<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は良好な雇用統計を受け114円台に乗せ、約2カ月ぶりとなる114円18銭までドル高が進む。
ユーロドルはしっかり。1.14台を挟み上下したものの、根強いユーロ円買いもあり、1.1440までユーロ高が進む。ユーロ円も130円12銭まで上昇し、こちらは1年5カ月ぶりの水準を記録。
株式市場は揃って反発。予想以上の雇用統計に安心感が広がりダウは94ドル(0.4%)上昇。S&P500は0.6%上昇し、ナスダックも1.0%上昇。
債券相場は続落。好調な労働市場に、利上げ観測が正当化され、債券は売りものが優勢に。長期金利は2.38%台まで上昇。
ドル高が進んだことで金は売られ、前日比13ドル安。原油も反落し、44ドル台で引ける。
6月非農業部門雇用者数 → 22.2万人
6月失業率 → 4.4%
6月平均時給(前年比) → 0.2%
6月平均時給(前月比) → 2.5%
6月労働参加率 → 62.8%
ドル/円113.50~ 114.18
ユーロ/ドル1.1380~ 1.1440
ユーロ/円 129.50~ 130.12
NYダウ +94.30 → 21,414.34
GOLD -13.60→ 1,209.70ドル
WTI -1.19 → 44.33ドル
米10年国債 +0.020 → 2.386%
【本日の注目イベント】
日 5月、1-3月国際収支
中 中国 6月消費者物価指数
中 中国 6月生産者物価指数
独 独5月貿易収支
米 6月労働市場情勢指数(LMCI)
米 5月消費者信用残高
6月の雇用統計はまあまあの内容でした。失業率は4.4%と、5月の4.3%からは悪化したものの、非農業部門雇用者数は22.2万人と、予想の17万人からは大きく増加しており、さらに5月分と4月分も共に上方修正されました。
ちょうど先月の雇用統計発表時とは正反対の状況でした。ここまで見る限り、イエレン議長が「第一四半期の景気の鈍化は一時的なもの」と述べた言葉が正当化されたことになります。したがって、このままの状況が続けば、年内あと1回の利上げと、バランスシートの縮小開始が実施される可能性は高いと判断できます。
ドル円は雇用統計発表後に113円台半ばまで売られ、その後米長期金利の上昇を材料に114円台までジリ高が続きましたが、今回の114円台乗せの原動力は雇用統計というよりも、金曜日の朝方の日銀の債券オペの姿勢にあったように思います。この日の朝10時過ぎ、日銀は5カ月ぶりに「指し値オペ」を実施しました。欧米の長期金利が、金融政策の変更があるとの見方からじり高となり、この影響を受ける形で日本の長期金利も上昇傾向にありました。
日銀は「指し値オペ」をすることで、金利を上昇させないという「強い意志」を見せたということです。それまで「0.105%」で推移していた長期金利は、日銀のアナウンス以後「0.085%」まで低下(価格は上昇)しました。つまり、今後も超低金利政策は維持されるということです。
ECBは年内にも量的緩和の縮小に踏み切ると見られており、FRBやBOEなども含め、中央銀行の政策スタンスの差が円売りにつながったと観ることが
できます。そう考えると、先週金曜日の「ドル円114円台への上昇」には影の伏線があったと言っていいのかもしれません。雇用統計では賃金の伸びが思ったほど強くはなく、FRBもここの部分には注目しているようですが、それでも今後の利上げを阻止するものではないという印象です。
ドル円は114円18銭までドル高が進みました。先週月曜日には112円台前半でしたので、先週1週間で2円ほど円安に振れたことになります。2円の値幅そのものはそれほど大きな変動ではありませんが、110-112円のレンジが長かっただけに、値幅以上に「円安に振れた」というイメージはあります。ここから上値はこれまでにも述べた通り、114円33銭辺りにある「120週移動平均線」が意識されます。
ここを明確に抜ければ、「115円台が見えてくる」と予想していますが、それでもドルの上昇は緩やかなものになろうかと思います。米長期金利もジワジワ上昇傾向を見せていますが、これがドルの支えとなって今しばらくはドルが「強含む」と観ています。本日も円安を好感して日本株は上昇すると観られます。ドル円がどこまで株高に引っ張られるかという視点で、レンジは113円50銭~114円50銭程度を予想します。