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S&P 500® 月例レポート(2013年3月配信)~2月の市場は引き続き上昇、投資家ら史上最高値をにらむ~

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マーケット分析レポート

S&P500

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少なくともこれまでのところ、空は落っこちてきていない。それだけで喜ぶ投資家の顔がウォール街では散見されました。悪材料がないことが、好材料の新定義であるため、米国が昨年末財政の崖から転落しなかったことを理由に、市場に再び投資家が集まり始めています。850億ドル規模の自動的な歳出削減が発動されてもウォール街が無傷のまま(もっとも、ウォール街のあるダウンタウンの一部は未だハリケーン・サンディ の被害から復旧しないままではありますが)であることから、安心感が広がっています。歳出削減が全く痛みを伴わないと思っている者はいません(2013年の米国の国内総生産(GDP)を0.5%引き下げると大半が予想)が、即座に影響が出るわけではないため、取り敢えず好材料となったわけです。また、昨年第4四半期の米GDPが0.1%増だったという悪材料も、ヨーロッパや日本のマイナス成長に比べれば比較的好材料と判断されました(ヨーロッパではマイナス成長が続く見通しで、日本では景気刺激策が期待されているものの、早期に実施されなければ前途多難が予想されています)。金融緩和策と刺激策をいずれ撤回することに言及した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を嫌気して市場は下落したものの、連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長はその「いずれ」は今ではないと、 金融緩和策維持の姿勢を強調しました。 緊縮財政策に対する不満を反映したイタリア総選挙をめぐり欧州債務危機再燃が懸念される中、市場への影響は一時的でした。市場は楽観的で、「根拠なき熱狂」とは言わないまでも、根拠なき楽観であったと言えるでしょう。2月のS&P500は1.01%上昇し、年初来で6.20%上昇と満足のいく結果となりました。昨年の13.41%の上昇に加えて今月も上昇したことが、短期投資や債券投資を手控えていた投資家らを後押しする要因となりました。S&P500は1514.68で取引を終えましたが、多くの投資家が現在よりも3.3%高い史上最高値の1565.15をにらんでいる状況です。ただ、上を向いて歩くことの難点は、転びやすいということです。

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出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2013年2月28日現在。表は図示する目的のためだけのものです。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。この表は、仮説に基づく過去の実績を反映している可能性があります。

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出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2013年2月28日現在。

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2月は、S&P 500を構成する全銘柄のうち294銘柄が上昇し(平均で4.57%上昇)、うち25銘柄は10%以上の上昇を遂げています(平均で15.11%上昇)。一方、204銘柄が下落し(平均で4.14%下落)、うち18銘柄が10%以上下落しました(平均で14.63%下落)。堅調な経済指標が市場の下支えとなりました。住宅関連指標の改善が好感され、住宅建設株や一部電気機器銘柄に買いが入りました。食品大手Heinzなどいくつかの大型M&A(合併・買収)に話題が集中しましたが、実行は伴いませんでした。企業が経済に安心感を抱くようになれば、M&Aが大幅に増加すると、多くの専門家が指摘しています。不安定なセクターも多く、コモディティ価格やエネルギー価格の下落(ドル高が石油価格を下支え)を背景に素材セクター(1.74%の下落)やエネルギーセクター(横ばい)が重荷となりました。最も好調だったのが生活必需品セクターで、2月は3.06%上昇し、年初来ベースで8.87%上昇しました(全セクターの中で最高のパフォーマンス)。情報技術セクターは0.38%の上昇とさえない動きを見せたものの、Apple(APPL)の3.1%の下落を除けば1.11%の上昇となりました。アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブから米国における「コロナ」の販売権を取得したことから、Constellation Brands(STZ)が36.7%と大幅に上昇しました。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが買収を発表したHeinz, H.J.(HNZ)も19.5%上昇しました。そのほか目立った銘柄として挙げられるのは、業績が予想を上回り、見通しを上方修正し、2月は22.0%上昇したHewlett-Packard(HP)、そして配当の引き下げと増資の意向を発表し、31.8%下落したCliffs Natural Resources(CLF)です。

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出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2013年2月28日現在。

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出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2013年2月28日現在。

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投資家の取り分

850億ドル規模の自動的な歳出削減の発動がまずもたらすものといえば、政治的修辞、責任の擦りつけ合い、そして国民の無関心でしょう。国民が文句を言えば何かが起きる可能性はありますが、さもなければ緩やかな景気回復を続ける米国にとって一過性の小さな問題の一つに過ぎないと解釈されるでしょう。

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いくつかの大型M&Aのニュースが1週間ほど新聞の一面を賑わせました。企業はM&Aに前向きで、過去最高のキャッシュフローを抱えているものの、信頼感に欠いています。市場の透明性が求められています。

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配当という面ではまたしても好調(かつ活発)な月となり、支払いは9.4%上昇、公表された配当率は年初来で3.3%上昇しました。今後もこの傾向が続く見通しです。

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2012年は市場を不在にしたことにより見逃したリターンを取り返そうとする投資家の資金が市場に新規流入しています。

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米国の学資ローン延滞率が過去最高水準に上昇していることは、新規住宅購入者にとって痛手であり、失業中の場合はなおさらのことです。そして、低価格帯の物件が売れなければ、買い替えも促進されません。住宅市場はさらに悪化してから、回復に転じるでしょう。

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S&P500月例レポートでは、S&P500指数の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
S&Pダウ・ジョーンズが提供する指数に関する詳細はこちらをご覧ください。
http://www.spindices.com/

S&P 500 月例レポート
執筆者

ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・
インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
mailto:howard_silverblatt@spdji.com

本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
HTTP://WWW.SPINDICES.COM/RESOURCE-CENTER/THOUGHT-LEADERSHIP/MARKET-COMMENTARY/
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