マーケット分析レポート
S&P500
1月の米国市場は3.56%下落し、1782.59で取引を終えました。1月の市場がその年の市場の行方を占う(as January goes, so goes the year)という格言があり、過去に72.9%の確率で的中していますが、今年はそうならないことを願うばかりです。
年明けの市場はまちまちで小動きの展開となりました(取引初日は0.89%下落。2013年は初日に2.54%上昇、1月に5.04%上昇)。1月15日は過去最高値を更新し(1848.38)、市場の水準が高すぎると考える一部の専門家は投資家の心理が理解できないようでした。市場の下落のきっかけとなったのは軟調な中国製造業指数でした。「米国が風邪をひいたら世界が肺炎になる」という古い格言がありますが、中国が風邪をひいたら新興国市場(とアジア)が肺炎になると、今ではいえるのかもしれません。今「投資すべき場所」は米国なのかもしれませんが、中国はアジアの大部分を支配しており(そしてアジアはS&P500の売り上げの7.5%、S&P小型株600種指数の売り上げの9.1%を占めています)、米国に輸入される部品・完成品ともにかなりの部分を占めており、中国におけるコストが米国における価格や利益を左右します。
昨年4.02%下落した新興国市場は、株価や通貨が下落するなか、1月は6.40%下落しました。トルコ、南アフリカ、インドは経済を支えるために利上げを行いましたが、現時点では下落の歯止めとはなっていません。さらにひどいことに、(この水準では)安値買いへの関心は少ない模様でした。安全資産への逃避(Flight to safety)という観点から、新興国市場から引き揚げられた資金が米国市場に流入し、株価を押し上げる、という観測も一部で出ました。全ての買いは(正当であるかにかかわらず)株式の下支えとなるものの、米国株式市場は新興国市場全体の5倍を上回る規模です。Appleの時価総額は1月に540億ドル減少し、この額はトルコ株式市場全体の87%に相当します(トルコよりも懸念すべきはブラジルですが)。現在の新興国市場の下落は、米国にとって致命傷を負わせる“弾丸”というよりも“逆風”であると考えた場合、ここで押さえておくべきポイントは二つ。まずは、第4四半期の業績が過去最高を更新しようとするなか(利益は低成長、売り上げはさらに低成長、それでも利益率は高い、というパターン)、業績が引き続き市場の下支えになっているという点です。新興国市場不安は始まったときに、業績が不振、または横ばいだったらどうなっていたかを想像してみてください。続いて、経済と市場が強さを備えているように見受けられるという点です。ある意味ロッキーのようなもので、もっと当ててみろ、
と相手のパンチを受け止める強さがあります。米国市場は政府の異常事態を含め、困難な時期を乗り切り、低成長を遂げることができたわけです。緩やかで安定した、というのは従来の米国スタイルではありませんが、時代は変わりつつあるわけです。
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年1月末現在。表は図示する目的のためだけのものです。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。この表は、仮説に基づく過去の実績を反映している可能性があります。
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年1月末現在。
S&P500は幅広い銘柄が売られ、3.56%下落しました。月間では、3.13%下落した2013年8月以来初めての下げで、6.27%下落した2012年5月以来最大の下落率です。10セクター中8セクターが下落しました。公益事業は2.88%、ヘルスケアは0.87%、それぞれ上昇する一方、情報技術は2.59%下落しました(S&P500のパフォーマンスは上回りました)。Appleの10.8%(540億ドル)の下落がなければ、情報技術の下落は0.98%と「緩やかな」下落にとどまりました。S&P500もAppleの下落がなければ、3.33%の下落でした。一部の利食い売りや新興国市場への懸念が市場の下落につながりましたが、市場関係者の多くが何らかの調整があってしかるべき時期だと感じており、現時点での3.56%の下落は全くの許容範囲でした。大型株ファンドのマネージャーの間では依然として楽観的考えが支配的でした。企業決算発表の3分の2が終了していますが、第4四半期の業績は再び過去最高を更新する模様です。これまでと同じく利益は低成長、売り上げはさらに低成長、それでも利益率は高い、というパターンです。大資本企業は低成長の経済環境にありながら利益率を増やす術を身につけています。
1月は下落銘柄が上昇銘柄をはるかに上回りました(347銘柄が下落、152銘柄が上昇)。S&P500の構成銘柄のうち、18銘柄が10%以上上昇し、63銘柄が10%以上下落しました。最悪のパフォーマンスを示したのは生産量がほぼ全面的に下落したエネルギーセクター(6.33%下落)でした。Exxon (XOM)は8.9%、Chevron (CVX)は10.6%、Occidental Petroleum (OXY)は7.9%、それぞれ下落しました。海外で低成長が予想されることが逆風となり、消費関連株は低調でした。一般消費財・サービスは5.93%、生活必需品は5.30%、それぞれ下落しました。業績予想を下方修正した生活必需品のWalmart (WWMT)は5.1%下落しました。Proctor & Gamble (PG)は5.9%、Coca-Cola (KO)は8.4%、それぞれ下落しました。一般消費財・サービスのAmazon (AMZN)は1月の最終取引日までは1.0%上昇していましたが、業績が(増加したものの)期待外れだったため、10.1%の下落で1月の取引を終えました。注目の上昇銘柄は、モトローラの一部を売却し、株式分割を実施すると発表し5.6%上昇したGoogle (GOOG)です。投資家を落胆させたBest Buy (BBY)は41.0%下落し、2013年の上昇分を大幅に消しましたが、それでも2012年末に比べて98.6%上昇しています。
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年1月末現在。
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年1月末現在。
投資家が押さえておくべきポイント
1月の株価はその年の株価を占うという「1月バロメーター」の法則は、過去に72.9%の確率で的中していますが、今年はそうとならないことを願うばかりです。
- 1月の米国市場の下落を嫌うのであれば、新興国の6.40%の下落はどうでしょう。それでもAppleの10.8%の下落ほどではないですが。
- 期待されていたニューマネーはありませんでしたが、利食い売りは少し出たぐらいで、限定的でした。
- 第4四半期の業績は、いつも通り3分の2が事前予想を上回り、過去最高を記録した模様で、市場の下支えとなりました。緩やかながらも着実な成長が勝利につながっています。
- FOMC(連邦公開市場委員会)は投票権者の輪番での交替で幾分タカ派色が強くなりましたが、議長はハト派「らしく」見えます。 (債券購入額はこれまでのところ200億ドル減り、650億ドルになりました。)
- 基本統計:
o VIX恐怖指数は34.2%上昇し、18.41となりました(12月は13.72で終わっています)。長期平均は20.17です。
o 10年物の米国債利回りは2.67%と、2013年末の3.03%は下回ったものの、2012年末の1.76%は上回っています。
o 企業がSEC(証券取引委員会)にこれまでに提出したフォーム10-Q(四半期報告書)とフォーム10-K(年次報告書)によると、第4四半期は自社株買いが第3四半期に比べ24%増加、企業の帳簿上のキャッシュは1.2%増加しています。
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