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S&P500®月例レポート(2014年6月配信) 5月の市場は4カ月連続の上昇、2014年も好調の兆し

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                                                                     マーケット分析レポート

                                                                            S&P500

5月の市場は日中取引時間ベースと終値ベースの両方で過去最高値を更新し、投資家にとって嬉しい相場展開となりました。S&P500は終値ベースで過去最高値を5回更新し、2014年は合計で14回更新しています。昨年の45回に比べて14回、昨年の29.60%の上昇(配当込のリターンは32.39%のプラス)に比べて年初来ベースの上昇は4.07%(配当込で4.97%のプラス)、と昨年の実績には及びません。ところが投資家は儲けを喜んでいるようでした(現金化する向きは少なかったようなので、帳面上の話ですが)。商いは依然閑散としており、5月の出来高は4月に比べ13%減少し、10年平均に比べ17%超減少しています。出来高の薄さや(ニューマネーを通じた)新しいコミットメントの欠如が引き続き懸念材料となりました。VIX恐怖指数の動向を懸念する向きが少数派ながらも増えているようでした。同指数の5月30日の終値は11.40と、4月の13.41から下落、過去の平均の20.09からもかけ離れています。恐れがないことが価格を膨らませ、それがバブルにつながり、いずれはじけるという歴史があるが故の懸念でした。企業の合併・買収(M&A)で最も注目を集めてきたPfizerによるAstraZenecaの買収は(今回は)実現に及びませんでしたが、M&A活動は引き続き増加しています。アクティビスト(物言う株主)は引き続き活発で、積極性を増しています。特筆すべきは、ヘッジファンドのStarboardがカジュアル・レストラン・チェーンのDarden Restaurants(StarboardはDarden Restaurantsの6.2%を保有)の取締役全員を入れ替えようとしていることです。企業(投資家およびアクティビスト)はDarden Restaurantsの投資家(ならびに活発なマネーマネージャーや短期筋)の反応を見守っています。市場が商い薄だったのは、取引材料に欠けていたからではありません。経済面では、まず失業率が6.3%に低下し(2008年9月以来の低水準。前月は6.7%)、市場の予想を上回る大幅な改善となりました。一方、賃金は横ばいで、労働市場参加率は62.8%と、1978年以来の低水準となりました(これは良くないこと)。米第1四半期の国内総生産(GDP)改定値は1.0%減に下方修正(速報値は0.1%増、予想値は0.6%減)されました。農産物生産費への影響が見え始めている干ばつや厳冬などの天候要因は大方織り込み済みのようでした。注目すべきは、在庫の減少でした。第1四半期における減少が(在庫の補充を通じて)第2四半期の押し上げ要因となるという一部観測を裏付けました。住宅販売は概して改善(価格は上昇したものの、成長は鈍化)し、今夏消費者の支出が増える兆しも一部見受けられました。世界的に見て、投資家が押さえておくべきポイントは、(S&Pグローバル総合指数のうち)新興国市場が反発し、3.63%の上昇となったことです。問題は、上昇のどれだけが割安株狙いの投資家(一般的に無口)によるもので、どれだけがより高い成長を追求する投資家(一般的に発言したがる)の台頭によるものかでしょう。米国以外では、5月は選挙が市場を支えたと言えるでしょう。ウクライナでは新大統領(ペトロ・ポロシェンコ氏。チョコレートで財を築いたため、「チョコレート王」として知られる)が誕生しました。ポロシェンコ氏は55%の票を獲得し、決選投票を免れました。ロシア政府は新大統領に協力すると述べています。インドでは、ナレンドラ・モディ氏が次期首相になることが決まり、インド市場は11.92%上昇しました(S&Pグローバル総合指数の46の市場のうち2番目に大きい上昇幅。ロシア市場は反発し、12.07%と上昇幅が一番大きかったものの、年初来ベースでは依然として11.11%のマイナスでした)。インドでは経済改革への期待が膨らみ、政府借り入れが増えるとの観測から債券利回りが上昇しました。欧州では欧州議会選挙が行われ、緊縮財政反対派が勝利を収めました(経済力が弱いギリシャの市場は1.87%、イタリアの市場は2.14%、ポルトガルの市場は5.76%、それぞれ下落しました)。フランス(0.58%下落)での選挙結果は、General ElectricによるAlstomの買収に有利に働くと一部は見ています。雇用という重要な課題が選挙結果を左右しましたが、General Electricはフランス国内での雇用創出を約束しています。エジプト(2.82%下落)では、2日間の予定だった大統領選挙が、投票率が低い(アメリカ固有の問題だと思っていました)ことを理由に3日間に延長されました。タイ(1.61%下落、年初来ベースでは9.21%上昇)では軍事クーデターが起きました。米国の株式市場の5月の上昇(1.97%)は、S&Pグローバル総合指数の上昇を上回っています。米国の株式市場は世界の株式市場の48.0%を占め、依然として独占的地位に立っています(日本は第2位の7.95%、英国は第3位の7.59%)。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年5月末現在。表は図示する目的のためだけのものです。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。この表は、仮説に基づく過去の実績を反映している可能性があります。


