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S&P 500® 月例レポート (2014年4月配信) 2014年第1四半期は1.30%の上昇と前年同期の10.0%の上昇率に比べ冴えず、それでも3月は過去最高値を更新 (あまり欲張るとバブルにつながります)

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マーケット分析レポート

S&P500

3月はロシアのクリミア編入が冷戦時代の米露関係を彷彿させ(実際には違いますが)、政治問題が増えました。ウクライナ情勢の米国での経済的影響は限定的でしたが、ロシアが石油・ガスの主な供給元である欧州市場は影響を受けました。欧州とロシアは商業的に緊密なつながりがあるため、欧州市場への影響は今後も続くでしょう。米国とロシアの商業的なつながりはさほど緊密ではありませんが、それよりも更なる政治的反発が懸念されます。また、3月は中国の経済指標が2014年の経済成長率目標7.5%の達成が困難であることを示唆し、中国経済の減速懸念が強まりました。この影響で主に下落したのは、アジア市場の株価ですが、いずれは7%程度の成長率でも容認できるとの見方が広がり、多くの株が反発しました。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が早ければ2015年初めに利上げが開始される可能性があると発言したことを受け、米国市場で主に注目されたのは金利でした。量的緩和第4弾(QE4)が終了することをいずれ受け入れたのと同様、金利は上昇すると初めからわかっていたことを市場はついに受け入れたようでした。一方、イエレン議長が31日に、市場の支援を継続すると発言したことを受け、0.10%の下落から0.69%上昇に転じました。ここで押さえておくべきポイントは、刺激策はいずれ終了し、2015年内には利上げが予想されるものの、第1四半期の米国10年債利回りは3.03%から2.72%に下落してることです(安全資産への逃避の大きな理由がないにもかかわらずです)。

株式市場にとってはまたもやストレスの多い3月でした。日中ボラティリティは上昇したものの、相対的にみた場合、年初来の高・低の平均は0.44%(2013年は0.35%)だった一方、歴史的には0.70%となっています。VIX恐怖指数は2月末の14.62から3月末は13.88に下落しました。長期平均が20.14であることを踏まえると、不安や懸念は少ないことを示しています。月初に過去最高値を更新後の相場は日々ロシア、FRB、米銀行ストレステスト(健全性審査)などに関するニュースに悩まされましたが、結局は、終値の新高値にわずか0.30%及ばずの水準で3月の取引を終えました。米国市場は逆境を乗り越え(ロシア市場でさえも3.9%の下落にとどまりました)、映画のロッキーのようにもっと当ててみろ、と相手のパンチを受け止める強さが再び確認できたといえるでしょう。景気後退、予算、財政赤字、自動歳出削
減、政府機関一部閉鎖、悪天候などの逆境を乗り越えつつ、緩やかながら安定した成長を遂げる米国市場の底力が下値支持線を形成しています。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年3月末現在。表は図示する目的のためだけのものです。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。この表は、仮説に基づく過去の実績を反映している可能性があります。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年3月末現在。

