<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
東京時間に108円42銭まで売られたドルは、海外市場では反発。NYでは、ポンドがドルに対して売られたことでドル円も108円90銭までドル高が進む。
ユーロドルはFOMCを前にポジション調整の動きに。ユーロ買い戻しが優勢となり、1.1151前後まで上昇。
EUのユンケル委員長がジョンソン英首相との再交渉には応じないと述べたと伝えられ、ポンドドルは大きく下落。一時は1.23台後半まで売られ、2017年3月以来の安値を記録する。
株式市場は前日と反対の動きとなり、ダウは上昇し、ナスダックとS&P500は反落。
債券相場はほぼ横ばい。
金と原油は3日続伸。
ドル/円 108.63 ~ 108.90
ユーロ/ドル 1.1114 ~ 1.1151
ユーロ/円 120.74 ~ 121.30
NYダウ +28.90 → 27,221.35ドル
GOLD +1.10 → 1,420.40ドル
WTI +0.67 → 56.87ドル
米10年国債 -0.0005 → 2.065%
【本日の注目イベント】
豪 6月住宅建設許可件数
日 6月失業率
日 6月鉱工業生産
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
独 8月GFK消費者信頼感
独 7月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏月消費者信頼感指数(確定値)
米 6月個人所得
米 6月個人支出
米 6月PCEコアデフレータ
米 5月ケース・シラ-住宅価格指数
米 6月中古住宅販売件数成約指数
米 7月消費者信頼感指数
米 米中通商協議(上海、31日まで)
「小幅な利下げでは十分でない」・・・。本日から始まるFOMCを前に、トランプ大統領は金融当局に執拗に圧力をかけています。トランプ氏は、「米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する!」とツイートし、「金融当局はあまりに早い段階で<引き上げ>、その幅も大き過ぎた」と加え、さらに「欧州と中国はさらに金利を引き下げ、金融システムに資金を追加供給し、自国の製造業者の製品販売を大いに後押しするだろ」と述べています。(ブルームバーグ)今回のFOMCでは、一時は「50bpの利下げ」機運も高まりましたが、現時点での利下げは「25bp」が広く見込まれています。トランプ氏は、これを暗に「50bpか、それ以上にしろ」と言っているようです。
英国のEUからの離脱を巡り、ポンドドルが大きく売られています。EUのユンケル委員長がジョンソン首相との再交渉には応じない姿勢を示したと伝えられ、「合意なき離脱」の可能性が高まったことや、英経済にも悪影響を与えるとの見方から、ポンドドルは1.2375近辺まで売られました。この水準は、2017年3月以来のポンド安となっています。ドル円もポンドドルで、ドルが買われポンドが売られた影響を受けたと見られます。ドル円は108円90銭まで買われ、今回も109円台回復には至っていませんが、7月10日以来、約3週間ぶりのドル高をつけています。「利下げが確実視されている割にはドルが下がらない」状況が続いており、FOMC前にドルの買い戻しが緩やかに進んでいるようです。
本日は日銀決定会合があり、午前中には政策発表があると思われます。マイナス金利政策のさらなる深堀は今回見送られると予想していますが、4月に決定した「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」というフォワードガイダンスを延長する可能性があります。また、「必要ならちゅうちょなく行動する」との言葉も、引き続き繰り返されると思いますが、実際に行動を起こすとすれば、やはり有事の場合ということで、急激な円高が進んだ場合や、10月に消費税率を引き上げた後、景気が後退した場合などが考えられます。さらに、FRBの金融政策が決まる前というタイミングも、なかなか日銀を動きづらくしている側面もあるようです。米金融政策の変更は世界の金融市場に大きな影響を与えるため、米国の政策がはっきりする前には動きにくいということでしょう。
短期的な動きを示す「1時間足」を見ると、ドル円は雲の下限にサポートされながら、108円90銭まで上昇しています。また移動平均線の並びかたでも、長期の200時間線が一番下にあり、短期の移動平均線が一番上に来ており、短期的な昇傾向は鮮明になっています。この傾向が明日のFOMC後に崩れるのかどうかが焦点です。本日のドル円は108円40銭~109円10銭程度を予想します。
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