外国為替証拠金取引については、1998年のスタート当初から想像も出来ないほど一般的になった一方で、取引自体の内容については理解されるようになったものの、まだまだ外国為替取引の全体像となるとわかりにくいことが多いようだ。
こちらのコラムでは、そうした基本的な内容を取り上げてみたいと思う。
よく外国為替市場は24時間営業だと言われているが、案外誤解されているのが時間ごとに市場が移り変わっていくということである。
これは正しくもあり間違っている。
テレビの為替のニュースでも「今日の東京外国為替市場は」という表現が出てくるが、外国為替には証券取引所のような場所はなく、オンラインでの取引や電話でのやり取りで売買されている。
日本ではFX、つまり外国為替証拠金取引=外国為替市場というイメージを持っている人もいるようだが、FXとは本来Foreign Exchangeの略で、通常「外国為替市場」と言う場合は銀行間取引である「インターバンク市場」の事を指している。
東京外国為替市場の参加者(ここではわかりやすく説明するためあえて東京外国為替市場と言う)は、①銀行市場(インターバンク):日本銀行、銀行、一部証券会社、為替ブローカー、電子ブローキング、②対顧客市場では、事業法人、機関投資家、ヘッジファンドなどである。更に海外旅行へ行くときの外貨の両替、外貨預金、外貨建て金融商品、個人の為替取引などで参加している個人や外国為替証拠金取引における個人投資家については広い意味で対顧客市場の中に入る。
一般投資家がFX会社と取引したポジションは、FX会社で留まる事無く、FX会社のディーラーもしくはディーラーがいない自動的なディーリングシステム(NDD:Non Dealing Desk)などによって反対売買が行われる。
その反対売買はカバー先と言われる取引先銀行へと流れ、取引先の銀行はインターバンク市場を通じて、銀行同士で取引を行ないポジションをカバーする。
銀行のディーラーは自らの考えで売買するポジションを持つリスクテーカーもいるが、一方では顧客と取引を行うため、状況に合わないポジションを対顧客取引ゆえに意図せずリスクのあるポジションを取らざるを得ないことがままある。
そのため、銀行のディーラーがポジションをスクエア(ポジションを持っていない状態)にするには、例えばもうしばらく状況が良くなるまでポジションを抱えたり、もしくは倍の金額を反対取引することにより、リスクのあるポジションを減らすなどする。
ただし銀行のディーラーの場合、リスク管理もしっかりされており、一定の損失額が出た場合、ロスカットとして損失覚悟の反対売買をせざるを得ない場合もある。