私の本に記されてるが、投資に関する私からのアドバイスは政治的理由で未解決の問題には絶対に手を出すなという原則だ。政治家たちは会社、産業、地域、あるいは州が崩れようが平気な態度でいる。
政治家たちは一国を崩壊させるだけの力を持っているかを考えていただきたい。近頃報道が途切れることのないキプロスに着目してみよう。
EUのキプロスに対する財政援助はその機敏な対応によって功を奏すると思われていたが、問題は解決されなかった。キプロスショックは既に大々的にメディアなどによって報じられたが、まだショックの度合いがはっきりしておらず、時間がこの歴史的な財政破綻の重大さを伝えるだろう。
キプロスはユーロを滅ぼす危険性があるのだろうか?答えはノーだ。
市場が示している限りでは、何も心配することはなさそうだ。為替や債券市場で起こる大きな変動は数日あるいは数週間も前に市場に影響を与えるので、キプロスがヨーロッパや世界経済を破滅に追いやるのはほとんど考えづらい。
市場は主に政治的要素を含んでおり、あまり口が堅くない政治家たちによる情報漏洩が結果として市場がニュースよりも早く影響を受けることを可能にさせている。
その反面、いつこの問題に終止符が打たれるのだろうか。株の暴落や金融機関の破綻時におこるベイルインが起きた場合のシナリオはちゃんと立っているのだろうか。
もし準備を怠っているならばユーロ経済は麻痺し、今後イタリアやスペインの国債が再び暴落する可能性がある。
キプロスショックによるヨーロッパ経済への深刻な打撃が度々ニュースによって報道されたが、肝心のキプロス国内での影響が取り上げられていない。キプロスの金融機関でお金を預けてる人たちにとっては預金をすべて失うかよりは預金の6〜10パーセントの出費でで食い止める方が好ましいだろう。しかしながら、要点としては預金者の預金が没収されようともされまいともこの一件により、キプロスの金融機関が多大なるダメージを負うことは間違いないだろう。
預金者のお金は制約が許す限り全速でなくなるだろう。そしてやがては金融機関全体がしぼむだろう。
キプロスはリゾート要素やオリーブの収穫のみに頼るのではなく、100万人の移住者を抱えたキプロスは無理に危険な投資をするのではなく自国の規模に合った銀行の基礎を作るべきだった。結果キプロスはアイスランドと同じルートを辿っており、払うべき代償を払っている。
スイスの金融機関にはキプロスやアイスランドの金融機関にはない安定性が備わっている。スイスの銀行はリスクヘッジを好むため世界で一番つまらないかつ無難思考と言われているが、それが結果的に金融機関が揺るがない安定性をもたらしているかもしれない。
だからこの歴史的出来事によってキプロスは世界経済の一線を離れなければならなくなったし、一人あたり約3万ドルのGDPはこれからは急落するであろう。
キプロスは政治による無能な行動によって一瞬にして一つの産業が崩れ落ちることを証明した。
一つこの出来事から学ぶとしたら、政治が起こしうる危険性を理解する必要がある。