NY外国為替市場でドル円はポンド円主導でクロス円が円高に振れると、ドルに対しても円買いが先行。米長期金利の低下やダウ平均の290ドル超安も円買い・ドル売りを誘った。前日の安値113.30円を下抜けて一時113.10円まで下げ足を速めた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ダウ平均が持ち直し、270ドル超上昇したことで、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが出た。4時過ぎに一時113.71円と日通し高値を付けた。
ポンドドルは、英国の政治混乱やEU離脱交渉の先行き不透明感から大幅に下落した。
ラーブ英EU離脱担当相に続いて、マクベイ英雇用・年金相やバラ北アイルランド閣外相、ブレイバーマンEU離脱担当閣外相が相次いで辞任。さらに英与党有力議員が、党首であるメイ英首相の不信任決議を求める書簡を提出した。
メイ英首相が日本時間16日2時に開いた記者会見では、「私が定めた方向は、英国と国民にとって正しいと確信」と述べ、自身の離脱協定草案を堅持する方針を改めて表明した。
だが、会見終了後に一部報道で「ゴーブ英環境相は今晩辞任へ」と伝わると、再びポンドを売る動きが優勢に。3時過ぎに一時1.2724ドルと10月31日以来の安値を付けた。ポンド円も同じタイミングで144.26円と1日以来の安値を付けた。
ユーロドルはポンドドルの下落につれた売りが出て一時1.1271ドルと日通し安値を付けたものの、NY市場ではじり高の展開に。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ユーロ円の上昇につれた買いが入り一時1.1362ドルと日通し高値を付けた。
本日の東京市場のドル円もレンジ内での動きか。欧州通貨だけでなく、オセアニア通貨や新興国通貨も動いている中、ドル円は113円台の半ばを中心としたレンジ取引に終始している。
本邦の一部以外はクロス円には手を出しているものの、ドル円は積極的に動いていない。本日もドル円は実需を中心に「上がったら売り、下がったら買い」の姿勢を崩さないだろう。本日はアジア時間には主だった経済指標の発表もないことで、東京時間の値動きはより狭くなりそうだ。
ドル円を動かす要因としては、昨日もロス米商務長官が「米国は依然として来年1月に対中関税を25%に引き上げる」と述べたほか、米政府高官の話として「G20では中国との通商問題において大きな進展は望めない」と伝わったが、米中首脳会談が迫ってきていることで、通商摩擦についての報道や噂で動く可能性はある。
日経平均はCME225先物が大阪取引所比で115円上昇したこともあり、3桁程度の上昇は織り込み済みか。
欧州通貨はポンドの動きで上下する状況は変わらないだろう。
相次ぐ閣僚の辞任でメイ政権が混迷を深めている。英タイムズ紙は「数日内にメイ首相は不信任決議案に直面するだろう」と報じているように、週末を含めて見通しが立たない状況だ。決議案がどちらに傾いても、しばらくの間は泥沼から抜け出すことができないため売り圧力がなくなることはないだろう。
ユーロはイタリアが再提出した2019年予算案も内容が変更されなかったことで、これから起こる混乱前に対応するための売り圧力はある。
しかし、ポンドは対ドルよりも対ユーロでの取引が活発なためユーロ買い・ポンド売りを積極的に仕掛けていることもあり、ユーロポンド買いとユーロドル売りの綱引き状態になっている。

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