NY外国為替市場でドル円は米労働省が発表した10月米卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことで一時113.98円付近まで上げたものの、日本時間早朝に付けた約1カ月ぶりの高値114.09円がレジスタンスとして意識されると失速した。ダウ平均が一時300ドル超下落したほか、米長期金利が低下したことも相場の重しとなり、113.64円と日通し安値を付けた。もっとも、前日NY時間の安値113.60円が目先のサポートとして意識されるとやや下げ幅を縮めた。
ポンドドルは一時1.2959ドルまで下落した。メイ英政権を支える北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)はこの日、ブレグジット交渉を巡り英国を分断する合意を支持しないと表明。また、ボリス・ジョンソン英前外相の弟で運輸副大臣を務めたジョー・ジョンソン氏はメイ英首相の離脱最終案に反対し、国民投票の再実施を求め辞任した。英国のEU離脱を巡る交渉について、早期に妥結するとの楽観的な見方が後退しポンド売りが広がった。
ユーロドルはポンドドルの下落をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。市場では「前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ路線の継続が確認され、ドルが買われやすいようだ」との声が聞かれ、一時1.1316ドルと日通し安値を付けた。
本日の東京市場のドル円は113円台後半でもみ合いか。ドル円は売り買いの材料が交錯しているため、大きく値幅を広げるのが難しくなっている。ドル売り材料としては株価の弱さがある。先週末は米株式市場も下落して引けたこともあり、本日の日経平均も弱含むことが予想される。CME225先物は大阪取引所の引け値より145円安で引けたことで、3桁程度の下げ幅は織り込んで始まるだろう。しかしそれ以上に株価が弱いとドル円の頭を抑えそうだ。また先週末PPI発表後のドル円の伸びが弱かったことを考えると、本邦実需や投資家を中心にドル売り意欲が出てくる可能性が高い。一方、ドル買い材料としては、ドルが欧州通貨を中心に堅調に推移していることがあげられる。本日予定されていた英保守党内閣のブレグジットに関する会合も、メイ首相がキャンセルをしたという報道が伝わり、今朝もギャップを広げてポンド売り・ドル買いに傾いた。欧州通貨に対するドル買い意欲がドル円をサポートすることになりそうだ。また先週末の米10年債利回りは低下したが、依然として日米金利差がドル円の買い要因だ。
そのほかにはペンス米副大統領がアジア歴訪することや、本日から開催される東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合の動きにも警戒したい。また、トランプ米大統領がカリフォルニアの山火災についてツイッターで対応にあたっている同州を批判したことを、逆に多くのメディアが批判している。内政を厳しく糾弾された時には、外交に目を逸らすことが多いため、大統領発言にも警戒したい。
欧州通貨はドル円よりも大きく動く可能性が高い。朝からブレグジットに対する懸念でポンドが売られている。ブレグジットの早期決着の見通しが立たなくなっていることもあり、売り圧力が続きそうだ。また、イタリアの2019年予算案の再提出期限を明日に控えていることもあり、ユーロもイタリア情勢により乱高下するだろう。
WTI原油先物価格が約9カ月ぶりの安値をつけたことで、カナダドルもボラタイルに動いているので原油価格の動きにも注意したい。
なお本日は、カナダはリメンバランス・デーの振替休場。米国もベテランズデーの振替で債券市場が休場となっている。

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