NY外国為替市場でドル円は下落した。米国株相場の上昇に伴う円売り・ドル買いが先行し、一時108.54円とアジア時間に付けた日通し高値に面合わせしたものの、この水準を上抜くことができずに失速した。
ペルシャ湾における海上輸送の要衝、ホルムズ海峡で石油タンカー2隻が攻撃されたことについて、米政府はイランに責任があると断定。5月のタンカー攻撃時も米政府はイランの関与を指摘しイランは反発した。
米国とイランの関係が一段と悪化し、中東の地政学リスクを高めるとの警戒感が強まると、円買い・ドル売りで反応し一時108.25円付近まで下押しした。
ユーロドルは、アジア時間に一時1.1304ドルまで上昇したあとはじり安の展開に。財政規律を巡る欧州連合(EU)とイタリアの対立懸念が根強いなか、一時1.1269ドルと日通し安値を付けた。
本日の東京市場のドル円は、上値が限られるか。昨日は、ホルムズ海峡付近で日本の海運会社が運航するタンカーなどが攻撃された。報道後に原油価格は急上昇したものの、為替市場の動きは緩慢だった。
しかし、香港のデモも先週末に起きたにもかかわらず、為替市場は月曜日には反応できず、後々効いてきたことを考えると、イランを巡る地政学リスクの高まりの反応がずれこんでいるだけで軽視することはできない。
本日は実質ゴトー日(5・10日)にあたることで、本邦勢を中心にまだ買い意欲はあるものの、ドル円のショートポジションが溜まっているわけでもないことを考えると、ドル円を買う材料は少ないだろう。
本日も茂木経済再生相がワシントンでライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と通商協議を続けているが、交渉の結果が発表されるのは、参議院選挙後になると思われる。
おそらく自民党支持者が多い農業分野などの開放でも何がしかの進展はあると思われるが、上記のように自民党の勝利が米政権にも好ましいため、表に出ることがないと予想されている。
しかし、米政権が日本へ圧力をかけるために、敢えて小出しに下交渉の合意事項を匂わす可能性もあるので警戒したい。特に為替条項に関しての発言には気をつけたい。
ドル円以外の通貨は、引き続き豪ドルの動きに警戒が必要だろう。昨日発表された5月の失業率が高止まったことで、豪ドル円は1月3日のフラッシュクラッシュ以来となる74円後半まで下落した。本日は中国から鉱工業生産や小売売上高が発表されることで、中国経済に依存している豪州の通貨(豪ドル)も指標に連れて動く可能性がある。
また、週末にかけて香港のデモの動きが再び活発化した場合は、週明けの香港や中国の株価が影響を受ける可能性もあり、目を配りたい。

Euro vs US Dollar (FX:EURUSD)
FXチャート
から 3 2024 まで 4 2024 Euro vs US Dollarのチャートをもっと見るにはこちらをクリック
Euro vs US Dollar (FX:EURUSD)
FXチャート
から 4 2023 まで 4 2024 Euro vs US Dollarのチャートをもっと見るにはこちらをクリック