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日本のM&A、2014年は転落するも業界専門家は今年回復に期待

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マージャケット独占記事

© Mike Hodges

ストーリー

2014年、米国、欧州及びアジア環太平洋のM&Aブームをよそに、日本は惨めな結果に終わった。日本は過去2番目に低い総額を記録し、金額では3年連続の減少となった。2014年日本のM&Aは計376件293億USドル、金額では2013年比33.5%減となった。マージャーマーケットのデータによると、平均取引額も1件につき1億3440万USドルと記録的に低い数字に落ち込んだ。

本報道が取材した業界専門家たちによると、減少要因は、多数の大手企業が経営陣を刷新したため意思決定に遅れが生じ案件が中断したこと、他の買い手、特に欧州及び米国企業との競争激化から健全な潜在的案件にもかかわらず日本の買い手候補が競り負けたこと、企業が数年前に実施した転換型M&A案件の後の合併後統合期から抜け出せないことなど、いくつかの側面にあるという。

ただし業界専門家たちは2014年の減少をよそに2015年について依然楽観的だ。

 

アウトバウンド
2014年のアウトバウンド取引金額は532億USドルと前年に比べ約9%増加したものの、件数は同比で13件減少した。
「日本企業は2015年にアウトバウンドM&Aで引き続き非常に高い買収意欲を見せることが予想される。取引総額は、FIG(金融機関グループ)、消費財、製薬など多岐にわたる分野で昨年よりも増える可能性が高い」とバンクオブアメリカ・メリルリンチ投資銀行部門のM&A担当ヘッドでマネージング・ディレクターをつとめる間中章彦氏は語る。

日本は2011年3月の東日本大震災を経て原子力エネルギーへの依存が劇的に減ったことを受け、LNG(液化天然ガス)、石炭、シェールなどの化石燃料を引き続き模索すると考えられる。日本の商社は、オーストラリア、カナダのほか、モザンビークなどアフリカの一部の国々でエネルギー源をこれまで探しており、今後も探し続けるだろう」と森・濱田松本法律事務所でパートナーをつとめる松村裕土氏は話す。

「インド、インドネシア、ミャンマー、シンガポール、そしてタイにおける力強い消費者層は、金融商品、食品飲料、ホスピタリティ及びヘルスケアといった消費財関連の全セクターにおいて引き続き日本の買い手候補を引き付けるだろう」と松村氏はいう。「伊藤忠商事、チャロン・ポカパン(Charoen Pokphand)並びに中信(CITIC)の3社間取引は食品及び金融など異なる分野における資本提携及び戦略的協業の一例だ」

 

国内案件とプライベート・エクイティ
2014年の日本国内の取引総額は230億円と3年連続減少し、2013年比で25.1%減となった。その一方、2014年日本のプライベート・エクイティ(PE)はバイアウト及びエグジット活動が拡大した。昨年のバイアウト取引は計36件55億USドルと、2013年に比べ39%増加した。

「考え方がより柔軟になり幹部が株主へのリターン拡大を重視する中で企業の非中核資産売却が見られるかもしれない」と投資アドバイザリー会社GCAサヴィアンでエグゼクティブディレクターをつとめる埋田朗氏はいう。

バンクオブアメリカ・メリルリンチの間中氏が述べたところによると、特にテクノロジー及び資本財分野で大企業が引き続き非中核事業を売却することが予想される。

日本の大企業による非中核資産売却の継続を踏まえ、PEは今年も引き続き活発な動きを見せそうだ。間中氏は2015年に実現し得る当該案件の例として昨年のKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)によるパイオニアのDJ(ディスクジョッキー)機器事業の買収を挙げた。

国内再編については、石油精製分野は業界再編に向けた政府支援を背景に今年動きが予想され得る分野のひとつ、と間中氏はいう。例えば、報道された出光及び昭和シェル石油の合併協議はこの分野で更なる再編につながる可能性がある、と同氏は述べている。

 

インバウンド
取引総額がアウトバウンドに比べ昔から大幅に低いインバウンドの2014年の取引件数は、2013年から13件増加した。しかしながら、取引総額は2013年比で52%の大幅縮小となった。

取引件数の増加は、為替変動、法的枠組み、意識の変化という3つの要因によるものと考えられる、と松村氏はいう。「2014年対ドルで約14%(過去2年で約40%)下落した日本円によってインバウンドの買い手にとっては取引が割安になり、日本の法的基盤も改善されている。そして、日本企業が海外投資を目指すにつれてよりグローバルな考え方になるに伴い、外国投資をより受け入れるようになる」と同氏は説明する。

間中氏も、インバウンドに対する関心は高く、引き続き東南アジア及び中国の大企業が日本に関心を示すだろうと述べている。だが、一般的に日本企業は依然としてインバウンド投資に閉鎖的な考えを持っているため、インバウンド取引の大幅増加が見込まれることはない、と同氏は話す。

また、業界関係者たちは、安倍晋三首相の第3の矢、すなわちビジネス活動に最も関連深い構造改革案及び成長戦略はよく理解されていなければ、実行されてもいないと指摘する。日本政府がここに的を絞って取り組みそのメリットが企業に浸透すれば、案件創造環境を促す可能性もある。

 

記者: Anjali Piramal、Mai Mizuta

 

PDFリンクはこちら。->

http://www.mergermarket.com/pdf/Data%20Analysis_Japan%20MA%20tumbles%20in%202014%20but%20industry%20experts%20anticipate%20recovery%20this%20year.pdf

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