NYタイムの為替市場は、ドラギECB総裁の発言からECBが近い将来に量的金融緩和策の縮小を開始するのではないか、という思惑でユーロが急伸した。ユーロドルは昨年8月23日以来の高値となる1.1349ドルまで上昇し、ユーロ円は127.48円まで昨年4月1日以来の高値を塗り替えた。
本日の東京為替市場では、ドル円が112円半ばから後半での売り場探しとなるか。ドル円は5月24日の高値を抜けて、確かに112円台でしっかりと推移している。サポート要因として、米債利回りの上昇(10年債は一時2.21%台まで上昇)と、NY原油が44ドル台まで買い戻されていることがある。どちらも、それまで低迷していた分の調整(特に米債は欧州債につられた動き)とも受け取れるが、足元ではドル円をサポートするものとなるだろう。
ユーロ円、ポンド円などのクロス円が堅調だったこともドル円を下支えした。しかしながら、欧米株は軟調な値動きで、投資家の不安心理を示すVIX指数は11.06と前日から上昇(前営業日9.90)しており、本日の日経平均や他アジア株も上値が重くなることが予想される。そうなると、クロス円の売りも出やすくなり、ドル円の買いの勢いも鈍りそうだ。
 米株の重しとなったオバマケア代替法案の上院採決延期、トランプ米大統領をめぐる「ロシアゲート疑惑」、トランプ政権が目指す大規模減税・インフラ投資などの財政政策の遅れなど、ドルにとってのネガティブ要因は変わらず残っている。112円半ばから後半は、5月半ばにロシアゲート疑惑が表面化しドル円が下落し始めた水準だ。状況が大きく変わっていないなか、108円台からの戻しの売り場探しとなると予想する。
現在のオーダー状況は、112.50円と113.00円に売りが観測される。下サイドでは、本日のNYカットでオプション権利行使価格111.60円が大きめ、というのが目立っている程度。
ユーロドルはドラギECB総裁の発言「デフレ圧力からリフレ圧力へと変わっている」を受けて急騰した。それまで買い進めなかった大きな要因が同総裁の緩和維持の姿勢であったために、方向転換を示唆する発言でユーロを買いやすい状況となった。長らく頭を抑えていた1.1300ドル近辺が今度はサポートなり、ユーロドルは底堅く推移すると思われる。

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