NY為替市場のドル円はパウエルFRB議長が「緩やかな利上げを継続する根拠が強い。政策金利はなお緩和的」とややタカ派的な見解を表明したことや米10年債利回りが2.939%まで上昇したことで、109.95円前後から110.45円まで上昇した。ただ、FRB議長が米通商政策による悪影響に懸念を表明し、ダウ平均が前日比42ドル安で引けたことで上値は限定的だった。ユーロドルは、ドラギECB総裁のインフレ目標達成に楽観的な見方などから1.1600ドルまで堅調推移、ユーロ円も127.94円まで上昇した。ポンドドルは、英下院でEU離脱修正法案が否決(303対319)され、メイ英首相が議会の権限拡大を阻止できたことで1.3216ドルまで上昇、ポンド円も145.63円まで上昇した。
パウエルFRB議長のタカ派発言を支えに、東京タイムのドル円は下値が堅く、110円前半を中心に上値を試す動きが見込まれる。ただ、米中貿易摩擦の警戒感で最近上値が抑えられた110円後半では利食い売りも出やすく、引き続き上値の重さが示されそうだ。パウエルFRB議長は、米経済は非常に好調だと指摘し、失業率の歴史的な低さやインフレ加速などをかんがみると、利上げを継続する根拠が強いと述べた。「日米金利格差の拡大」は新たなテーマでもなく、ドル円を買い進める手がかりとはなりにくいが、下押し局面では買い支えの材料として意識されるだろう。
一方で、米中貿易摩擦の激化懸念は引き続きドル円の上値を圧迫。欧州中央銀行(ECB主催の年次フォーラムに出席した主要国中銀のトップはみんな貿易戦争へ懸念を示した。ロス米商務長官は「米国が圧力を高めない限り中国は行動を起こさない」との考えを示した。「中国はトランプ大統領の決意を分かっていない」と非難する米高官らもいるが、対中強硬策がどれだけ中国の強い反発を招くかをトランプ政権もよく想定できていないようだ。

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