ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続伸し、8月1日以来となる112円までドル高が進む。ユーロ円など、クロス円の上昇がドル円を押し上げた面が強く、ドル円はレンジをやや上抜けした可能性も。
ユーロドルではユーロ買いが強まり、1.1701前後まで上昇。ドラギECB総裁が景気の先行きに楽観的な見方を示したことが背景。ユーロは対円でも130円94銭近辺まで買われ、1カ月半ぶりの高値を記録。
株式市場は3市場とも揃って続伸。CPIが予想外に伸びていなかったことや、米中通商問題が改善するとの観測が支えに。ダウは147ドル上昇し、
約2週間ぶりに2万6000ドルの大台を回復。
債券は小動き。長期金利はやや上昇し、2.97%前後で引ける。
金は反落。原油価格は大型ハリケーン「フローレンンス」が勢力を落としたことで大幅反落。
新規失業保険申請件数 → 20.4万件
8月消費者物価指数 → 0.2%
8月財政収支 → -2141億ドル
ドル/円111.37 ~ 112.00
ユーロ/ドル1.1615 ~ 1.1701
ユーロ/円 129.26 ~ 130.94
NYダウ +147.07 → 26,145.99ドル
GOLD -2.70 →1,208.20ドル
WTI-1.78 →68.59ドル
米10年国債 +0.007 → 2.970%
本日の注目イベント
日 7月鉱工業生産(確定値)
中 中国 8月小売売上高
中 中国 8月鉱工業生産
欧 ユーロ圏7月貿易収支
英 カーニー・BOE総裁講演
米 8月小売売上高
米 8月輸入物価指数
米 8月鉱工業生産
米 8月設備稼働率
米 9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
ドル円は約1カ月半ぶりに112円まで上昇しました。
この欄でも、テクニカル的には「どちらかと言えばドル高方向」を示していると
書きましたが、現時点ではテクニカルの勝利です。NY市場では、主要株価指数
が揃って上昇し、「リスクオン」を誘いました。トルコ中銀が予想以上の利上げ
に踏み切ったことも同様に、市場に安心感を与えました。
さらに、ポンドやユーロに対して円が大きく売られたことも、ドル円を上昇させ
たと見られます。111円半ばから後半のレジスタンスゾーンを抜け、112円
までドル高が進みましたが、現在は大枠のレンジ(110-112円)の上限を
試している段階で、ここからがドル円にとっての正念場と言えます。
トルコ中銀は昨日、政策金利の引き上げを決めました。
1週間物レポ金利を6.25%引き上げ24%にしました。市場も引き上げを予
想していましたが、コンセンサスは3.25%で、今回の引き上げ幅は市場予想
を大きく上回るサプライズだったと言えるでしょう。発表後、トルコリラには買
戻しが入り、ドルリラは6.40前後から6.10を下回る水準まで急騰してい
ます。トルコ中銀は、利下げを求めるエルドアン大統領にも屈せず、市場に中銀
の独立性をアピールすると同時に、ひとまず信頼を勝ち取った形です。
ECBは理事会で、政策金利の据え置きを決め、資産購入額を10月から現在の
半分の月150億ユーロにすることを決めました。
また、今後景気や物価情勢に大きな変化がない限り、12月には予定通り量的緩
和政策を終了することになります。ドラギ総裁が記者会見で、ユーロ圏の景気の
先行きに楽観的な見方を示したことで、ユーロ買いが強まり、ユーロドルは1.
17台に乗せる場面もありました。同時にドラギ総裁は保護主義にも言及し、
「世界で広がる保護主義は不確実性の主な源泉だ」とも述べています。
中断されていた米中貿易協議も再開のメドがたってきました。中国国務省の報道
官は13日、米国から貿易問題をめぐる閣僚級協議を再開する提案があったこと
を発表し、中国もこれを歓迎すると表明しました。 具体的な日程は今後早急に
つめるようですが、新聞報道によれば、数週間以内にムニューシン米財務長官と
中国の劉副首相が会談するようです。こうなると、中国に対する追加関税第3弾
が発動されるタイミングも先送りされると考えられますが、今朝のブルームバー
グニュースではトランプ大統領は「われわれには中国とのディールを成立させな
くてはならないプレッシャーはない。プレッシャーを受けているのは中国だ」と
述べたこと紹介し、さらに、「米国は近く関税措置で数十億ドルを獲得し、自国
で製品を生産するだろう。米中が会談するとして、会談になるのか?」と伝えて
おり、このまま追加関税第3弾が取り下げられる可能性は、かなり低いと予想さ
れます。
本日はドル円の上値を試す展開を予想していますが、昨日に引き続き日本株がど
こまで伸びるのかにも注目したいと思います。
予想レンジは111円50銭~112円50銭程度といったところでしょうか。
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