<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は小幅ながら続伸。トランプ大統領が劉鶴中国副首相と会談するとの報道や好調な労働市場のデータを好感し、111円68銭までドル高に。
ユーロドルは反発。1.1271まで買い戻しが進み、1.12割れは底堅いとの見方も。
株式市場ではダウが166ドル上昇し、2万6300ドル台を回復。米中通商協議の合意が近いとの観測が買い安心感を醸成。一方高値警戒感が出てきたナスダックは小幅に下落。
債券相場はほぼ横ばいながら長期金利は小幅に低下。
金と原油は続落。
新規失業保険申請件数 → 20.2万人
ドル/円 111.41 ~111.68
ユーロ/ドル 1.1206 ~ 1.1271
ユーロ/円 124.97 ~ 125.31
NYダウ +166.50 → 26,384.63ドル
GOLD -1.00 → 1,294.30ドル
WTI -0.36 → 62.10 ドル
米10年国債 -0.009 → 2.515%
【本日の注目イベント】
独 2月鉱工業生産
米 3月雇用統計
米 2月消費者信用残高
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
加 3月失業率
ドル円は引き続き小動きながらも前日の高値を若干ですが上回り、111円68銭までドル高が進みました。材料は米中通商協議と米労働市場の拡大でした。
トランプ大統領と中国の劉鶴副首相が会談するとの報道があり、市場は「合意が近い」との観測を高め、株高、ドル高が進みました。本稿執筆時に実際に会談が行われているようですが、トランプ氏は会談の冒頭に記者団に「まだ先の話だ」と言いながらも「合意済みの問題は未解決の問題よりはるかに多い。このことが最も重要だ」と述べ、通商協議を締めくくる中国の習近平主席との会談についても、「われわれが合意すれば首脳会談を開くだろう」と語っています。(ブルームバーグ)楽観的な見方をすれば、首脳会談の日程も近く発表されるのではないかと予想しています。
一方でメキシコとの関係は厳しい状況が続いています。メキシコからの移民問題では、トランプ大統領は国境を直ちに封鎖する警告をやめたものの、昨日はホワイトハウスで「薬物流入が止まらなければ、われわれは自動車に関税を適用する。メキシコ政府は自ら望めば薬物の流入を停止することが可能だ。そしてそれが機能しなければ、国境を封鎖するだろう」と発言し、「われわれは彼らに1年間の警告を発する」と述べています。
毎週発表される「週間失業保険申請件数」も今回は材料になったようです。事前予想の「21.5万件」に対して結果は「20.2万件」と、予想を1万件以上も下回っています。前日発表されたADP雇用者数が予想よりも悪化していたこともあり、やや意外感をもって受け止められたと同時に、本日の雇用統計への期待も高まっています。全体的にみれば、米労働市場は依然として拡大していると見られます。
この他、トランプ氏は2名空席のFRB理事ポストに元ピザチェーン経営者のハーマン・ケイン氏を指名するといったニュースもあります。トランプ氏はすでに自身の経済ブレーンの一人であるスティーブン・ムーア氏をFRB理事に指名していますが、さらに自分に近い人物を送り込み、影響力を強めようとしているようです。12月に利上げを断行したパウエル議長を何度も批判していますが、同氏もトランプ氏が指名したにもかかわらず関係が悪化しています。FRB議長を簡単には解任できないことを承知しているトランプ氏が、自分に近い人物をFRBの重要ポストに送り込もうとしていることは明らかです。
本日は雇用統計です。昨日もこの欄で述べたように、2月分がサプライズだっただけに、3月分が本来の実力通りであるかどうかを確認する意味で重要です。市場予想は17.7万人となっています。本日のドル円は111円~112円といったところでしょうか。
【外為オンライン シニアアナリスト 佐藤正和の情報コンテンツはこちら】