失業者数も過去最高となったほか、ポルトガルでの24時間のゼネストなどもあり、緊縮財政への不満が燻っているようです。南欧ではECBによる追加緩和への期待が高く、市場も先月のECB理事会でのドラギECB総裁の発言に注目していましたが、同総裁の記者会見では利下げについては消極的とみられ、ユーロ買いにつながった経緯があります。市場は今回のECB理事会でも政策金利は据え置かれると大多数が予想しているようですが、冒頭にも書きましたドラギ総裁の発言もあることから、今回は記者会見で何らかの発言があるものと期待していると思われます。仮に前回同様の内容に留まればユーロが一時的に買い戻される可能性がありますが、ユーロ圏の利下げ期待は続くとみられるため、米欧の金利差からユーロの重さは継続するとみられます。ユーロ/ドルは一目均衡表(日足)の雲で3日ほど支えられていますが、遅行線は雲の下に抜け出てきています。また、このレベルで推移した場合には日々線(ロウソク足)の下抜けすると思われるため、5/17安値の1.27931ドル近辺が下値のめどとなります。ユーロ/円は一目均衡表(日足)の雲の中を推移しているものの、基準線を上回ったことから雲の上限となる131.15円近辺が目標となると思います。
【ポンド】
英国は1-3月期GDP確定値が0.3%へ下方修正されたことや2015年度予算が115億ポンドの歳出カットとなったことなどが嫌気され、ポンドは対ドルで4営業日の下落となっています。英国ではキング英中銀総裁が退任、7月1日からカーニー元カナダ中銀総裁が新たに英中銀総裁に就任します。市場では極端なリフレ政策や名目GDPターゲットの導入の可能性は低いとみていることから、4日の英中銀(BOE)金融政策委員会(MPC)での金融政策には変化がないとみられます。ただ、新総裁はカナダ中銀やFRBが行っているフォワード・ガイダンス(失業率や物価指数などのターゲットを示すこと)の導入に向けて進むとみられますので、政策金利や資産買入れプログラムが据え置かれたとしても声明の発表があるかも含めて注目となります。週前半に発表される製造業、建設業、サービス業PMIが予想より上振れした場合には、一時的にポンドが買われると思います。ポンド/ドルは一目均衡表(日足)の雲の下に抜けていることと、遅行線も雲を下抜けし、日々線(ロウソク足)の下抜ける可能性も高いため下向きとみられ、5/29の安値の1.50066ドルがターゲットになっていると思います。ポンド/円は一目均衡表(日足)の雲の中を推移していて、雲の厚みがあることから、148.50円近辺から153.50円近辺までのレンジの動きが継続するものと思います。
【豪ドル】
中国の流動性懸念もありましたが、中国人民銀行による流動性供給と米FRB理事や地区連銀総裁のハト派的な発言もあり、じりじりと0.93ドル台に戻したものの、週末のスタインFRB理事のタカ派的な発言から年初来安値を更新しました。2日には豪準備銀行(RBA)の金融政策の発表が予定されていて、利下げの思惑も市場の一部にはあることから、週前半は豪ドルは下攻めが先行する可能性があります。また、仮に政策金利が据え置かれたとしても、声明で利下げ余地ありに言及すれば豪ドルの下落基調には変化がないものとみられます。先週はギラード氏からラッド氏へと与党内で党首・首相が交代し、財務相もスワン氏からクリス・ボーエン氏に交代しました。首相交代により9月の総選挙が前倒しとなる可能性もありますが、交易関係が深い中国の成長鈍化が深刻になりつつあるだけに、1日に発表される中国製造業PMI、HSBC製造業PMI確定値も重要で、これらが下振れしているようだと一段の豪ドル売りにつながると思います。また、3日の貿易収支、小売売上高、5日の住宅建設許可も悪い内容には反応しやすいとみられますので一段の下振れに注意となります。豪ドル/米ドルは一目均衡表(日足)の転換線のレジスタンスが続いていることもあり、2010/8月安値の0.87690ドル近辺まで下落する可能性があります。豪ドル/円は一目均衡表(日足)の転換線が2日間サポートとなったことで、多少の反発期待はできるものの、下降トレンドの中にいるとみられますので戻りは鈍いと思います。4/11高値105.420円と6/13安値88.933円を100%としたフィボナッチ23.6%戻しとなる92.980円近辺まで戻せればいいと思います。
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