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ドル高、G20では懸念を示すにとどまる

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<ひと目で分かる昨晩の動き>

【NY市場】
ドル円は引き続き底堅く推移。G20閉幕後の鈴木財務相の会見には反応せず、NY連銀総裁のコメントではドルが買われ154円68銭まで上昇。

ユーロドルも大きな動きはなく、1.06台半ばから後半で推移。

株式市場は連日上値の重い展開が続き、3指数はまちまち。

債券は反落。長期金利は4.63%台に上昇。

金は反発し、原油は横ばい。

新規失業保険申請件数        →  21.2万件

3月景気先行指標総合指数      →  -0.3%

3月中古住宅販売件数        →  41.9万

ドル/円  154.33  ~ 154.68

ユーロ/ドル 1.0642 ~ 1.0679

ユーロ/円  164.51 ~ 164.87

NYダウ   +22.07 → 37,775.38ドル

GOLD  +9.60 → 2,398.00ドル

WTI   +0.04 → 82.73ドル

米10年国債 +0.045 → 4.633%

【本日の注目イベント】
日 3月消費者物価指数
日 植田日銀総裁講演(ワシントンDC)
独 3月生産者物価指数
英 3月小売売上高
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
米 企業決算 → P&G、アメックス

昨日の昼前、財務省の神田財務官がワシントンで開催されたG7(G20ではなく)で、「為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとしたコミットメントを共同声明で再確認した」と記者団に語ったと報じられました。このニュースにドル円は一時154円台を割り込む動きを見せましたが、直ぐに154円台に押し戻されました。市場はこの種のニュースに敏感になっており、注目はドル高が「G20」の議題に採用されるのかどうといった点でした。その「G20」では、為替は議題にはならなかったようで、鈴木財務相は「G20」閉幕後の記者会見で、「為替は金利差だけで決まるわけではない」と述べ、「さまざまなことが要因になっている」と発言しました。為替が金利差以外のさまざまな事象に影響されることは、多くの市場参加者は十分理解しており、会見での発言はほとんど意味がなかったようです。為替は金利差以外の要因でも決まりますが、「金利差が最も大きな要因」であることも事実です。

ワシントンでの財務相の発言では動かなかったドル円でしたが、FOMCメンバーの発言、特に昨日はNY連銀のウィリアムズ総裁の発言でドルが買われる場面がありました。ウィリアムズ総裁は司会者から「利上げの可能性」を聞かれて、「金融政策は良い位置にいる。利上げは自分の基本的なシナリオではない」としながらも、「金融当局のインフレ目標を達成する上で経済データが正当化する場合は、利上げもあり得る」と答えています。また総裁は講演でも、「現行の金融政策を維持すれば、徐々にわれわれの目標に近づいていくだろう。利下げの緊急性は全く感じていない」と話していました。

この発言を受け米金利が上昇し、ドル円は154円68銭までドル高が進んでいます。またウィリアムズ総裁以外にも、タカ派のミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「米金融当局が利下げに踏み切る前にインフレが減速していると確信を強める必要があり、利下げを2024年より後に遅らせる可能性もある」とFOⅩニュースの番組で話しています。さらに、年内の利下げを1回と予想しているアトランタ連銀のポスティック総裁も、「インフレ率は高すぎる。2%の目標まで引き下げる必要がある。忍耐強い姿勢で臨むことに違和感はない」と述べています。パウエル議長が3月7日の議会証言で、「今から遠くないその時点で、景気抑制の度合いを巻き戻し始めるのが適切になるだろう」と発言し、利下げはそう先のことではないと受け止めた市場がドル売りで攻めたことで、この時ドル円は147円台前半まで下げました。その後インフレの再燃を示唆する経済指標が相次ぎ、利下げは年内1回との発言や、利下げ開始は2025年といった見方も出てきました。さらに上述のように、データ次第では利上げも排除できないとの認識を示すメンバーも出て来ており、特に12ある地区連銀の中でも「別格」であるNY連銀の総裁が上記の発言を行ったことは影響もありそうです。

イランがイスラエルへの報復攻撃を行ったことで一段と緊張が高まっている中東情勢ですが、イスラエルのネタニヤフ首相はイランへ報復する方針を改めて示しています。ネタニヤフ氏は、「自衛のために必要なことはすべてする」と述べ攻撃の準備をしているとの報道もあります。一方イランのアブドラヒン外相は国連の安保理で、「イスラエルがイランの権益に対するさらなる軍事行動をやめることに同意すれば、イランにはイスラエルとの緊張緩和を図る用意がある」と述べています。高度な軍事力を有するイスラエルと今後戦闘をさらに激化させるのは得策ではないと考えているふしもありそうです。

ドル円は依然として155円をうかがう状況のようです。「G20」や「日米韓財務相会談」を終え、さらに今日は週末です。仮に155円に近づく動きがあるようなら、「実弾介入」には注意が必要です。155円を突破するようだと、152円の時もそうでしたが、上昇に勢いが付くからです。その場合、これまで以上に介入の可能性は高まってくると思われます。
本日のドル円は154円~155円50銭程度と予想します。

【外為オンライン シニアアナリスト 佐藤正和の情報コンテンツはこちら】

【外為オンライン シニアアナリスト:佐藤正和】 邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。 インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。 通算20年以上、為替の世界に携わっている。
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