NY市場ではドル円は、欧州時間までに下値の堅さを確認済みだったこともあり、NY勢の参入後は買いが先行した。
2月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想より強い結果となったことを受け、一時は109.95円まで上昇。対欧州通貨でドル売りが進んだ影響でいったんは伸び悩む場面もあったが、一時は280ドル超安まで下落したダウ平均が引けにかけて下げ幅を縮めたこともあり、総じて底堅く推移した。
ユーロドルは強い米指標後にドル買いが進んだ場面では、節目の1.0800ドルを下抜けて一時1.0786ドルと2017年4月以来の安値を更新した。
一巡後はロンドンフィキシングに向けて全般にドル売りが強まった影響から1.0826ドル付近まで一転上昇したものの、フィキシングを通過すると1.0790ドル台まで再び押し戻された。
本日の東京市場のドル円も109円後半での狭いレンジ取引となるか。アップルが新型肺炎の影響で1-3月期の売上高予想を達成できないと発表したことが嫌気され、半導体関連株や中国関連株が売りに押されダウ平均は続落した。
また、VIX(恐怖指数)は上昇、金先物も2013年以来となる1600ドルを回復し、一部ではリスクオフに傾いている。
その反面ナスダック総合は昨日も続伸し史上最高値を更新している。日経平均は新型コロナウィルスの対応を政府が明らかに間違えてしまったこともあり、今後も欧米株と比較しさえない動きとなりそうだ。
本来なら日本経済への失望から円売りも連想されるが、引き続き株式市場の弱さでリスクオフの円買いも進むことでドル円は綱引き状態の流れが当面は続きそうだ。
ドル円は約2週間にわたり、5日の109.30円を下値に、12日の高値110.13円の間での取引が続いている。わずか83銭のレンジしかないが、このレンジをブレークするのは余程サプライズがない限り難しそうだ。
上値は本日と明日のNYカットで110.00円のオプションもあることで、仮に110円をトライする局面があった場合もオプションに絡んだ売りが出るだろう。下値も109円半ばからの買いオーダーが下支えすることになりそうだ。
本日は本邦の1月貿易統計と12月機械受注が発表されるが、新型コロナウィルスが蔓延する前の指標のため、これらの経済指標で市場が動意づくのは難しそうだ。
ドル円以外では豪ドルの動きには目を配りたい。昨日は豪準備銀行(RBA)の議事要旨が公開され、4日の理事会で発表された声明文よりもハト派寄りだったことで豪ドルは弱含んだ。本日は10-12月の賃金指数が発表される。
先週、ヒースRBA経済分析担当が「雇用市場は賃金の伸びを抑えている」と発言しているように、賃金の伸びはRBAの政策金利変更に大きく影響を及ぼすことで指標結果には注目したい。また、明日は1月の豪雇用統計も発表されることで、豪ドルは神経質な動きになりそうだ。
欧州通貨は英国から1月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など複数の経済指標が欧州入り後に発表される。
ポンドは対ユーロでは昨年12月中旬以来の水準まで強含んでいる。ユーロが相対的に他通貨に対して弱含んでいることもあり、結果次第では英総選挙結果後に支えられたユーロポンドの0.8277ポンドを割り込む可能性もある。
また、本日はトルコが政策金利を発表する。シリア情勢でロシアとの関係が悪化していることもあり、トルコリラは神経質な動きになりそうだ。また来週予算が発表される南アの通貨ランドなど、新興国通貨の動きにも警戒したい。

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