一部の市場関係者にとって3月は、全くの時間の無駄だったと思えたようです。S&P500の前月と比べた変化が0.69%とたいした上昇率でなかった(3月31日の終値は1872.34)ことやVIX恐怖指数は2月末の14.62から3月末は13.88に下落したこと、また出来高、変動、市場へのコミットが乏しいことが背景にありました。一方、市場参加者が対処すべき問題はたくさんありました。利上げは不可避でいずれ開始される(早ければ2015年第1四半期)こと、ロシアの地図が新しくなったこと(一連の地図改訂の発端とならないことを願いつつ)、中国の経済成長率が鈍化していること(7.5%ではなく7%程度)、米銀行ストレステストの結果、等を受け入れなければなりませんでした。概して言えば0.69%は許容できる上昇率だと言えます。それでも、大部分の人たちは決して満足ではなかったと言えるでしょう。所詮、0.69%といった「わずかな」上昇は、複利計算で「たかが」年率8.6%と、2桁リターンにもおよびません(典型的に欲はバブルにつながります)。S&P500は、1月は3.56%下落し、2月は4.31%上昇し、3月は0.69%上昇し、第1四半期は1.30%の上昇(配当を含めて1.81%の上昇)と、2013年第1四半期の10.0%のリターンとは雲泥の差です。2014年3月7日には日中取引時間ベース(1883.57)と終値ベース(1878.04)の両方で過去最高値を更新しました。その後4日間の取引で1.97%下落した後は、金利、中国、ロシア関連の出来事に左右される格好となりました。セクター別にみると、8セクターが上昇し、2セクターが下落しました。電気通信サービスは4.67%の上昇と反発しましたが、年初来のリターンをプラスに押し上げるにおよびませんでした(依然として0.73%のマイナス)。同セクターのAT&T (T)は9.8%上昇したものの、年初来のリターンは依然として0.3%のマイナスでした。Verizon (VZ)は横ばいで終わり、年初来のリターンは3.2%のマイナスでした。下落が最大だったセクターは2.93%下落した一般消費財・サービスで、第1四半期に最悪のパフォーマンス(3.16%のマイナス)を示したセクターとなりました。公益事業は利回りに下支えされ3.09%上昇し、年初来で9.02%のプラスとS&P500の全セクター中最高のパフォーマンスを上げています。ところが1年間のリターンに関しては、6.01%のプラスと、指数のリターン(19.32%のプラス)にはおよびません。月間ベースの騰落率はプラスで、288銘柄が上昇(平均で3.72%上昇)し、212銘柄が下落(平均で3.86%下落)しました。年初来ベースの騰落率も依然としてプラスで、293銘柄が上昇(平均で8.63%上昇)し、206銘柄が下落(平均で6.28%下落)しました。3月に目立った銘柄の一つは、最大構成銘柄であるApple (AAPL)でした。月間で2.0%上昇したものの、年初来では依然として4.3%のマイナスでした。時価総額ベースで第2位の構成銘柄である石油大手Exxon Mobil (XOM)は月間で1.5%上昇したものの、年初来では依然として3.5%のマイナスでした。新しいクラスの株式発行を控えた第3位のGoogle (GOOG)は月間で8.3%下落し、年初来で0.6%のマイナスとなりました。買収を続ける交流サイト(SNS)のFacebook (FB)は月間で12.0%下落(年初来で10.2%上昇)しました。2月の190億ドル規模の買収に続き、3月は20億ドル規模の買収を発表しています。Amazon (AMZN)など新たな競合が懸念されるオンライン動画配信のNetflix (NFLX)は21.0%下落(年初来で4.3%のマイナス)しました(Amazonは月間で7.1%のマイナス、年初来で15.6%のマイナス)。リコールに関して議会公聴会が行われているGeneral Motors (GM)は、月間で4.9%下落し、年初来で15.8%のマイナスとなっています。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年3月末現在。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 2014年3月末現在。

投資家が押さえておくべきポイント

• 米露関係は引き続き悪化しましたが、市場は大きな問題とは受け止めていないようでした。欧州市場ではロシアの石油やガス販売に関する懸念が強まりました。欧州はロシアからの石油やガスを必要とし、ロシアは欧州からの資金を必要としています。
• FRBの話題が景気刺激策の中止から利上げに移り、市場は当初ネガティブに反応したものの、その後はQE4が終了することをいずれ受け入れたのと同様、利上げ(少なくとも1年先の話)についても受け入れたようでした。
• 第1四半期は金利が下落しました。米国10年債利回りは3.03%から2.72%に下落しています(2012年末は1.76%)。
• 2013年第4四半期は同年第3四半期に比べ自社株買いが減りましたが、企業による発行数も減ったため、株式数は減少し、一株当たり利益(EPS)は上昇しました。
• アクティビスト(物言う株主)は引き続き物を言い、重役は耳を傾けました。重役用会議室のドアをノックする者がいる場合、応答するか、ドアを補強するかのいずれかです。
• バイオテクノロジーは下落し、ヘルスケアの年初来パフォーマンスを下回りました。調整に入る機会なのか、バブルなのかが投資家の中で議論されました。
• 考えのメモ:
o キャッシュが手元にあるというのは便利なものです。フェイスブックは2月の190億ドルの買収に続き、3月は20億ドルの買収を発表しました。
o スターバックスがビールとワインの夜間販売を拡大します。禁酒法時代の潜り酒場の新展開とでも言いましょうか。
• 基本統計:
o S&P500 Industrials(資本財・サービスセクター)指数のキャッシュは1.3兆ドルと6期連続で四半期の記録を更新しました。帳簿上に94週間分の純利益が残り、利子所得は少ないものの、物言う株主を多く引き寄せています。
o ストックピッカー(個別銘柄選び)の相場の様相を呈しています。S&P500は年初来ベースで1.30%上昇しているものの、90銘柄が10%以上上昇し、36銘柄が10%下落しています。
• 重要な概念:
o ウォール街では、第1四半期の業績不振は悪天候のせいにしてもOK、という見方が支配的ですが、その分第2四半期の業績見通しに厳しい目が向けられるでしょう。

S&P500月例レポートでは、S&P500指数の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。 S&Pダウ・ジョーンズが提供する指数に関する詳細はこちらをご覧ください。 http://www.spindices.com/
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コメント

  1. Flossy より:

    This inuedotcrs a pleasingly rational point of view.

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