15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、軟調な4月米小売売上高や4月米鉱工業生産指数を受けて109.16円まで下落後、米政府高官筋からの「トランプ大統領は輸入車に対する関税発動を最長6カ月延期する考え」を受けて109.69円付近まで反発した。ユーロドルは、ユーロ圏景気減速やイタリア財政問題で1.1178ドルまで下落後、米国の自動車関税延期見通しで1.1225ドルまで反発した。ポンドドルは、英国のEU離脱を巡る先行き不透明感から1.2827ドルまで下落した。
本日の東京市場のドル円は、米中通商戦争や米為替政策報告書、朝鮮半島や中東の地政学リスクなどへの警戒感から伸び悩む展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、ダブル・トップ(112.14円・112.40円)を形成後、窓(111.07円・110.96円)を空けて、ネック・ライン109.71円を下回ったことで、下値目標値107.02円(=109.71円-(112.40円-109.71))を目指す下落トレンドを形成しており、本日もネック・ラインが攻防の分岐点となる。
本日は、4月豪雇用統計(予想:失業率5.1%、新規雇用者数+1.4万人)が発表されるが、予想外の数字を受けた豪ドル円の動向が、ドル円に波及する可能性に要警戒となる。
ドル買い材料としては、4月に開催された日米首脳会談で、本格的な日米通商交渉が、7月の参議院選挙後に先送りされたこと、自動車関税発動が最長6カ月延期される可能性(米政府高官筋)などが挙げられる。
ドル売り材料としては、米中通商戦争への警戒感、中国による米国債売却の可能性、米財務省の為替報告書での円安けん制、などが挙げられる。米中通商戦争に関しては、トランプ米大統領が、華為技術(ファーウェイ)製品の使用を禁止する大統領令に署名したことで、6月末のG20首脳会議での米中首脳会談までの合意の可能性が低下している。為替報告書に関しては、昨年4月のような「円は過去20年の平均よりも約25%安い」「2013年以降の円安は日銀の量的金融緩和が要因」などの円安けん制に要警戒となる。
朝鮮半島や中東の地政学リスクへの警戒感も、リスク回避の円買い要因となる。北朝鮮は2017年以来となる短距離ミサイルの発射実験を再開しており、イランによる中東の米軍基地への攻撃の可能性を受けて、トランプ米政権が空母打撃群をホルムズ海峡に派遣し、在イラク公館職員に退避命令を出したことで、緊迫感が高まりつつある。

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