出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年5月末現在。

大型株を対象とするS&P500は非常に堅調でした。同指数は4カ月連続で上昇し、終値ベースで過去最高値を5回更新しました。5月の最終取引日も過去最高値で引けています。幅広い銘柄が買われ、2.10%と大きく上昇(配当を含めて2.35%上昇)し、他の主要な株価指数を引き離しました。ダウ工業株30種平均は0.82%上昇、S&P中型株400指数は1.62%上昇、S&P小型株600指数は0.16%上昇しました(小型株は最近の調整局面を脱しましたが、それが単にボトム・フィッシングであるのか、回復の始まりであるのかの議論が続いています)。10セクター中9セクターが上昇しました。リターンが唯一マイナスとなったのは、年初来ベースで最も上昇している公益事業でした(1.65%の下落)。それでも年初来ベースでは11.73%のプラスと、唯一2桁台の上昇を示しているセクターです(ヘルスケアは7.46%のプラスと2番目に大きい上昇を示す一方、一般消費財・サービスは1.92%のマイナスと年初来ベースで唯一下落しているセクターです)。市場の幅としては、上昇銘柄(360銘柄)が下落銘柄(138銘柄)を5対2の割合で上回りました。20銘柄は10%超上昇し、6銘柄が10%超下落しました。 年初来ベースの株価の変動幅は増しています。全銘柄のうち37.4%が10%超上下しています(148銘柄が上昇し、39銘柄が下落しています)。一方、指数全体は4.07%上昇しています。また、4月は全銘柄のうち30.7%が10%超上下しています(111銘柄が上昇し、43銘柄が下落しています)。注目すべき銘柄の一つは月間で6.90%、年初来で26.90%上昇したTyson Foods (TSN) です。同社は食品大手のHillshireに買収案を提示していますが、業界の覇権争いの様相を呈しています(Hormel Foodsは5.47%上昇しています)。Exelon (EXC)は7.85%、FirstEnergy (FE)は7.43%と月間でそれぞれ上昇し、公益事業の傾向に逆らっています。FirstEnergyに関しては、年初来ベースで2.55%のプラスと、どちらかと言えば反発した格好となりました(Exelonは年初来で34.47%上昇していますが、2012年末との比較では依然2.49%下落しています)。音楽配信・音響機器のBeatsの買収(30億ドル)で事業を拡大し始めたパーソナル・エンターテインメント機器とコンピュータのApple (AAPL)は3.07%上昇しました(年初来で12.81%上昇)。小売企業が決算を発表し、市場参加者は直近四半期の実績と業績見通しの両方に反応しました。注目すべき銘柄は3.52%下落(年初来で10.84%下落)したDollar General (DG)、3.43%下落(年初来で29.20%下落)したStaples (STPL)、3.44%上昇したものの年初来ではマイナス9.80%と依然下落しているFamily Dollar Store (FDO)などでした。 

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年5月末現在。

投資家が押さえておくべきポイント 

  • 米大型株(S&P500とダウ工業株30種平均)は日中取引時間ベースと終値ベースの両方で過去最高値を更新しました。S&P500は2月から5月まで4カ月連続で7.91%上昇し、1月は3.56%下落しています。2013年に関しては、2月から5月にかけて8.85%と連続で上昇し、加えて1月も5.04%上昇しています。S&P500は今年に入って14回、終値ベースで過去最高値を更新しており、うち6回は5月に起きています(2013年は45回、その前の最高値更新は2007年でした)。小型株は調整局面から反発を見せていますが、それが安値拾いによるものなのか、回復の始まりであるのかという重要な疑問が残ります。
  • 今の相場は恐れが全くありません。VIX恐怖指数は引き続き下落し、5月30日の終値は11.40でした(過去の平均は20.09)。恐れがない→評価が高まる→バブル→問題が起きる。
  • アクティビストが引き続き、市場と取締役会に影響を及ぼしました。
  • 企業は、2014年第1四半期におよそ300億ドルを自社株買いに費やし株式数を削減し、同四半期の1株当たり利益(EPS)を一定水準に保ちました(株式数の減少→EPSの上昇)。
  • PfizerによるAstraZenecaの買収は実現に及びませんでしたが、買収プレミアムやら買収合戦とやら、M&A活動は続いています。

考えのメモ:

  • 2014年第1四半期は企業が余ったお金を自社株買いに費やし、厳しかった業績に追い風を吹かせました。6四半期連続で記録的水準に達していた企業のキャッシュも自社株買いにより減少しましたが、心配はいりません。90週間分の純利益が(たくさんの注目を集めつつも)そのままとなっており、キャッシュは潤沢です。
  • 2014年は終値ベースで過去最高値を14回更新(5月は6回)し、年初来ベースで4.07%上昇、2013年に記録した30%超の伸びを維持しています。成長したい、賭けに出てみよう、といった願望はもはや古い考えなのでしょうか。
  • 親子関係ではないですが、連邦準備制度理事会はどれだけ緩和的であるべきなのでしょうか。そろそろ家を出て独立すべきなのでしょうか。

基本統計:

  • 2014年第1四半期EPSが2013年第4四半期に比べ3.3%減少したことは、良しとされています。要するに全ては、期待がどれだけあったかによるのです。
  • 米第1四半期のGDP改定値は1.0%減に下方修正(速報値は0.1%増、予想値は0.6%減)されました。四半期でマイナスとなったのは、1.3%減だった2011年第1四半期以来でした。注目すべきは、在庫の減少でした。その分第2四半期は在庫が補充され、同四半期の押し上げ要因となることが期待されています。
  • 米国10年債利回りは2.46%と、2013年末の3.03%を下回っています。
  • 依然としてストックピッカー(個別銘柄選び)の相場の様相を呈しています。S&P500は年初来ベースで4.07%上昇しているものの、148銘柄は10%以上上昇し、39銘柄が10%以上下落しています(10%以上上昇または下落した銘柄が全銘柄の37.4%を占めました。4月は30.7%でした)。
  • 2014年4月1日から日本の消費税率が5%から8%に引き上げられました。駆け込み需要の反動で、4月の小売売上高は13.7%減少し、過去14年間で最大の減少となりました(予想では11.7%減)。日本ではティーパーティー運動がありませんからね。 
S&P500月例レポートでは、S&P500指数の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。 S&Pダウ・ジョーンズが提供する指数に関する詳細はこちらをご覧ください。 http://www.spindices.com/
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