14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州時間に「米中通商合意の第1段階について中国は合意文書に署名する前に一段の協議を望んでいる」との報道を受け、安値108.03円から108.46円付近まで強含みに推移した。ポンドドルは、ジョンソン英首相の欧州連合(EU)離脱案への警戒感から1.2516ドルまで下落後、1.2650ドル付近まで反発した。
本日の東京市場のドル円は、先週末の第13回米中通商協議の「第1段階」としての「部分合意」に関連する要人発言などのヘッドラインに警戒する展開が予想される。
9時半からの黒田日銀総裁のあいさつでは、本日からの米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート拡大や欧州中央銀行(ECB)の緩和パッケージを受けて、追加緩和への言及に要注目となる。
10時半に発表される中国9月の消費者物価指数は、アフリカ豚コレラの感染で高騰した豚肉の影響で前年比+2.9%と予想され、生産者物価指数は、米中貿易摩擦による製造業の低迷で前年比-1.2%と予想されている。
日米通商協議では、米国の自動車や日本のコメに関する主要課題が「第2段階」へ先延ばしされ、「第1段階」として農産物で合意に到達した。米中通商協議でも、中国の構造改革、知的財産権侵害、技術移転などの「包括的合意」は「第2段階」や「第3段階」へ先延ばしされ、農産物や「米中通貨協定」などの「部分合意」(partial agreement)で「第1段階」(phase one deal)とされた。
中国側は、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置や制裁関税の撤廃を望んでいたものの、本日から予定されていた対中制裁関税(第1・2・3弾:約2500億ドル)の税率引き上げ(25%から30%へ)が先送りされただけで、対中制裁関税第4弾(約3000億ドル)の発動中止には至らなかった。そして、ファーウェイへの禁輸措置撤回も先送りされている。
さらに、為替操作防止をめぐるルール策定の合意は、「米中通貨協定」として「為替条項」による元安抑制、及び、中国人民銀行による基準値設定への抑制となることで、合意署名まで予断を許さない状況が続くことになる。
中国政府の公式声明は、劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表およびムニューシン財務長官との通商協議の結果について、「合意」とは全く言及しておらず、「第1段階」(phase one deal)という言葉も使用していない。さらに、新華社は「残る問題の多くは依然として不確実性に満ちている」と冷ややかな言及をしている。昨日は、中国が米国政府との「第1段階」の合意署名前にさらなる交渉を望む、と報じられた。また、ムニューシン米財務長官は、12月15日までの合意署名を望んでおり合意に至らなければ、対中制裁関税第4弾を発動する、と警告し、今週も劉鶴中国副首相と電話で協議し、次官級の通商交渉も開催される、と述べており、関連報道に要警戒となる。
ドル円のテクニカル分析では、9月18日の高値108.48円から10月11日の高値108.63円と高値更新したものの、相対力指数(RSI)は9月18日の66.06から10月11日の60.36まで高値を更新できずに低下していることで、上昇エネルギーの枯渇を示唆する「逆行現象(ダイバージェンス)」となっている。トリプル・トップ(108.48円・108.47円・108.63円)の可能性に要警戒か。

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