31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、10月ADP全米雇用報告や7−9月期米雇用コスト指数が予想を上回ったことで113.39円まで上昇後、月末ロンドンフィキシングの円買い・ドル売りで112.81円まで反落した。ユーロドルは、イタリアの財政問題やドイツの政局混乱を嫌気して1.1302ドルまで下落した。ポンドドルは、ラーブ英欧州連合(EU)離脱担当相がブレグジット交渉について11月21日までに合意に達する可能性がある、と示唆したことで1.2831ドルまで上昇後に伸び悩んだ。
本日の東京市場のドル円は、明日発表の米10月雇用統計や9月貿易収支を控えて、動きづらい展開が予想される。
ドル円は、過去6年間、10月の月足陽線(ドル高・円安)を発射台にして年末にかけてドル高・円安に推移してきたが、今年10月の月足は陰線(始値:113.64円・終値:112.94円のドル安・円高)となったことで、年末ドル高アノマリーへの期待感がやや後退している。年末に向けた第4四半期のドル高・円安傾向は、米国企業の四半期末の利益送金(レパトリ)、年末越えのドルファンディング需要の高まりなどが要因として挙げられる。しかし、今年は、年初からトランプ米政権によるレパトリ減税で利益の米本国還流が進んでいること、米議会中間選挙でねじれ議会となった場合、NY株安・ドル安の傾向があることで、予断を許さない状況が続く。
トランプ米大統領も「中間選挙で民主党が勝利すれば株は下がる、共和党勝利なら株は上がる」と述べている。
米中貿易戦争に関しては、トランプ米政権が、米中首脳会談が不調に終わった場合、対中制裁関税第4弾(約2570億ドル規模)を発動すると示唆していることは売り材料だが、トランプ米大統領が、、中国との通商協議で「素晴らしい取引」を期待している、と述べたことは買い材料となることで、11月末の米中首脳会談までは予断を許さない状況が続くことになる。
ドル売り・円買い材料は、米中貿易戦争や日米貿易不均衡是正への警戒感、サウジアラビアを巡る中東の地政学リスク、欧州連合(EU)とイタリア政府との財政規律を巡る確執、イギリス政府とのブレグジット(英国のEUからの離脱)を巡る確執、ドイツ政局混迷から解散・総選挙への警戒感、米議会中間選挙でのトランプ米政権の苦戦懸念などが挙げられる。
ドル買い・円売り材料は、好調な米国経済、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測、などが挙げられる。
ユーロドルは、ドイツ政局の不透明感、解散・総選挙への警戒感、イタリア・ポピュリスト政権の2019年予算案に対する警戒感などから軟調推移が予想される。

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